『手裏剣戦隊ニンニンジャー』のモモニンジャーや、連続テレビ小説『あまちゃん』、『ファーストクラス』などで注目を集めていた女優・山谷花純が『シンデレラゲーム』で映画初主演を果たした。「主演はずっと目標にしていた」と強い視線で語った山谷に、芸能界で生きていく上で大切にしていることや、主演を演じて見えてきたものなどを聞いた。

 本作は、勝ち抜けばトップアイドルになれるが、負ければ殺されてしまうというカードバトル「シンデレラゲーム」に強制的に参加されられた落ちこぼれアイドルたちが、相手を欺き、足を引っ張りあうなかで、懸命に這い上がる姿を描いているが、「今の芸能界の舞台裏をすごく丁寧にきれいに描いているなという印象を持ちました。もちろん芸能界だけではなく、どんな職業だって誰でも上に行きたいという気持ちはあるだろうし、ライバルより輝きたいという思いは多くの人に通じる気持ちだと思います」と山谷は台本を読んだ感想を語る。

 山谷演じる灰谷沙奈は、争いごとからは一歩引いてしまうような女の子だが、トップアイドルを目指していた亡き姉の意思を継ぎゲームの参加を決意する。「私と沙奈って似ている部分が少ないなって感じていたので、どう演じようかと悩んでいたのですが、カメラの前に立ったとき、自分も守りたいけれど人も守りたい、不器用な子だけれど根っからの優しい子なんだろうなと思ったら、沙奈の苦しさが理解できました」と役作りのポイントを述べる。

 沙奈という役はオーディションでつかんだ。「たった数行のセリフだったのですが、この子の強い思いを感じて、どうしてもやりたいという思いをぶつけました」と当時を振り返った山谷。沙奈は厳しいアイドルの世界では、優しすぎるという印象を持っていたというが、山谷自身も「この仕事を始めたときは、ただがむしゃらに好きなことをやって、みんなで一緒に頑張りたいって思っていたけれど、相手はそう思っていなかったり……。なかなかそういう思いだけでやっていくのは難しい世界ですよね」と胸の内を明かす。

 いろいろな経験を経て、映画初主演を果たした。「ずっと目標だったし憧れていたんです。完成した作品を観て、エンドロールで自分の名前が一番最初に出てきたときは、自然とうれしくて涙が流れました」と正直な気持ちを吐露。さらに「他のお仕事でも同じ気持ちでしたが、主演を努めて改めて、スタッフさんへの感謝を実感しました。映画って一人じゃ作れないんだなと思ったし、芝居でしっかりと返していきたいという気持ちが強かったです」としみじみと語る。

 そんな山谷だが「割と人の顔色を伺ったり、観察するのが得意なんです」と自己分析。「人と仲良くなるまでに時間がかかるんです。人のことすごく観察して『この人なら大丈夫』と思うまで、自分の中で線を引いていることがあります」。その基準を問うと「空気感や波長が合うかという感覚的な部分もありますが、本音で話が出来るかということが大切ですね。この業界って本音で話せる人が少ないなという印象があるんです。名前が売れたもの勝ちという部分もあるかもしれませんが、私は人と人とのつながりを大事にしたいです」とキッパリ。

 話を聞いていると非常にしっかりとした考えとビジョンを持っている印象を受ける。「やっぱり映画が好き。観るのも好きなのですが、現場が好きなんです。皆さんの持ち場でプライドを持ってお仕事をされていることが言葉を交わさなくても伝わるんです。一つの台本を持って、みんながいいものを作ろうとするのが映画の現場。役の大小問わず、その場にいられることが幸せなので、これからもたくさん映画に出演したいです」と目を輝かせながら語ってくれた。(取材・文・写真:磯部正和)

 『シンデレラゲーム』は10月1日より公開。