『桐島、部活やめるってよ』(2012)などで知られる吉田大八監督、関ジャニ∞錦戸亮主演で、マンガ「羊の木」(原作・山上たつひこ、作画・いがらしみきお)が実写映画化されることが明らかになった。凶悪犯罪の元受刑者を受け入れた市役所の職員・月末一(錦戸)を主人公に、人間の心理に迫るヒューマンストーリー。『エイトレンジャー2』(2014)以来の映画出演となる錦戸は、「僕自身、約2年半ぶりに撮影する映画で、さらに初めてのサスペンスになるのでとても楽しみ(?)というか、ソワソワしています」とコメント。公開は2018年を予定している。

 原作は「がきデカ」の山上と、「ぼのぼの」を代表作に持ついがらし、ギャグ漫画界の2大巨匠がタッグを組んだ話題作。殺人などの凶悪犯罪に手を染めた元受刑者たちを受け入れた港町で起こる数々の事件、住民と元受刑者の不協和音、そして人間が本来的に犯罪者に感じる生理感覚を描き、2014年には文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞している。映画版では大胆なアレンジが加えられ、原作とは全く異なる新しい結末を迎えるという。

 新仮釈放制度により自治体が身元引受人となって出所した犯罪者の受け入れ担当となった、平凡な市役所職員・月末役を、吉田監督作品初参加となる錦戸が務めるほか、町に帰郷した月末の同級生・文役に木村文乃。新たな人生を始める6人の元受刑者たちのうち、ごう慢ですぐ人に絡む釣り船屋・杉山勝志を北村一輝、色っぽく隙のある介護士・太田理江子を優香、人見知りで几帳面すぎる清掃員・栗本清美を市川実日子、大人しく気弱な理髪師・福元宏喜を水澤紳吾、強面で寡黙なクリーニング屋・大野克美を田中泯、無邪気で好奇心旺盛な宅配業者・宮腰一郎を松田龍平が演じる。錦戸は、「監督をはじめとして、キャストの方も初めてご一緒する方々ばかりなので、一癖も二癖もある共演者に『月末』として精一杯翻弄されたいと思います」と意気込む。

 メガホンを取る吉田監督は、「善と悪、普通と異常、自分と他人、地方と中央、生と死。原作『羊の木』に出会ってしまった結果、そういう境目たちとまとめて向き合うことになりました。もちろん怖いのですが、間もなく撮影が始まるので覚悟を決めなければいけません。とんでもなく魅力的なこの俳優たちと共に、ダークだけどカラフル、怖すぎて笑えるような映画を目指します。そしてできれば、人間と人間じゃない何かの境目まで見届けて、無事に帰ってきたいです」とセンセーショナルなテーマに挑む覚悟を明かしている。

 また、原作の山上は映画化について、「不安は朦朧とした人の姿に似ている。恐怖は陽光の中の微笑に似ている。ぼくは、それを呪文のようにつぶやき、いがらしみきおはそれを震える描線で刻印した。映像はリレー競技の最終ランナーだ。それがゴールしたとき、ぼくたちは触れるはずである。窓から差し込まれた見知らぬものの手に」と独特に表現。一方のいがらしは、「映画化の話をいただいた時は驚愕しました。ほんとは狙っていましたが(笑)。そういう意味でとてもうれしいです」とユーモアたっぷりに語っている。(編集部・小山美咲)