フリッツ・ラング監督によって1926年に製作されたモノクロサイレント映画『メトロポリス』が串田和美演出、松たか子森山未來主演により舞台化。11日に行われた稽古場取材会に串田、森山と共に出席した松が、個性派ぞろいの共演者のなか、強い気持ちで舞台に挑む心境を明かした。

 串田といえば、人形劇「ひょっこりひょうたん島」をオリジナル脚本で舞台化したり、コクーン歌舞伎「四谷怪談」でスーツ姿のサラリーマンを登場させるなど、現代劇から歌舞伎の演出まで、ジャンルにとらわれることなく斬新な発想で演劇の概念を覆してきた演出家だが、そんな彼のもとに松や森山をはじめ、飴屋法水、大森博史、内田紳一郎ら個性派にして重厚なメンバーが集結した。

 「ひと言でいうと、皆さん“掘ることが似合う人たち”なんですよね。地に足が着いて、しっかりと深掘りできる。その中でも、飴屋さんみたいに立っているだけで何かを発している人や、未來くんをはじめとした身体能力のすごさを具体的に見せてくれる人、絶対何とかしてくれる頼もしい先輩もいる」と経験豊富な松をしても、非常に好奇心を刺激されるメンバーとの舞台だという。

 松自身、串田とタッグを組んだ経験は過去にもあるが「始まってみないとわからない」と串田ならではの演出方法には慣れているようだ。「稽古が始まって、台本や設定も色々と変化していくのですが『そうだよな、よりわかりやすくなるためにこうなったんだな』って日々納得しています」。

 映画、ドラマ、舞台と幅広いジャンルで活躍している松だが「舞台って人がそこで何かをやっているということに感動するんです。映像とはまったく違って“目撃する”という感覚は舞台ならでは。舞台が大好きな人はもちろんですが、慣れ親しんでない人にも見てほしいんです」と意気込む。そのためには、観客を巻き込むぐらいの熱意が必要だという。「『公演中に楽しいことがないかな』なんて思う必要がないぐらい稽古場ではつらい思いをしたい。すべてをやりつくして劇場に臨みたい」と自らを追い込むように語っていたが、その表情は何とも楽しそうだった。(取材・文:磯部正和)

舞台「メトロポリス」は11月7日〜30日までBunkamuraシアターコクーンにて上演