ココナッツオイルといえば、食パンに塗ったり、コーヒーに入れたり、カレーなどの料理に入れたりして楽しむのが一般的だ。そんなココナッツオイルが、近頃、和食に取り入れようという流れが起きている。そこで、ココナッツオイルと和食との相性の本当のところや、美味しく取り入れるためのコツを料理研究家に聞いてみた。

■ココナッツオイルは和食に合わない

近年、美容・ダイエット効果などを得るために、ココナッツオイルを食生活に取り入れる動きがある。おにぎりや味噌汁、納豆などのおなじみの和食にココナッツオイルを合わせるというアイデアも生まれているようだ。クックパッドにも肉じゃがや筑前煮、和野菜炒めなど、いくつかの「ココナッツオイル×和食」メニューが展開されている。ココナッツオイルと和食というのは異色の取り合わせだが、果たしてこれは有効なのだろうか?

料理研究家の橋本加名子さんによれば、ココナッツオイルは、基本的に和食とは合わないという。

「ココナッツオイルは、和食の“だし”をメインとした料理には、基本的に合わないと感じます。昆布とかつおぶしで引いた、日本の伝統的なだしを使った料理は、だしそのものの香りや風味を楽しむものです。ココナッツオイルとは正直、相性がいいとはいえません。ココナッツオイルにも、ほんのり独特の香りと風味があるため、本来のだしの香りと風味の邪魔になってしまうからです」

■ココナッツオイルと合う和食・合わない和食

風味を楽しむ和食の伝統的な“だし”を使った料理は、トロピカルでほんのり甘い香りのするココナッツオイルとの相性が良くないことは、実践してみなくても想像はつく。

しかし、中には、意外と合う和食もあるようだ。

ここで、ココナッツオイルと合う和食と、合わない和食をまとめてみよう。

●ココナッツオイルと合う和食

・味噌汁
・納豆
・もずく
・甘辛の卵焼き
・魚の照り焼き
・鶏のから揚げ
など

●ココナッツオイルと合わない和食

・たけのこの煮物
・野菜の煮びたし
・だし巻き卵
・ぶり大根
・なめろう
・ふろふき大根
・高野豆腐の含め煮
など

この合う・合わないを分ける基準には、一つに「だしの風味がメインになら合わない」、二つに「醤油が多く使われていると比較的合いやすい」などがある。

■普段の食生活でココナッツオイルを活用するコツは?

ココナッツオイルは、どうすれば普段よく食卓へ並ぶメニューに美味しく取り入れられるのだろうか? 橋本さんに具体的なコツを教えてもらった。

●醤油を多く使う料理なら香りが気にならない

「醤油を多く使う和食なら、ココナッツオイル特有の香りも、醤油の香ばしい香りと混ざりって、比較的、気にならないでしょう。納豆に醤油と一緒にかけたり、魚の照り焼きのときに、醤油、酒、みりんと一緒に塗って焼いたりすると、美味しくいただけますよ」

●飲み物、汁ものに入れると取り入れやすい

「ココナッツオイルを、美容やダイエットのために続けたい方は、コーヒーなどに入れて飲み物として飲むのが最も手軽で、取り入れやすいと思います。食事でも、味噌汁であれば合わせやすいでしょう」

●和食より洋食・中華のほうが合う

「カレーやハンバーグ、麻婆豆腐など、洋食や中華のほうが、和食と比べて合いやすいと思います。例えば麻婆豆腐なら、豆板醤の味と香りにミックスされて、うまい具合に美味しく仕上がります。もちろん好みは分かれますが、ココナッツオイルを隠し味にしたり、調味料と一緒に混ぜたりして活用してみてください」

ココナッツオイルを和食に取り入れようと思ったら、だしを使ったメニューよりも、醤油系のメニューが合うことが分かった。ココナッツオイルを続けたい人は、ぜひ覚えておこう。

取材協力・監修/橋本 加名子さん
料理研究家、フードコーディネーター、栄養士。
長年の企業務めをしながら子育てをした経験を活かし、「手抜き」ではない簡単で作りやすいジャンルにとらわれない家庭料理を雑誌、書籍、Webにて製作。各地での料理教室講師、食品メーカーの商品開発、飲食店チェーンのメニューコンサルティング、大手スーパーチェーンのレシピコンサルティング等幅広く「食」の分野で活動中。
世田谷区自宅兼スタジオでタイ料理を中心としたアジア料理と旬の和食の教室「アジアサロン おいしいスプーン」主宰。
http://www.oishi-spoon.com

取材・文/石原亜香利