映画『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞を獲得し、今ハリウッドで最も注目されているスウェーデン出身の若手女優アリシア・ヴィキャンデル。彼女の新作は、マット・デイモンが9年ぶりにボーン役で戻ってきた『ジェイソン・ボーン』だ。

 世界的に大ヒットし、マットを一躍アクションスターにしたこのシリーズ。アリシアは、ティーンエージャーの頃から大ファンだったそうだ。「『ボーン』シリーズには、いつもニュースで読んだようなタイムリーな問題が出てくるの。観客にとても知的で新しいチャレンジを与えてくれて、同時に最高のエンターテインメントとして楽しませてくれる。そういうところが大好きなのよ」。

 彼女の役どころは、CIAのサイバー部門のトップ、ヘザー・リー。トミー・リー・ジョーンズ演じるCIA長官から重職を任される。「シリーズの前作から世界がすごく変わったの。今私たちの生活は、テクノロジーにかなり頼っているわ。そして、テクノロジーを通して、政府を運営し、会社を経営している。私たちは、セキュリティーVSプライバシーという問題に疑問を投げかけたのよ」。

 役作りのために会ったハッカーたちは、彼女と同じくらいの年齢だと笑う。「彼らは野心的で、とびきり優秀な人たちなの。いくつか博士号を持っていて、16歳とかで会社で仕事を始めたりしているわ。みんな、世界の政府や会社で、とても重要な地位についているの」。

 そういう世界においてソーシャルメディアは当然大きな役割を果たしているが、アリシアは個人的にまったく使わないと言う。「Twitterは一度も試してみたことがないわ。Instagramが出てきた時、友だちとやってみたけど、とてもストレスを感じたの。何かをポストしないといけないからよ。今、それはコミュニケーションの大きな部分だから、間違っているとか言っているわけじゃないわ。ただ、私向きじゃないだけよ(笑)」。現在のパートナーであるマイケル・ファスベンダーとの関係を詮索されるのがいやなこともあるのかもしれないが、「役者の個人的なことをあまり知らない方が、その人が演じているさまざまな役柄に感情移入しやすいから」というのは本音だろう。

 また、映画業界の大先輩であるマットの仕事ぶりを、子供の頃からスクリーンで見てきたというアリシア。初共演して、役者としてだけではなく、人間として尊敬の念を強めたそうだ。「マットは、すごく一生懸命働く人で、いつもとても大きなスマイルを見せてくれるの。本当に優しくて、現場でみんながハッピーであるように気を遣ってくれるわ。私のような新顔にもね。ボーン・ファミリーにとても温かく迎え入れられたのよ」。

 最近、自身で製作会社を立ち上げ、プロデューサー業も開始。年末にはリブート版『トゥームレイダー』でララ・クロフトを演じる予定など、多忙を極めるアリシア。マットのように、ドラマ、コメディー、アクションと幅広くこなせる実力派として、ハリウッドを席巻し続けることになりそうだ。(取材・文:吉川優子)

映画『ジェイソン・ボーン』は10月7日より全国公開