東日本大震災では最初の津波が引いた後、海辺の自宅などへ戻ったために第二波で犠牲になった住民がいた。こうした悲劇を防ぐため、海底に張り巡らせたセンサーを使い、より正確に観測し、津波が来る度に警報を出せる仕組みを、県は二〇一九年に南部全域に導入する方針を決めた。
 センサーの名前は「DONET(ドゥーネット)」。南海トラフ地震の震源域にあたる、尾鷲市の沖合百二十キロにかけての海底に設置され、揺れや水流の変化を観測する。
 陸上の震度計から震源などを計算する従来の方法とは異なり、震源そのものの動きを細かく把握でき、津波が起こるたびに感知できる。
 詳細な観測データから津波がどこで高くなるのか、おおよその予測も同時にできるため、被災直後に、自治体が大きな被害が出そうな地域を把握できそうだ。
 センサーは国が研究目的で一一年に設置しており、観測データを津波予測に結び付けるスーパーコンピューターを使った計算を事前にしておけば、警報システムは構築できるという。
 昨年の伊勢志摩サミットに合わせて伊勢市、鳥羽市、志摩市、南伊勢町では、DONETの観測データを基に、住民らの携帯電話やスマートフォンに警報を自動で送信する仕組みができている。
 県は今後二年間、国の研究機関に職員を派遣し、熊野灘沿岸全域でのコンピューター計算を進め、南部全域でシステムを立ち上げる。県の担当者は「このシステムを従来の津波警報に加えることで、より多くの命を救える」と期待する。

 (森耕一)