27日、鳥取県の鳥取砂丘で、世界初の月面探査レース優勝を目指すプロジェクト「au × HAKUTO MOON CHALLENGE」の一環として、実際に月を走る探査車両を月面で活動させるためのフィールド試験の様子が報道陣に公開された。

 同プロジェクトでは、賞金総額3,000万ドル(約30億円・1ドル100円計算)にも及ぶ月探査レース「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一参加する民間月面探査チームHAKUTOをKDDIがバックアップ。レースには世界10か国以上16チームの民間組織が参加。月面にロボット探査機を送り、着陸地点から500メートル以上走行させた後、高解像度の動画・静止画データを地球に送信する。

 今回、月環境に見立てた実験の舞台となったのが日本三大砂丘の一つとなる鳥取砂丘。ここでは、実際に月面を走るローバーフライトモデルの試作機プリフライトモデル3を用いて、レースで利用する無線周波数の通信試験や月面光環境を模擬したカメラ機能を検証する試験が実施された。月の平方光を模した照明にローバーが照らされたさまは、まるで本物の月面にいるかのような幻想的な光景だ。

 月面の光の環境下でセンサーが使用できるのか。この日はローバー前方にあるセンサーを使いカメラで撮影した物体との距離を測る試験などが行われ、チームの代表を務める袴田武史さんは、「月面は周りが砂だらけで人工物がない。開いた場所での実験が必要。ビルなどが映ると距離が測れなくなってしまう」といい、その点からも鳥取砂丘は理想的な場所とコメント。フライトモデルの完成は来年初頭を予定しており、試験も「今のところ順調」と自信を見せた。

 またこの日は、プリフライトモデル3のデモンストレーション走行も披露。一面が砂で覆われた砂丘をローバーが走るさまは、数多くのSF映画で見てきた光景そのものだ。試験現場を訪れた鳥取県の平井伸治知事は、月への夢を乗せた走行を視察し、「ローバーが走行する姿を見てこれはいけるなと思った。地域をあげて全力で応援していきたい。われわれの思いはすでに月に行っている」と期待の表情。鳥取砂丘が大ヒットゲーム「ポケモンGO」の解放区になっていることにかけて「ポケモンもXPRIZEもゲットしたい」と力強く語った。

 月への打ち上げは2017年中を予定しており、袴田さんは「打ち上げの半年前には何かしらアナウンスができるのでは」と笑顔。「夢のようなプロジェクト。夢のようなことでも一歩ずつ積み上げていけば実現する。そういうチャレンジが現在は少なくなっている気がしています。それは日本の現状もあると思いますが、ずっとそれが続くわけじゃない。どん底だからこそ、次の時代に続くプロジェクトととして(HAKUTOに)取り組みたい。それを見た人が宇宙だけではなくさまざまなチャレンジに踏み出す。そういうきっかけになれば」と笑顔で語った。(編集部・入倉功一)