世界をリードするニッポンの超最先端テクノロジー

@DIME2013年12月15日(日)09:00

世界をリードするニッポンの超最先端テクノロジー
(@DIME)

ノーベル賞を受賞したiPS細胞に続けとばかりに、ロボット、IT、バイオ、環境など様々な分野で世界の常識を変える可能性を秘めた技術が次々と生み出されている。日本発の最先端テクノロジーの一端を紹介しよう。

■『ロボットスーツHAL®』福祉用  サイバーダイン

世界初のサイボーグ型ロボットで人間の身体機能を拡張する

 日本発のロボットテクノロジーが我々の生活の中で活躍し始めている。日本は産業用ロボット開発ではダントツで世界一だったが、ホンダのASIMOなど、我々の手助けをしてくれるロボットも実用化へ向けて大きく前進している。山海嘉之教授(筑波大学システム情報系)らの筑波大学発ベンチャー、サイバーダインがリース販売している『HAL(Hybrid Assistive Limb)』は、身体に装着してパワーアシストするロボット。すでに我々の身近な存在になりつつあるが、人の身体に装着することで身体機能を補助したり拡張したりすることができるサイボーグ型ロボットだ。

 我々の身体が動く時、脳から神経信号が出るが、皮膚の表面にも生体電位信号と呼ばれる情報が漏れ出てくる。『HAL』はその信号を読み取り、各関節のパワーユニットを動かしつつ、『HAL』を装着した人間の筋肉の動きと一体化してアシストする。その際、人間の無意識の反射動作などに追随するのと同時に、ロボット側の「自律的な動き」も併用して動作する。

 山海教授は「人間の神経系を利用するサイボーグ技術は、ロボットのキーテクノロジーになっていくでしょう。『HAL』は、ある時は我々の身体の一部であり、ある時は身体の動きを助けてくれる『透明人間』のようなロボットなんです」と言う。『HAL』はすでに福祉の現場で活躍中。介護される側が自分の身体を使って日常生活ができ、また介護する側の負担軽減にもつながるロボット技術、それが福祉用『HAL』なのだ。

サイバーダイン
『ロボットスーツHAL(R)』福祉用

『HAL』は人間の身体機能を大幅にパワーアップする。重いものを持ち上げることも可能だ。写真のものは下半身型で重量は約15Kg。バッテリー駆動時間は約1時間半。交換用バッテリーを使えばさらに延びる。

福祉用HAL(両脚型)は、下肢に障害があったり脚力が弱くなった人たちの歩行をアシストする。先日、生活支援ロボットの安全性を定めた国際規格、ISO/DIS 13482の認証を世界で初めて取得した。

少子高齢化が進む社会で『HAL』のような福祉用ロボットは、重いものを持ち上げたり段差を上り下りするような作業や災害現場でのレスキュー活動など活躍する場面が増えていくだろう。

<関連情報>サイバーダイン http://www.cyberdyne.jp

■高機能イメージセンサー  ソニー

指先より小さな回路が高機能と小型を同時に実現

 デジタルカメラの目の部分にあたる、光を電気に変えるイメージセンサー。この分野で世界トップシェアを維持し続けているのが、ソニーだ。中でも注目されている技術が、昨年商品化されたばかりのモバイル機器向けの積層型CMOSイメージセンサー『Exmor RS』。

 従来のCMOSイメージセンサーは、画素と回路を並列に搭載していたが、積層型構造では、回路の上に画素を載せられるように進化。これにより、サイズは約40%も小型化。さらに、画素と回路の製造工程を分けられるので、最新の回路を利用した機能追加も容易になった。現在、『Exmor RS』は、同社の最新スマートフォン『Xperia Z』に搭載。この機種では逆光時のビデオ撮影でも、2パターンの露出で同時撮影し画像処理することで、白とび、黒つぶれのない撮影ができるなど、ソニー製カメラに搭載されてきた技術をイメージセンサーのみで実現した。

 ソニーが培ってきたこの超精細な『Exmor RS』の設計・生産技術は、同社の技術力の集大成。他社より2年は先行しているという。今後、スマホ以外にも冷蔵庫などの白物家電や健康医療機器、洋服、雑貨などに搭載されるようなことになれば、新たなビジネスやマーケットが創り出されるだろう。

積層型CMOSイメージセンサー『Exmor RS』。指先サイズに1313万の画素と信号回路を組み込む。

ムービー撮影中に、同一画面内で異なる2つの露出条件で撮影し、最適な画像処理を施す。逆光など条件の悪い撮影シーンでも、色鮮やかな撮影が可能。

スマホやタブレットはもちろん、医療用など、小型で高画質なイメージセンサーの需要は高まるばかり。技術力の差も縮まりにくいので、今後のソニー。屋台骨となるだろう。

<関連情報>ソニー http://www.sony.co.jp/SonyInfo/Support

■榎本藻  神戸大学ほか

藻 を使ったバイオ燃料でエネルギー問題解決を目指す

 人工的に化石燃料を作り出すことは人類の長年の夢だ。中でも大きな期待を寄せられているのが神戸大学の榎本平教授らが開発した「榎本藻」。榎本藻はバイオ燃料を作り出すボツリオコッカスという緑色の藻類で、従来のものに比べ、1か月当たり約1000倍もの増殖力を持ち、繁殖環境も厳密な管理を必要としない。榎本教授が設立した大学発ベンチャー、ジーン・アンド・ジーンテクノロジー(G&GT)は、ネオ・モルガン研究所、そしてIHIと共同で事業会社IHI NeoG Algae社を作り、榎本藻からのバイオ燃料の技術開発を進めている。

