47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。富山でコロカルが向かったのは、寒ブリなどの魚介類が有名な氷見。

捨てられる運命の魚が最高の贅沢汁に!

特に手の込んだ調理法ではないけれど、すっごくおいしそうに見えるのが漁師飯。豪快なつくり方&食べ方に憧れてしまうものです。各地方に伝わる漁師飯がありますが、魚のまち、富山の氷見にももちろんあります。その名は〈かぶす汁〉。

「かぶす」とは、もともと氷見の漁師の言葉で「分け前」という意味です。漁師たちが漁の合間や漁のあとに、その「かぶす」でつくったみそ汁をかぶす汁といいます。

この海の先が全国でも有数の漁場です。

地域おこし協力隊として氷見に赴任した左座進介さんは、現役の東京海洋大学大学院の学生でもあり、調査フィールドとして氷見の漁業の研究をしています。そのなかでかぶす汁に出会いました。初めて漁師の作業小屋である「番屋」でかぶす汁を食べたとき「これはうまい!と思った」と言います。

「漁師さんはみんなおにぎりを持参してかぶす汁を食べています。最近ではあまりつくられなくなったようですが、僕がよくお世話になっている漁師さんはいつも食べていますね」

本日のかぶす汁となるお魚たち。

さっそく、左座さんにかぶす汁をつくってもらいました。当日用意されていた魚は、カワハギ、メジナ、ホウボウ、カナド、ユメカサゴ、マエソ、ミシマオコゼ、ヒイラギ、ハタハタ、キジハタ、シロギス、イシダイ。シーズンではないので氷見名物の寒ブリやホタルイカ、紅ズワイガニなどはありません。しかし、シーズンであってもそのような魚は入りません。かぶす汁に使われるのは小さな魚ばかり。

「ある特定の魚が入ったものを、かぶす汁というわけではありません。いろいろな魚を使います。しかもサイズの小さい魚や一匹ものなど、市場に卸さない魚なのです。つまり“お金にならない”魚たちなんです」

本来ならば捨ててしまうような魚を、自分たちで大切にいただくということ。それが「分け前」である「かぶす」なのです。

つくり方はそう難しくありません。まずはウロコをとり、頭を落とします。そしてこの頭は使いません。

「アラ汁ではないんです。アラからだしはとりません。頭を入れるとなると、エラをとらないといけません。それが手間だったのではないでしょうか。大きな魚だったら頭を割って入れていたかもしれませんね」

丁寧にウロコを取る。

そして頭を落としていく。

船の上や番屋で、余った魚でパパッと簡単につくるということ。だからウロコは取りますが、ひと口大などに小さく切ることもしません。そして内蔵を除いた魚をお湯が沸いた鍋に投入。お酒も入れて臭みをとります。最初に出たアクだけ取りながら、10分ほど煮て、味噌を溶き入れたら完成。

だしは一切入れないし、野菜も最後にお好みでネギを入れるくらい。かぶす汁はすごくシンプルなのです。

「重要なのは魚の鮮度。前日とれた魚でつくっても全然おいしくありません。新鮮だからこそ、ほとんど味つけをしなくてもおいしいのです」

さっそくいただきます。アラを入れていないからでしょうか。これだけたくさん魚が入っているのにさっぱりとしています。でも魚は朝とれた新鮮なものなので、身はプリップリ。ただし魚そのままなので、小骨との格闘が始まります。

「かぶす汁を食べていると、みんな無言になるんですよね。骨をしゃぶっている感じも僕は好きなんです。漁師のなかには、汁から身だけを取り出して食べる人もいます。お酒のおつまみですね。逆に汁だけほしいって人もいますよ。おつまみにも、おかずにもなって、結構、万能選手なんです」

本当の漁師がつくるかぶす汁はもう少し塩辛いそう。汗を流したあとだからでしょう。でも、ビールにもばっちり合いそうです。

氷見の漁とともにある食文化

氷見の漁は定置網漁が中心。定置網漁とは、網を固定して仕掛けておいて、そこに入った魚をとる漁法のこと。特定の魚を狙っているわけではなく、良くも悪くも何でもとれます。そのなかで雑魚と呼ばれる市場価値の高くない、小さな魚もとれるからこそ、かぶす汁が氷見特有の料理となっていたのです。

「小さな魚は手間がかかるだけで、決しておいしくないわけではありません。かつてはおばあちゃんたちが、そのような小さな魚も干したりして商品にしていたのですが、最近では手のかかることはやらなくなってしまいました。本当に捨てられるか、二束三文の値段しかつかないのです」

かぶす汁は、その日の「かぶす」をつかった料理です。だから毎日使う魚も違うし、つまりは味も違います。漁がなかった日は「かぶす」自体もありません。氷見の漁とともにある食文化が、かぶす汁なのです。

漁港近くの食堂をはじめ、氷見のまちには、かぶす汁が食べられる飲食店がたくさんあります。単なる「魚のみそ汁」とは違う氷見特有のかぶす汁を堪能するには、やはり氷見という地で食べてみたいものです。ぜひ!

今回飲んだのは、地元の人と一緒につくった〈キリン一番搾り 富山づくり〉

「輪を大切にし、家族を大切にする」と言われる富山の人。そんな地元の人と地元のことを語り合ってつくられたのが、この〈キリン一番搾り 富山づくり〉です。パッケージのイメージカラーは、青色。さて、その味わいは……。

キリン一番搾り 富山づくりってどんなビール? →

名古屋工場製造

※本商品は名古屋工場での製造ですが、富山のお客様と共に富山ならではの味わいをつくりあげたため、「富山づくり」としています。

問合せ/キリンビール お客様相談室 TEL 0120-111-560(9:00〜17:00土日祝除く) ストップ!未成年者飲酒・飲酒運転。のんだあとはリサイクル。

information

一般社団法人 氷見観光協会

住所:富山県氷見市伊勢大町1-12-18

TEL:0766-74-5250

http://www.kitokitohimi.com/

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Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

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Rui Izuchi

出地瑠以

いずち・るい●写真家。1983年福井生まれ。東京とハワイでの活動を経て、現在は大阪・福井を拠点に活動中。〈Flat〉という文化創造塾の運営メンバー。また結婚式を創るユニット〈HOPES〉のメンバーでもある。http://www.cocoon-photo.com/

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