安倍夜郎の大ヒット漫画『深夜食堂』を原作に、深夜の放送ながらもアジア各地を巻き込むブームを呼び、第3部まで続いている人気ドラマを映画化した『深夜食堂』。ファン待望の続編が映画化されることになり、埼玉県・入間市で撮影中の同作の撮影現場を訪問。まさにドラマや映画で目にする風景がそこにあった。

 本作は、深夜だけ営業している食堂「めしや」が舞台。ちょっとワケありな客が現れては、マスターの作る懐かしい味に心の重荷を下ろし、胃袋を満たしては新しい明日への一歩を踏み出していく姿が描かれる…。

 本作でメガホンを取るのは、映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』で日本アカデミー賞を受賞しこれまで、ドラマシリーズ第1弾から、独特の世界観を描いてきた松岡錠司監督。舞台は、賑やかな街の、とある路地裏にひっそり佇む「めしや」。店内だけでなく、店の外側まで、まるで新宿ゴールデン街を思わせるようなリアルすぎる街並みのセットを、なんと300坪の倉庫の中に再現した。

 このセットは、新宿ゴールデン街が好きで、よく飲みに通っているという監督のこだわりで作られた。路地裏のさびれた感じ、何十年も営業している風情の食堂のくすんだ壁の色や室外機の油に汚れた換気扇、ポスターを貼っては剥がれ、少し傾いた電柱、自動販売機の脇の空き缶やボトルで溢れるゴミ箱、設置されたアルミ製の灰皿から溢れるタバコの吸殻などなど…。
 
 現場にスタッフルームも設置されており、監督が頭に浮かんだアイデアをホワイトボードに書き出し、スタッフにも見せて意見を聞くというシステム。監督が原作からエピソードを拾い出し、肉付けして膨らませていく。監督の周りには、美術、照明、撮影、さらにはフードスタイリストに俳優部のスタッフも集まり、微調整を重ねる。
 
 本作で季節感あふれる数々の料理を手掛けているのは、『かもめ食堂』、連続テレビ小説『ごちそうさん』でも活躍したフードスタイ リストの飯島奈美氏。思わず食べたくなる料理の数々は、映像からもにじみ出る温かさをだすために、「料理」は現場で調理している。
 
 当日は「めしや」でのシーンが撮影されており、作務衣姿で、大人の雰囲気が魅力的な小林の姿があり、前作と同じく静かなたたずまいの中に確かな存在感を放っていた。小林は、監督のこだわりを知ってか、セリフを口にするタイミングを確認したりと、細かくチェックをして作り上げていく。

 共演者には、ドラマ版でもおなじみの常連客に、不破万作、綾田俊樹、安藤玉恵、宇野祥平、松重豊、光石研、オダギリジョー、前作でゲスト出演し、本作では常連客として出演する多部未華子、余貴美子ら、個性派実力派俳優が集結。「めしや」を舞台に繰り広げられる様々な人情物語にいっそうの趣を添える。 劇場版続編に加え、世界中の『深夜食堂』ファンにこの世界観を楽しんで欲しいという想いから、『深夜食堂』のドラマ新シリーズが10月21日からNetflixにて配信することも決定した。(取材・文:福住佐知子)
 
 映画『続・深夜食堂』は11月5日より全国公開。