そもそも飛騨エリアって?

飛騨エリアとは、岐阜県の高山市、飛騨市、下呂市、白川村の4市村のこと。最近では、外国人を含めた観光客増加の増加が注目されるが、それだけでなく、新しい拠点やプロジェクトが生まれ、そこに訪れる人も増えている。

また、観光客が触れたいと思っているのは、実は飛騨に生活する人々の暮らしぶりであったり……。飛騨の魅力とは、暮らしと観光と仕事との新しい可能性モデルかもしれない。ずっと飛騨に住んでいる人、移住者、そして外国人観光客に聞いてみた。

「あなたはなぜ飛騨を好きになったのですか?」

井之丸広幸さん(53歳)【飛騨市】

1908年創業、味噌煎餅本舗〈井之廣〉4代目。

「こいこい会という若者たちが主催して花火をあげている〈ナチュールみやがわ〉というキャンプ場がおすすめです。いろいろなイベントをやっていて楽しい場所です」

宮地元治さん(65歳)【飛騨市】

イラスト入りのPOPが美しい、自身いわく「よろず屋」。生鮮からお菓子まで、整然としたディスプレイで、商品が見やすいお店。

「山があって当たり前の生活を送っているので、山が見えないと息苦しくなりますね」

福山良子さん【飛騨市】

古川のまちで唯一の精米所である福山米殻店。〈しゃべりばち☆おとめの会〉として、まちのマップや飛騨弁カルタをつくるなど、地域活動をしている。

「古川の人は、元気だけど奥ゆかしい。自分のまわりの道も掃除するのが当たり前です。観光に来ても、そんな普段の生活をこっそり見てもらえると思います」

井畑仁志さん(37歳)【飛騨市】

飛騨市役所企画部企画課に勤務。

「家の近所にある、荒城川の桜並木が好きです。古川は互助の精神が強く、つい最近までお葬式も近所の人たちでやっていました。草刈りや川そうじは当たり前ですね。野菜や鮎をもらえたりと、コミュニティが濃いと思います」

藤垣武史さん 奥原美智子さん【高山市】

高山市役所ブランド戦略課のふたり。藤垣さんは高山市生まれ。

「ロードバイクで乗鞍岳の頂上まで登るのはとてもハードですが、登ったあとの景色は最高です。飛騨弁は早口ですが、あたたかくて好きです」

奥原さんは愛知県生まれ。結婚を機に高山へ。

「湿気がなくて住みやすいですね。よく家の周りにある田んぼの真ん中を散歩しています。私にとって飛騨弁は、“日本語じゃないのかな”くらい早口で難しい(笑)」

大道雅司さん(51歳)【高山市】

〈大道たばこ店〉の3代目。

「昔は飛騨の人は引っ込み思案だと思っていたんですけど、やるときはやりますね。古い文化が残りながらイベントなども多くて、古いものと新しいものが融合している気がします。活動的な若者を上の世代が邪魔しないので、世代間が交じり合っていますね」

ジョンさん(34歳) ルーベンさん(36歳)【高山市】

イギリス人のふたり、ジョンさんはサンフランシスコ在住、ルーベンさんはタイ在住。

「東京に3、4日いて、昨日、高山に来ました。伝統が守られているまちで、旅館体験がすごく良かった。風鈴の音が聞こえてとても静かですね。このあとは京都と直島に行く予定です」

野田真司さん(41歳)【白川村】

川魚の養殖をしている野田さんは合掌造りの家に住んでいる。

「白川村には『結』という助け合いの精神が残っています。かつては田植えや冠婚葬祭、いまでも屋根葺きや葬儀はみんなで行います。なんと数年前までは自分たちで火葬してたんですよ」

森下清子さん【白川村】

「人にごはんを食べてもらうのが生き甲斐になっているのよ。次男がゲストハウスをやっているので、食事を持っていったり。外国人も家庭料理を喜んでくれます。この前、布ぞうりをフランス人にプレゼントしたらすごく喜んでくれたわ。このあたりはみんな仲良しで、祝い事などでは七福神の扮装をして村を回るのよ」

二村有三さん(37歳)【下呂市】

下呂市生まれ。東京でお笑い芸人となり、10年ほど前にUターン。現在は川魚の養殖業〈馬瀬川水産〉に従事。

「馬瀬エリアは何もないです。だからいいんです。川には排水もまったく流れていないので、その水で育てたアマゴ、イワナ、マスは最高です。コレが都会には絶対にないこと。生きているなって感じます」

洞 千香子さん【下呂市】

料理が評判の宿〈丸八旅館〉2代目女将。

「この馬瀬地区は、信号もない、もちろんコンビニもありません。でも、馬瀬にしかない風景があります。馬瀬川も上流はもっと澄んでいますよ。こんなところでも、外国人ツーリストが来るんですよ。のんびり、ゆっくりしたいという人が多いです。料理はなるべく地元のものを使っています。ほかから仕入れてしまったら、お互いのためになりませんから。地元があっての旅館だと思っています」

加藤英樹さん【下呂市】

1918年創業の〈柏屋酒店〉3代目。湯之島サンロード発展会会長。

「かつては社員旅行が多かった下呂温泉ですが、最近では個人旅行が増えてきました。だから歩いていて楽しいまちづくりを心がけています。下呂=ゲロにあやかって、カエルをキャラクターにしたり、古いまち並みを残す努力をしています。お店でも、お酒の試飲コーナーを設けて、お客さんと積極的にコミュニケーションをとるようにしています」

writer

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

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