47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。群馬でコロカルが向かったのは、ブラジルをはじめとする異国文化が根づいている大泉町。

群馬のまちに生まれた、異国情緒

群馬県で一番小さなまちでありながら大手企業の工場が複数あり、北関東屈指の製造品出荷額を誇る大泉町。まちを歩いていて、まず驚かされたのが、あちこちで見かけるポルトガル語。公共施設などの看板にはじまり、お店の看板、さらには個人商店の値札にまで、ブラジルの公用語であるポルトガル語が表記されていました。

食品、化粧品、雑貨など、さまざまなブラジル商品を扱う〈カンタ・ガーロ〉。年季の入った店構えに、ブラジルタウンとしての大泉町の歴史を感じます。

さらにブラジルの輸入食品を専門に取り扱うスーパーや商店もあれば、全国チェーンのコンビニの店内にもブラジル商品のコーナーが。まちを歩けば歩くほど、異国文化が深く根づいていることを実感させられます。

八百屋さんの値札も、ご覧のとおりポルトガル語表記。ちなみに「batata doce」は直訳すると「甘い芋」で、さつまいものこと。

そんな大泉町で、3月から11月の第4日曜日に開催されているのが〈活きな世界のグルメ横丁〉。ブラジル、ペルー、ヨルダン、イラン、ロシアなど世界中のお国自慢料理を味わえる食のイベントです。コロカルが訪れた8月のイベントでは世界10か国25店舗が出店していました。

〈活きな世界のグルメ横丁〉会場の一角。縦長の会場に屋台がずらりと並びます。

会場を歩いていると、ブラジルやペルーのシュラスコ、ネパールのタンドリーチキンにモモ、トルコやイランのケバブ……あちこちの屋台から、おいしそうな香りが漂ってきます。何を買おうかと目移りしていると、ステージで始まったのはサンバや和太鼓などのパフォーマンス。食欲と好奇心を刺激する異国情緒あふれる会場のムードは「今日はずっとここにいたい!」と、思ってしまうほど楽しさいっぱい。

まず訪れたのは、行列ができていたペルーの屋台。こちらで売られていたのは鶏を丸ごと炭火で焼いたチキン。いろいろな部位をたっぷりと味わえる1羽サイズに惹かれつつも、ほかの国の料理も食べられるようにと、ここは2分の1羽サイズのセットでぐっと我慢。

炭火でじっくりと焼きあげられた丸ごとのチキン。お客さんの中にはお土産用にと、丸ごと1羽を買って帰る人も。

「辛いのは大丈夫?」と確認されたうえで、チリソースがかけられた炭火焼きのチキン。食べやすいようにカットされたお肉にかぶりつくと、口の中いっぱいに肉のうまみとソースの甘辛い風味が広がります。そのおいしさにこらえきれず、1店目にしてビールを開けてしまいました。

次にいただいたのは、いくつかの屋台で売られていたケバブ。具材を薄い生地で巻いたヨルダンのアラビアンロールケバブと迷いつつも、食べやすい形状のトルコのドネルケバブをセレクト。こちらの屋台も、好みにあわせてケバブソースをかけてくれるシステムでした。

ピタパンでローストされたお肉と野菜をサンドしたドネルケバブ。都心などで売られていることもありますが、開放感とお祭りムードがあふれる会場でいただくとまったく別の味わいが。ビールをひと口飲むたびに、炭酸が口の中をさっぱりとさせてくれるので、いつまでもいろいろなものを食べていられそうな気分に。

「毎回、平均して2千人くらいのお客さんが来ますね。開始は11時なのですが、商品が売り切れてしまって14時頃にイベントを終わらせてしまうこともあるんですよ」と話すのは、このイベントを主催する大泉町観光協会の副会長である小野修一さん。

「出店している人の大半は大泉町周辺で料理店をされている人たち。立ち上げ当初は私たちのほうから出店を呼びかけていたけど、1年くらい経ってからは出店したいという希望者が増えて、逆に制限を設けたくらい。お客さんも最初の頃は地元の人が多かったけど、いまは県外からやってくる人がほとんど。車があれば東京からでもふらりと来られる距離だし、ちょっと歩けば駐車場もいくらでもあるからね、ここは」その様子から、2016年は11月6日に開催される、サンバをキーワードとした〈大泉カルナバル〉と並び、〈活きな世界のグルメ横丁〉がまちを代表するイベントとなっていることがうかがえます。

