47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。南の島、沖縄でコロカルが体験したのは〈名前のない料理店〉。

その時々にある、島の食材で

南の島・沖縄で出張料理人として活躍しているのが〈名前のない料理店〉の小島圭史さん。自宅や宿泊先、イベントなどさまざまな場所に出張しては、沖縄の旬の食材を、フレンチのコース料理で楽しませてくれるのです。

予約すれば、自宅や宿泊先など調理設備のある場所にはどこでも来てくれます。

ゴーヤやハンダマ、石垣牛にヤギ、少し考えを巡らせただけでも、沖縄ならではの食材はいくつか浮かんできます。でも、それらは実は沖縄にある食材の本当にほんの一部。ほぼ沖縄の食材だけでつくられる小島さんの料理に出会うと、島の食の豊かさにあらためて気づかされます。

東京で修業したのち、土地や文化に興味のあった沖縄へ。その後、フランスへと学びの機会を求めた後、ふたたび沖縄へとやってきた小島さん。東京や沖縄で料理をするなかで、「自分がつくりたい料理」を模索してきました。

そんな彼の料理の根底にあるのは、フランスで出会った「テロワール」という概念。小島さんはこれを「料理のなかで、その土地の文化や土壌を意識すること」と理解しているそう。だから彼の料理には、沖縄という自分を生かしてくれる土地に感謝し、その魅力をフレンチという料理を通して伝えていきたい、という思いが溢れています。

現在は30軒ほどの生産者とつながりを持ち、旬の素材を、その都度仕入れて料理しています。県内どこでも行きやすいように、拠点は本島の真ん中あたり、うるま市の高速道路入り口のそば。食材を持って、どこへでも出かけます。

まずは〈キリン一番搾り 沖縄づくり〉で乾杯!

さぁ、それではさっそくコース料理を味わっていきましょう。

〈読谷山焼 北窯〉の松田米司さんのシックな器で出てきたのが、1品目の前菜「宮古島 稲わらで燻した鰹」です。

宮古島産のカツオを卓上でスモーク。

「メニューには“鰹”と記しましたが、カツオに似た“ヤイト”という魚です。金武町で栽培されているお米の稲わらで皮のほうだけ軽く燻し、マリネしています。仕上げに卓上で15秒ほど軽くスモークします」

さっそく逆さにのせられたコップを開けると、ポワンとただよう稲わらの香り。

「ソースはさくら大根のかいわれですね、上の緑色は葉っぱのところです。黄色い部分が沖縄在来の島にんにくのソース。お米を玄米のまま圧力をかけて焼いたものを添えています」

箸を伸ばせば魚はしっとり濃厚で、奥に、にんにくがピリッと効いて絶品です。

1品目から目と口を楽しませてくれる小島さんの料理。東京、フランスで修業を積んできたからこその本格フレンチ。自宅や宿泊先に呼んで楽しめるなんて、なんという贅沢。

おいしい料理に会話もお箸も進みます。

沖縄には、「ビーチパーリー」というものがあって、夏になるとビーチでのBBQを日常的に楽しんでいます。それはもはや、文化とさえ言えるもの。また、定期的に仲間内で集まる「模合(もあい)」をしたり、沖縄の人は、仲間たちや家族と楽しく過ごす、賑やかな時間が大好き。

だからこそ、小島さんの出張料理というスタイルは、いつもの集まりに、ちょっと変化をつけることができるとあって、沖縄の人に喜ばれているのかもしれません。

そして自宅や宿泊先など、料理人を「自分のいる場所に迎える」ので、リラックスして料理を堪能できる、というのも魅力のひとつ。

さてさて、箸を進めていきましょう。続いて2品目は「泡瀬(あわせ)ヨナバルマジク 赤大根」です。

「温かいものと冷たいものを一盛りにしています。お魚は、沖縄のウミンチュ(漁師)のあいだで、〈ヨナバルマジク〉(台湾鯛)と呼ばれるもの。うろこがついたまま焼いてありますので、そのままバリバリとお召し上がりください。身のほうは魚の水分で蒸し焼きになっています」

合わせているのは、読谷村(よみたんそん)の赤大根。マリネしたものと、スプーンの上にはシャーベットが。

「焼き魚と大根おろしのイメージです」

ヨナバルマジクなんて、沖縄に暮らしていても、なかなか出会うことができない希少な食材。

「質がいいというだけではなく、魅力を感じる生産者さんの食材を料理したい」そんな思いで県内をくまなく動き回り、生産者と良好な関係を築いてきた小島さんだからこそ揃えられる食材と料理に、みんな早くも魅了されています。料理の説明を聞くたびに、知らない食材が出てきたり、独創的な使い方に驚いたりで、参加者からは「おーっ」と嘆息がもれます。

