前巨人監督・原辰徳氏らしい“視点”だった。10日、高橋由伸監督が率いて2年目を迎える巨人について問われた原氏は「昨年は由伸、井端が抜けたというのは攻撃的にすごく大きかった。そういう意味で、戦力が少し整った状態で戦えるのは好材料ですね」と、昨季の“敗因”を交えながら展望を語った。

 昨季は優勝した広島に17・5ゲームの大差で2位。若手や助っ人の不調、機動力の低下などさまざまな要因が考えられる中で、原氏が真っ先に指摘したのは、攻撃における切り札の存在だった。

 単純にチームの代打成績だけを見ると、14年は打率・244、9本塁打、46打点、出塁率・313。15年は打率・243、7本塁打、35打点、出塁率・310と、ほぼ同等の成績だった。それが16年は打率・171、3本塁打、27打点、出塁率・241と大きくダウンした。

 昨年、代打で20打席以上立ったのは4選手いたが、代打率では相川の・231がトップ。それ以外の脇谷、堂上、大田(現日本ハム)は、全員が打率1割台と低迷した。

 14年は井端弘和(現・巨人内野守備走塁コーチ)が代打率・292と勝負強さを発揮し、リーグ制覇に貢献。原氏は「日本一のスーパーサブ」とたたえた。15年は高橋由伸(現・巨人監督)が同・395と驚異的な代打成績で、相手を震え上がらせた。控え要員を総動員させる“原野球”で、両ベテランは欠かせない存在だった。そのふたりが15年に現役を引退。16年の代打成績を見ると、その存在の大きさが浮き彫りとなった。

 この日、原氏は指揮官を務めた09年のWBCでも「サブプレーヤーから決めた」と明かしている。「片岡、川崎。亀井か鈴木尚広で悩んだが、当時の尚広はケガが多かったので」。片岡、川崎、亀井の3選手は走攻守で力を発揮し、2大会連続の世界一に貢献した。チームが好成績を呼び込むには、切り札の活躍は欠かせない。

 原氏は「良かったこと、苦汁を飲んだ結果もある。その部分をいかに栄養にするか。2年目は彼自身も楽しみにしているはずだし、私自身も楽しみです」と、高橋監督の手腕にも期待を寄せた。今オフの大型補強で攻撃陣には陽岱鋼とマギーが加入。激しいスタメン争いの裏で、代打の切り札や、引退した鈴木尚広氏に代わる代走要員を誰にするのか。由伸監督が選ぶ“スーパーサブ”にも注目したい。(デイリースポーツ・佐藤啓)