10月15日(土)に「劇場上映ゴーゴー日本アニメ(ーター)見本市」へお邪魔してきました。上映後に、『機動警察パトレイバーREBOOT』の公開記念として開催されたトークイベントでは、脚本監督を務めた吉浦康裕、監修・メカニカルデザインを務めた出渕裕が登壇しました。

『機動警察パトレイバーREBOOT』とは

1988年に公開された近未来の東京を描く作品『機動警察パトレイバー』が、14年ぶりに完全新作アニメーション(短編)『機動警察パトレイバーREBOOT』を公開しました。監督は『イヴの時間』や『サカサマのパテマ』を手がけたアニメーション監督・脚本家である「吉浦康裕」、そして監修・メカニカルデザインを務めたのは「機動警察パトレイバーシリーズ」はもちろんのこと、「機動戦士ガンダムシリーズ」、『聖戦士ダンバイン』のメカニックデザインを手がける「出渕裕」。また声ノ出演は「山寺宏一」「林原めぐみ」と、豪華スタッフ・キャスト陣により制作され今回、劇場上映されました。その上映記念として開催されたトークイベントの模様をお伝えします。

吉浦監督「ホッとしている」

司会を務める、アニメーション研究家の氷川竜介から、本作が劇場上映されたことに対しての気持ちを聞かれると、吉浦監督は「発表をしてから、今日の午前中エゴサするまで、ひたすらどうなることやらと思っていましたが、拍手していただいて、本当にホッとしております。」と安堵の表情を浮かべ、出渕裕は「大画面で見れてよかった。改めて楽しませていただきました。」と感想を述べました。

「吉浦さん、エゴサーチしたということはプレッシャーがあったんですか?」という質問に対し、吉浦監督は「実は作っている最中は、楽しくて仕方なかった。本当に大ファンだったので。ただ、作り終えて最初の第一報が発表されてから、ひたすら判決を言い渡される気分でした(笑)。今は本当にホッとしています。」と監督としてはもちろん、1ファンとして作品に対する熱意を明かしました。出渕裕は「何度もアフレコ、ダビングに立ち会ってモニターで見ていたので、このサイズ感で見るのは嬉しかった。人の視点で制作しているので見上げる感じが良かった。」と劇場上映された喜びを明かしました。

制作の舞台裏「図面を起こし直した」

「劇場版1作目など初期OVAを目指したのですが、一点だけ違うのは今回、CGを使うということだったので、迫力・アングル、ハンディカムで撮っているような臨場感を出すというのが目標でした。CGならではの映画だと思います。」と吉浦監督。

制作資料については「あえて昔のままでいきたい」と吉浦監督は出渕裕へお願いしたところ、「書き直させてくれ」と図面を起こしたこと、そして出渕裕は「CGであるということで情報量を入れられた。本編は一瞬だから難しいかもしれませんが、ディテールにこだわって……パトライプの中、パトライトと実際に同じものを入れた。本物を調べてやりました。メーカーのカタログなんかも見ながら。」と制作の舞台裏を明かしました。

全く知らない世代にも知ってほしい

「もともとファンであった自分が作るという喜び以上に、この一本、めちゃくちゃ大事だなと思ったんですよ。ただその場で作って終わるだけじゃなくて、パトレイバーっていうものに対して未来があるような作り方をしたいなと思ったんですよ。なので選んだ選択肢が、短編(9分)なんだけど全部盛り(笑)。物語、キャラクター、世界観、全部入れよう。その時に新キャラにするのもどうなんだとも思ったんですけれども、パトレイバーを僕らファンだけでなく、全く知らない世代にも知ってほしいという想いがあって、どうしても新キャラでお願いしますと言わせてもらった。その代わりに、出渕さんや、伊藤さん、ゆうきさんがバックアップしてくださって、本物として下駄を履かせもらえた。だから、ファンとしてはこれ以上のないくらい幸せな作り方をさせていただけた。」と吉浦監督は喜びを述べ、それに対し、出渕裕は「キャラクターを変えたいというのもOKだった。パトレイバーってちゃんと時代に寄り添ってきているところがあるので1988年くらいの話なんですね。まぁもう過去の話になっちゃってますけど、あの時の人たちがちゃんと年を取っている。それで同じキャラでやるというのはちょっと違うでしょ、と。だったら新しいキャラクターでやるのは全然OK。」と気持ちを明かしました。