さて、続いてアクリル板に載って出てきたのが3品目。「島の野菜と野草 土」です。

「沖縄のお野菜と摘んできた野草が入っています」

一番右にあるのが自家製のチーズ。本島北部・やんばると呼ばれる地域の東村(ひがしそん)で飼育されているジャージー牛の生の牛乳を使ったもの。

「これは5か月ちょっとの若いチーズで、これからこなれていく、という感じのものです。フロマージュブランという乳清を取り除いたものを加えて練り上げ、クリーム状にしています。ソースとして、お野菜と絡めながら召し上がってください」

自家製の生ハムは厚切りで食べ応えがあります。ヴェッシー(豚の膀胱)で包んで、乾燥させたもの。11か月かけて純血アグーと、家畜化された琉球いのししの二元豚の肩ロースからつくられているそう。

その上にかかっているのが、なんとパンと土を混ぜたもの。

「畑に海水だけ撒いて島ごぼうをつくっている方がいて、その土を焼き込んで、高温長時間で殺菌し、粉末にしたものと、伊江島の小麦の無発酵パンをあわせて土状にしています」

ふんわりと漂うミネラルの強いごぼうの香り。そして、一番下にはうるま市で採れたアワビ茸のソース。

続いて4品目は「与那城ゲンナー 自家製近海メバチマグロのカラスミ」。

与那城ゲンナーは沖縄で見かける青い魚「イラブチャー」の一種。生のまま軽くマリネだけした赤いオクラが添えられています。上からふりかけているものが、沖縄の近海に来るメバチマグロでつくった自家製のカラスミです。

自家製パンは読谷の小麦を使い、小麦で酵母を起こしたもの。天然のもずくが入っていて、少しねっとりとした食感。

実は今回、ビールに合う料理を、とこっそりお願いしていました。特に相性抜群だったのが、5品目の「沖縄 くいまーる豚 ロティ」です。

「くいまーる豚(*)のロースを低温長時間のローストにしています。まわりには生のカカオ豆をローストして細かく砕いたものを巻いています。ソースはローゼルの葉っぱのソース。恩納村でつくっているすももの冷たいものを添えています。いま焼いた野草を入れたパンと一緒にどうぞ」

しっかりとした食べ応えでいて、カカオのほのかな苦味が肉の旨みを際立たせます。付け合わせの甘いすももとの相性も◎!

*くいまーる豚:食品廃棄物を集めて、豚の飼料をつくり、豚を育てて質のいい肉をつくる食品のリサイクルプロジェクト。

さて、最後にデザートをいただきましょう。「自家製チーズのクレメダンジュとケイク パッションフルーツのマカロン」です。

「右にあるのがパッションフルーツの果汁を使ったマカロンです。真ん中が自家製のチーズをベースにしたクレメダンジュで、その甘みは屋我地島のハチミツを使ってあります。同じチーズを使ったチーズケーキと、最後にもう一度、島米〈ちゅらひかり〉を焼いたものを添えています」

出張料理というスタイルにしたのは、自分の小さなお店を事情があって閉めなければならなくなったとき、お客さんに「自宅に来てほしい」と頼まれたのがきっかけ。

そんな小さな出来事から始まった〈名前のない料理店〉は、いまでは予約の絶えないほどの人気店になりました。

小島さんの沖縄への愛が溢れる料理は、島の自然をそのまま、季節ごとの表情をありありと感じさせ、これからもたくさんの人を魅了し続けるでしょう。

今回飲んだのは、地元の人と一緒につくった〈キリン一番搾り 沖縄づくり〉

「優しくて、はずかしがりやで、つながりを大切にする」と言われる沖縄の人。そんな地元の人と地元のことを語り合ってつくられたのが、この〈キリン一番搾り 沖縄づくり〉です。パッケージのイメージカラーは、紅色。さて、その味わいは……。

キリン一番搾り 沖縄づくりってどんなビール? →

福岡工場製造

※本商品は福岡工場での製造ですが、沖縄のお客様と共に沖縄ならではの味わいをつくりあげたため、「沖縄づくり」としています。

問合せ/キリンビール お客様相談室 TEL 0120-111-560(9:00〜17:00土日祝除く) ストップ!未成年者飲酒・飲酒運転。のんだあとはリサイクル。

information

名前のない料理店

1名6000円、1グループ30000円〜

問い合わせ:restaurant4sln@gmail.com

writer profile

Masayuki Sesoko

セソコマサユキ

フリーランスの編集者。沖縄CLIP編集長。2012年に沖縄へ移住。取材執筆、イベントのディレクションなどを通して、自分なりの目線で沖縄の魅力を発信するべく活動中。著書に『あたらしい沖縄旅行』『あたらしい離島旅行』(ともにWAVE出版)がある。

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撮影:大城亘

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