その過激すぎる内容ゆえに、完全自主製作体制で製作された問題作『無垢の祈り』が公開後反響を呼び、当初2週間を予定していた上映期間が4週間へと延長される運びとなった(10月17日時点)。

 宝島社が発表する2007年度のミステリー小説ブックランキング「このミステリーがすごい!」で第1位に輝いた、平山夢明原作の短編集「独白するユニバーサル横メルカトル」(光文社文庫)収録の一編に基づき、10歳の少女フミ(福田美姫)の救いようのない現実を描いたサスペンス。監督の亀井亨はこの原作の映像化を何度も企画するも、倫理的に完全にアウトな内容ゆえに実現せず自主製作体制に踏み切り、R18+作品として公開された。

 具体的にどこが「アウト」かと言うと、主に下記のようなシーンが挙げられる。

1:近隣の中年男性が少女にいたずらをするシーン

2:殺人犯が人間を生きたまま解体するシーン

3:義父が娘を虐待するシーン

 ヒロイン、フミは家では義父(BBゴロー)の虐待を受け、学校ではいじめにあい、「死んだ方がマシ」な現実を生きる少女だ。母親(下村愛)も義父から殴るけるの暴行を受け、新興宗教に救いを求める無力な存在で、母親の留守中に性的虐待を受けても誰にも救いを求められない。そんな中、近隣で遺体の骨が全て抜き取られた状態で発見される連続殺人事件が発生し、フミは過酷な日常から逃れるかのように殺人現場を訪ねて回るようになる……。

 妻、娘が全身あざだらけになるほど暴力の限りを尽くす義父の凶行、公衆トイレの中で生きたまま内臓を取り除き解体していく猟奇的殺人描写……と目を覆いたくなるほど凄惨なシーンのオンパレードだが、人形を用いた少女の巧みな心理描写、キャストの鬼気迫る熱演、殺人犯のイメージが『悪魔のいけにえ』を思わせるホラー的世界観、衝撃的なラストなど映像作品としてのクオリティーはすこぶる高く、「とても嫌な気持ちになった」「二度と観たくない」「泣いてしまった」「傑作」「ラストにうちのめされる」と観た人の反応はさまざま。

 亀井監督はTwitterで「上映館を増やしたいと願ってるが、色々なものと戦いつつ、進んでいるが茨の道」と上映館数拡大の厳しい現状について報告しつつ、「そもそもグチャグチャにいわれるだろう事を覚悟して撮ったものなのでそこで心は折れない。メゲズに進みます」と強い気持ちでこの問題作を世に送り出す心境を語っている。(編集部・石井百合子)

映画『無垢の祈り』は渋谷アップリンクで上映中、宮崎キネマ館にて10月29日・11月2日・11月4日(20時〜)上映