「大泉町は人口4万2千人の小さなまちですが、その10パーセントにあたる4千人がブラジルの方々。調べたらブラジルや南米をはじめ、53か国以上の方が住んでいるんですよ」と小野さん。大泉町に海外からの移住者が増えた大きなきっかけとなったのは、1990年の入管法(出入国管理及び難民認定法)改正。

「1980年代にブラジルが軍政から民政に変わったとき、95年くらいまで経済が大混乱していて。そのときの日本はバブル経済で、業績は右肩上がりの状態。でも小さいまちで労働力を確保するのには限界があったので、ブラジルをはじめとする海外からの労働者を受け入れたんです。それまで3万5〜6千人だった人口も急激に増えましたね。あと当時ブラジルから来た人たちは、エンジニアや弁護士といった本当に優秀な人たちばかりで。優秀な人材を手放さざるを得ないほど、当時のブラジルの経済は混乱していたようです」

異国文化が根づいたまちの暮らしを観光資源に

地域の人と海外からやってきた人がつながりを培ってきたなか、2007年に民間で立ち上げられたのが大泉町観光協会。「この地域に長く暮らしている我々としては当たり前の光景なんだけど、いろいろな国の人が暮らしているのに何も問題が起きていない。それこそが観光資源になるだろうと考えて、まちおこしの活動を始めたんですよ」

まちに根づいた異国文化や、まちの暮らしそのものを観光資源にする。一見、簡単そうですが、その裏には地道な活動が。

「例えばブラジル料理店には、味を薄くしてもらえないかとお願いしました。日本人のお客さんを惹きつけるためには日本人にも好まれる味にして、日本流のサービスを提供する努力をしないといけない。でもそういう努力を惜しまなければ、ブラジル人の何倍もいる日本人がお客さんとなってくれるんだよ、と話し合いをしていったんです」

異なる文化の背景を持つさまざまな人が、ともに暮らす大泉町。ぶつかりあうことなく、みんなが仲良く暮らすコツは何かと尋ねると「話をすること。勇気をもって自分たちから進んでいき、話をして相互理解を得ることが大事だと思いますね」と小野さん。

そんな観光協会による地道な努力が実り、いまやブラジリアン・タウンとしてその存在を知られるだけでなく、県外から多くの観光客が訪れるようになった大泉町。しかし小野さんいわく、まだまだ改善しなければいけないことも多いのだそう。

「〈活きな世界のグルメ横丁〉もまだまだですね。さらに盛り上げるためには、もうひとひねり必要かな(笑)」と小野さん。

世界中のおいしいものを一度にたくさん味わえる〈活きな世界のグルメ横丁〉が、どんなかたちでパワーアップするのか? 食いしん坊としては、ますます大泉町から目が離せなくなりそうです。

今回飲んだのは、地元の人と一緒につくった〈キリン一番搾り 群馬づくり〉

「気が優しくて、情に厚い」と言われる群馬の人。そんな地元の人と地元のことを語り合ってつくられたのが、この〈キリン一番搾り 群馬づくり〉です。パッケージのイメージカラーは、シルキーホワイト。さて、その味わいは……。

キリン一番搾り 群馬づくりってどんなビール? →

北海道千歳工場製造

※本商品は北海道千歳工場での製造ですが、群馬のお客様と共に群馬ならではの味わいをつくりあげたため、「群馬づくり」としています。

問合せ/キリンビール お客様相談室 TEL 0120-111-560(9:00〜17:00土日祝除く) ストップ!未成年者飲酒・飲酒運転。のんだあとはリサイクル。

information

大泉町観光協会

http://www.oizumimachi-kankoukyoukai.jp/

writer profile

Miki Hayashi

林みき

はやし・みき●フリーランスのライター/エディター。東京都生まれ、幼年期をアメリカで過ごす。女性向けファッション・カルチャー誌の編集を創刊から7年間手がけた後、フリーランスに。生粋の食いしん坊のせいか、飲料メーカーや食に関連した仕事を受けることが多い。『コロカル商店』では主に甘いものを担当。

photographer profile

Tada

ただ

写真家。池田晶紀が主宰する写真事務所〈ゆかい〉に所属。神奈川県横須賀市出身。典型的な郊外居住者として、基地のまちの潮風を浴びてすこやかに育つ。最近は自宅にサウナをつくるべく、DIYに奮闘中。いて座のA型。http://yukaistudio.com/

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