本作で、女性を増やしたことに関して聞かれると、吉浦監督は「最小限の情報でやろうということで、まずは隊長ですよ。みなさん、僕がおじさん隊長キャラを作れると思いますか?(笑)僕は無理なんですよ。元の隊長がいる以上。ということはおばちゃんにしようと。そうなると、全部逆転するしかないと。」と明かすと、「そこは、こちらでしたいと思っていたこととリンクしていた」と出渕裕。強い結束力を感じられる一瞬でもありました。

吉浦監督「起爆点になるといいな、というつもりで作った」

司会の氷川竜介からの「今後の展開は?」という質問に対し、出渕裕は「30周年となる2018年に何かしらの形にしたい」とファンに応えたいという気持ちを示し、「今回、吉浦さんに作ってもらってよかったなと思うのは、当時見ていて好きだった人にバトンを渡せたということです。本当に好きでやってくれる人と、吉浦さんみたいに前から知っていて、この人すごいなと思っていたので。」と吉浦監督への期待を寄せ、吉浦監督は「僕と同世代の人が作っていて、パトレイバー好きで好きでたまらないという人たちが全力で作ったので、ぜひスタッフロールにも注目して名前をチェックしてもらえると監督としてはとてもありがたいです。」とパトレイバー愛を楽しげに語りました。

出渕裕「REBOOT、まさに再起動」

最後に出渕裕は「30周年でいいスタート、REBOOT、まさに再起動。再起動した後、当時好きだった人たちと一緒にやっていければいいなと思っています。劇場でも迫力が違うのでぜひ劇場に運んで観ていただきたいなと。この機会をお見逃しなく。」とメッセージを送り、吉浦監督は本作に携わったことに対し、「本当にパトレイバー大好きな人間として夢のような機会に恵まれて、スタッフもバックアップしてくださって、大好きなスタッフに恵まれて、素晴らしい体験、制作に携わらせてもらいましたし、僕自身、伸び悩んでいた時期に今後の自分のためになる、いい作品を作らせてもらったと思ってます。パトレイバーという作品がこれからまた再び、初めての人にもガンガン見てもらって、ファンを取り込んでシリーズが再スタートすればいいなと思っておりますので、どうかみなさん宜しくお願いします」と謙虚に、そして本作に対して熱い気持ちを最後に語りました。

今回、お邪魔した筆者自身、本作と同じ年に生まれ、初見でした。本作は、9分という短編上映でしたが、パトレイバーの迫力、細部までこだわりぬいた映像、引き込まれる世界観に圧倒されました。上映後は、拍手がわき、本作に触れた皆さんが続編を望む、素晴らしい復活を遂げた、と感じられるものでした。『機動警察パトレイバー』を始めとし、アニメーション業界の今後の展開がより一層楽しみとなるトークイベントでした。

「劇場上映 ゴーゴー日本アニメ(ーター)見本市」は、10月15日から10月21日まで、東京・新宿バルト9、大阪・梅田ブルク7の劇場にて1週間限定上映です。

「日本アニメ(ーター)見本市」とは

「スタジオカラー・ドワンゴが贈る短編映像シリーズ。オリジナル企画・スピンオフ企画・プロモーション映像・MusicPV・VJFilmetc…ジャンルを問わず愛と勢いで創りきる数々のオムニバスアニメーション。期間、予算等を制限した中での企画開発、R&D、人材育成、自由な創作の場としてこの先の映像制作の可能性を探るWEB配信アニメーションシリーズです。」(引用元:http://animatorexpo.com/)

【参考】「日本アニメ(ーター)見本市」公式サイトhttp://animatorexpo.com/『機動警察パトレイバーREBOOT』公式サイトhttp://www.patlabor-reboot.jp

(取材・文:木村うい)