榎本藻から作られるバイオ燃料は硫黄分を含ず、大気汚染の軽減にもつながる。太陽光とCO2、水さえあれば藻の光合成によりエネルギーを得られる時代がすぐそこまで来ている。

<関連情報>IHI NeoG Algae http://www.neo-morgan.com/INeoG

■人工DNAインク  大日本印刷ほか

人工DNA入りインクで印刷物の偽造を防止する

 DNAには「塩基」という物質が入っている。この塩基を人工的に作り出し、入れ替えたり新たに組み込んだりしたものが「人工DNA」だ。塩基の膨大な数の組み合わせを自在に設計でき、模倣が難しいため、偽造防止技術への応用が期待されている。理化学研究所の平尾一郎氏らが設立したベンチャー企業、タグシクス・バイオと大日本印刷は、人工DNAを利用した印刷用インクを開発。これを使った紙幣やパスポートなどの印刷物は、高いコピー防止機能を持ち、真贋の鑑定も簡単にすむ。コストも10〜20%程度の高さに抑えられる。

左の写真は、リスの絵柄に人工DNAインクを使っている。暗号と解読はイタチごっこだ。紙幣や有価証券、パスポートなどの偽造問題を解決するために人工DNAが切り札になる。

<関連情報>タグシクス・バイオ http://www.tagcyx.com

■IT創薬  大阪大学ほか

世界初のシミュレーションソフトで効率よく薬を作る

 大阪大学蛋白質研究所の中村春木教授らは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の創薬加速支援事業の一環として国際的にも優れたシミュレーションソフト「myPresto」を開発。これを使い、従来の100倍以上という効率で創薬が可能となった。例えば、鎮痛剤や鎮静薬を作るためには体内で働くエンドモルフィンという物質と似たような化合物を実際に作らなければならず手間がかかっていた。しかし、2000万種類以上の候補物質のデータベースを持つこのソフトを使って生体分子をソフト上で立体構造にして分析、ターゲット物質を容易に見つけ出すことができた。

 

高効率の計算シミュレーションで検出した創薬のターゲット物質のモデル構造。

「バイオインフォマティクス」と呼ばれるコンピューターやIT技術を使った研究の成果で、今後こうした分子の立体構造を使うことで創薬の候補物質を正確に素早く探し出すことが可能となる。

<関連情報>NEDO http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100126

■フィルム製造で培ったナノテクノロジーなど 富士フイルム

フィルム技術をベースに業態転換技術革新、経営の多角化に成功

 カメラがアナログからデジタルへ変わり、世界中の写真フィルムメーカーが事業からの撤退や事業縮小を余儀なくされている。だが、日本の富士フイルムは自助努力や企業買収を進めるとともに、極薄の多層構造である写真フィルムを製造で培った独自のナノテクノロジーなどをベースに技術革新と経営の多角化を実現。同社が開発した要素技術や先端素材は多岐にわたるが、『アスタリフト』に代表される化粧品などヘルスケア製品のほか、省エネ省資源を実現するための廃熱利用の発電シート、高効率の太陽電池やリチウム電池用の部材といった高機能性材料も環境・エネルギーの分野においても高い評価を得ている。

 

1月に開かれた「nano tech 2013国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」でもグリーンナノテクノロジー部門賞を受賞するなど、日本のものづくりに欠かせない存在になっている。

<関連情報>富士フイルム http://fujifilm.jp/

■ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)  ステラケミファ

中性子線でがん細胞を破壊する技術で手術が不要に

 がんの放射線治療は、その過程で正常な細胞にもダメージを与えることが問題だった。そこで「ホウ素中性子捕捉療法(BNC

T)」と呼ばれる治療法では、ホウ素をがん細胞へ取り込ませ、患部へ微弱な中性子線を照射、核分裂反応によりホウ素を取り込んだがん細胞を選択的に破壊する。この実現のためには、BNCT用ホウ素の大量生産と小型中性子線発生装置の開発が必要だった。今回、ステラケミファがBNCT用ホウ素の量産技術を、さらに同社と住友重機械工業、京都大学原子炉実験所との共同開発でBNCT用小型加速器が完成した。

BNCTによるがん治療のイメージ がん治療のためのBNCTシステム

がんの細胞を選んで破壊する画期的な治療法への道が開かれた世界初の技術。現在は治験を実施している段階だが、がん治療の現場へ投入されることが期待されている。

<関連情報>ステラケミファ http://www.stella-chemifa.co.jp

■「RESCAT-CA」  沖電気

客層分析システムで人手を介さず年齢・性別を自動判別

 従来、マーケティング調査などで通行人や客層などを評価する際、年齢や性別を判別するのは、すべて人の目視や入力に頼っていた。顔認証や画像識別のIT技術は高度な進化を遂げているが、沖電気工業が開発した客層分析システム「RESCAT-CA(レスキャットシーエー)」は、同時に最大20人の年齢(1歳単位)と性別を自動的に判別することができる。また、個人情報保護にも最適化され、一度記録した人物は重ねて記録しない機能もある。さらに機械同士をつなぐ「M2M」サービスで人手を介さず、24時間、複数の場所で稼働させることができる。

比較的低価格で導入できるこのシステムで、人手をかけずに正確な客層分析をすることが可能になる。さらに、屋外広告の効果測定など、様々なことへ応用することもできる。

<関連情報>沖電気工業 http://www.oki.com/jp/

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