いたるところで火山ガスが立ちのぼり、硫黄泉が沸きたつ〈登別地獄谷〉。登別温泉街の奥、北海道遺産にも指定されている地獄谷は、かつて日和山の噴火で生まれた爆裂火口跡。遊歩道を進めば、強い硫黄の香りがたちのぼってきます。

1日に約1万トンもの温泉が湧出するこの地獄谷こそ、北海道有数の湯量を誇る登別温泉の源泉。古くからアイヌの人々が薬湯として利用したといわれる登別温泉は〈温泉のデパート〉と呼ばれ、なんとひとつの地域に9種類もの泉質の温泉が湧く、世界的にも大変稀少な温泉郷です。

温泉郷の奥にある、登別地獄谷。

この9種類のうち、〈硫黄泉・単純硫黄泉・酸性鉄泉・食塩泉〉の4種類の泉質を湯めぐりできるのが、登別温泉街の中心にたたずむ〈登別温泉ホテルまほろば〉です。

“すぐれてうつくしいところ”を意味するまほろば。ここの湯めぐりは、宿泊する方だけのお楽しみ。地下1階・2階、森に面して広がる男女入れ替え制でどちらも楽しめるふたつの温泉には、合わせて31もの湯殿が豊かなお湯をたたえています。なかでも地下2階にある3つの泉質がそろった露天風呂は、壮大なスケール。なめらかな濁り湯の〈硫黄泉〉、鉄成分を豊富に含む〈単純硫黄泉〉、美肌の湯といわれる〈酸性鉄泉〉。それぞれの泉質の違いを味わいながら、湯殿をめぐってみましょう。

単純硫黄泉の露天風呂。(写真:登別温泉 ホテルまほろば)

酸性鉄泉の露天風呂。(写真:登別温泉 ホテルまほろば)

温泉を楽しんだあとの心地よいリラックスに浸るなら、リニューアルされたスイートルームがおすすめです。2タイプ計8室の広々としたスイートルームは、乳白色の硫黄泉が引かれた展望露天風呂つき。温泉街の風景を見下ろしながら、極上の湯浴みを楽しめます。広い脱衣スペースには、部屋浴用と大浴場用2種類のタオルが置かれ、〈ジョンマスターオーガニック〉のバスアメニティも女性に好評です。

北海道産木材でつくった家具は、部屋全体にやわらかい雰囲気をつくり出しています。また、ふたつ備えられた明るい洗面化粧台、車椅子の方がそのまま入れるバリアフリーの入口など随所にきめ細やかなおもてなしが、深いくつろぎを誘います。

白い壁が明るい印象の広々としたワンルームタイプ〈槐 えんじゅ〉。

そして旅のお楽しみ、地元の食との出合いを満喫できるバイキングレストラン〈GREEN TERRACE〉へ。〈春ニシンの幽庵風味変わり揚げ〉〈ホタテ稚貝の味噌汁〉〈春鱒のふきのとう味噌焼き〉など、魚介を中心にできる限り登別近郊の食材を使った季節のメニューがずらりと50種類。“ひと手間を惜しまずおいしさをつくる”という志のもと、手をかけられた北海道の旬をたっぷりと味わえます。

登別温泉は山あいに位置していますが、市内の南には豊富な海の幸を誇る噴火湾が広がり、たらこの産地で有名な白老町の虎杖浜もすぐ。実は新鮮な魚介類が手に入る地域でもあります。朝食には、温泉街から車で10分の〈のぼりべつ酪農館〉特製、地元産生乳がリッチな飲み心地の〈のぼりべつ牛乳〉で目覚めの一杯をどうぞ。

登別温泉では、毎年8月下旬におこなわれる〈登別地獄まつり〉や、厳冬期の源泉湯かけ合戦が見物の〈登別温泉湯まつり〉をはじめ年間を通してさまざまなイベントが開催され、訪れる方たちを迎えています。

また、温泉街のまわりに点在する景勝地もあわせて訪れてみましょう。

地獄谷から遊歩道でつながり、徒歩15分の距離に湧く硫黄泉〈大湯沼〉。左側にそびえる、地獄谷や大湯沼を生んだ活火山〈日和山〉は実は高山植物の宝庫。〈大湯沼展望台〉の駐車場から徒歩で15分ほど、倶多楽湖方面へと進んだ先にある〈日和山原生野草園〉では、7月から9月にかけてさまざまな高山植物を見ることができます。

地獄谷から倶多楽湖(くったらこ)へ続く観光道路ぞいには紅葉が美しい名所として知られる〈登別原生林〉が広がり、秋の見頃には多くの人が訪れます。

また、大湯沼からの温泉水が合流して流れる〈大沼湯川〉に沿って探勝歩道を10分ほど下れば、森にかこまれた自然の川で足湯が楽しめる、国内でも珍しい〈大湯沼川天然足湯〉にたどり着きます。登別の由来である、アイヌ語の「ヌプル・ペッ」(水色の濃い川)の意味、そのままの姿を見せる大沼湯川。木漏れ日と川のせせらぎのなか、白く濁った川に足をつければ、体が芯からあたたまってきます。

世界に誇る豊富で良質な温泉はもちろん、それを育む大自然そのものを体感できる登別温泉へ訪ねてみてください。

information

登別温泉 ホテルまほろば

住所:登別市登別温泉町65

TEL:0143-84-2211

http://www.h-mahoroba.jp/

photographer profile

YAYOI ARIMOTO

在本彌生

フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。http://yayoiarimoto.jp

writer's profile

Akiko Yamamoto

山本曜子

ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。旅粒http://www.tabitsubu.com/

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