いま飛騨地域が注目される理由とは?

飛騨市、高山市、下呂市、白川村、4つの市村からなる飛騨地域。豊かな自然に、小京都とも言われる古いまち並みや温泉、世界遺産。最近は映画『君の名は。』の舞台としても注目を集めるエリアだが、それだけではない。伝統と新しい技術、あたたかい人、地域のコミュニティ。そこで、ずっと飛騨に住んでいる人、移住者、そして外国人観光客に聞いてみた。

「あなたはなぜ飛騨を好きになったのですか?」

柴原敦子さん【白川村】

名古屋から移住し、2013年、〈アオイロ・カフェ〉をオープン。

「このあたりはパン屋さんがなくて、パン目当てのお客さんにも喜んでもらえています。ここはお店から川が見えるし、ウッドデッキでBBQしながらビールが最高です。周囲も、みんな顔見知りで、子どもをかわいがってもらえますね」

長坂風子さん【白川村】

名古屋から地域おこし協力隊として赴任して3か月。

「白川村は、みんなモノをくれるし(笑)、あたたかくて、地域との関わり合いが深いです。いまは村を回って、情報発信をしています。とにかく積極的に話しかけています。この立場をうまく使って、ここでしかできないことを吸収していきたいです」

今井登志雄さん(66歳)【下呂市】

1994年から下呂市で農業を始める。〈上原プロジェクト〉副代表。

「“回り舞台”が国の重要有形民俗文化財に指定されている芝居小屋〈白雲座〉があって、40年も素人歌舞伎が行われている地域です。まちはまち、田舎は田舎らしさをだそうと、下呂の温泉にプラス1泊できるような工夫を考えています。去年から〈上原プロジェクト〉として本格的に始めたのが、農業体験。田植え、稲刈り、しめ縄づくりなど行い、小学生も参加しています。昨年は4年に1回の“24時間ソフトボール大会”が開催されましたよ」

佐藤智之さん(44歳)【下呂市】

下呂市の地域おこし協力隊・上原地区担当になって4か月。

「上原地域は、地域の歌舞伎や祭りを大切にしている地域です。人が密接で、時間ものんびり流れています。水がきれいなのでホタルも見られますよ。〈上原プロジェクト〉では、小学校でアフタースクールのお世話をしたり、地域につながりを持つような活動をしています」

横関真吾さん、万都香さん【高山市】

東京都出身。ゲストハウス経営のために高山に移住し、2011年〈飛騨高山ゲストハウスとまる〉をオープン。

「実際にまちを歩いてみて、高山にゲストハウスをオープンしようと決めました。歩いて回れるので、お客さんの案内をしやすいですね。外国人ツーリストによく案内するのは、古民家の〈吉島家住宅〉や寺社巡りができる〈東山遊歩道〉です。子育ての環境もいいし、近所の人もアットホーム。まちを良くしようと考えている地元愛にあふれる若者もたくさんいます」

セルヒヨさん(35歳) グラフィスラさん(35歳)【高山市】

スペインのバレンシアから来たカップル。

「東京と京都に行ったけど、とてもビジーでした。山が見たかったので、松本を経由して高山に来ました。都市と雰囲気が違って、静かで落ちついているところが気に入っています」

イエスパさん ローズさん アマンダさん マットさん【高山市】

オランダ人の4人組。

「東京から来て、このあとは富士山と京都に行くつもりです。山をサイクリングしたり、トレッキングしたいと思っています。まだ高山に着いて1時間なんだけど、ビルがない小さなまちには、フレンドリーな人がたくさんいますね」

鈴木岳人さん【高山市】

神奈川県相模原市から高山市に移住して10年目。家具職人として〈山岳木工〉を営んでいる。

「飛騨地域は、祭り屋台や山車の修理などで培ってきた独特の木工技術があって、木工に関してのグレードの高さでいえば、特殊なエリアです。このあたりはすごく牧歌的。季節がはっきりしているところが好きです。ドライブするだけで、リフレッシュできますよ」

森本純子さん【飛騨市】

生まれも育ちも飛騨古川。1999年に〈壱之町珈琲店〉をオープン。

「古川でも古民家がどんどん壊されていくなかで、古民家を再利用したいと思ってお店を始めました。飛騨は自然の中に文化も溶け込んでいます。地元の人や近所の子どもたちの声などに、旅の人が入り込む風景が好きです。あと安峰山から見える朝霧は、とても美しい光景だと思います」

森口明子さん【飛騨市】

〈飛騨の森でクマは踊る〉勤務。

「自分の周りのデザイナーやクリエイターたちが遊びに来ていて古川祭・起し太鼓がおもしろいという話をしていました。それで興味を持っていたんです。仕事の話になっても、お金から始まらないところが好きです。お金よりやる気であって、心が最初にあるんです」

藤田敦子さん(23歳)【飛騨市】

北海道大学在学中。〈FabCafe Hida〉勤務中。

「昨年、休学して3週間インターンとして古川に来たんです。そうしたら古川のことが大好きになってしまって! エコとかの概念ではなく、人が当たり前のように自然の良さをとり入れていることに感動しました。いつもみんな家族のようにあたたかくて、みなさんに見守ってもらっています」

writer

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

photographer

Masahiro Ota

太田昌宏