9月15日から4日間の日程で開催され、18日に無事閉幕した東京ゲームショウ2016(以下、TGS)。来場者数は、4日間で過去最高の27万1224人を記録。37の国・地域から614の企業・団体(海外345)が出展し、こちらも過去最高の数字となった。イベントのエンターテイメント化に成功した裏で、“ゲーム回帰”を期待する気持ちも膨らんだ。

 今回、数字的に大成功を収め、国際的なゲーム展示会の役割も十二分に果たしたTGS。会場は千葉・幕張メッセの全面(1〜11ホール、イベントホール、コンベンションホール)を使用し、そのスケールの大きさに圧倒された。

 けれども、だ。TGSは大好きなイベントであり、今後5年10年と続いてほしいからこそあえて誤解を恐れず総評すると、ちょっとモヤモヤした。

 モヤモヤした理由の一つは、サイバーコネクトツーの松山洋氏が業界関係者として勇気を出して発言したように、あたかも“キャバクラゲームショウ”化しているのが気にかかったからだ。「我々が作るゲームソフトはそんなにも頼りないですか?ゲーム以外の目的を作らないと人に注目してもらうことができないんですか?」(松山洋氏『絶望禁止』ブログより)

 見どころは数限りなくあった。新作ゲームの体験コーナーあり、新設のVR(仮想現実)コーナーあり、著名人のトークセッションありでまさにゲームファンのためのお祭りだった。VRを通じてゲーム技術の未来を感じ取ることもできて楽しかった。それでも何か飢餓感を感じた。

 モヤモヤしたもう一つの理由。それは、TGSを訪れた欧米圏のゲームファンがSNSで「JRPG(Japanese RPG)がなかった」と呟いたコメントが気持ちを多少なり代弁していると思った。言いかえれば、新作発表のインパクトが乏しいと感じてしまったのだ。

 近頃一番盛り上がりを見せているゲームショウは、毎年6月に米国・ロサンゼルスで開催されるE3(Electronic Entertainment Expo)だろう。E3では近年、日本の大型コンテンツの発表で賑わっており、今年は任天堂(TGS出展せず)が開発を進めていた新作『ゼルダの伝説:ブレス・オブ・ワイルド』の発表が話題をさらった。

 日本発のゲームが世界中のゲームファンにインパクトを与えるのは嬉しい。一方、その余波を受けているのがTGSである気もした。今回ウワサをされた新作はあったものの、開発事情などもあってか正式発表されることはなかった。年々「新作を発表するならE3で」という傾向が出来つつある気もしてちょっと寂しい。

 ゲームショウではやっぱりゲーム作品を一番楽しみたい。閉幕時に公開された『人喰いの大鷲トリコ』の最新映像のような情報でもっと驚きたい。今回、そうした最新ゲームの情報量と、各種催しの豊富さ(楽しいのは間違いないのだが)にアンバランスさを感じてモヤモヤしたのかもしれない。

 発表された瞬間に会場中、ネット中にどよめきが走り、「金は用意した。1秒でも早く完成品を作って持ってこい!プレイさせろぉぉ!」と声を張り上げたくなる。そんな2015年のE3で『FINAL FANTASY VII REMAKE』や『シェンムーIII』が発表された時のようなサプライズ感を、いつかTGSで味わいたいなと淡い期待を胸に抱きつつ、来年9月のTGS開幕を1年間心待ちにしたい。(文:桜井恒二)