あの“キューティーハニー”がまた実写映画化される!と発表されたとき、世間の反応は正直戸惑い気味でした。主演の西内まりやはスレンダーでハニーのイメージに合わない? お色気コメディじゃなくて本格アクション路線なの? 賛否両論で迎えられた映画『CUTIE HONEY-TEARS-』(10月1日公開)ですが見て納得。これは2016年版にアップデートされた、新たなハニー像です!

冷酷なAIに支配された世界で…

物語の舞台は、なんと近未来。世界はAIに支配され、街は富裕層の暮らす上層階と貧困層の暮らす下層階に分かれている。下層に住む人々は、上層階からの汚染物質が生み出す有害な雨の中で生活していた。そんなある時、上層階から下層階に1体の美しいアンドロイド・如月瞳(西内まりや)が落下してくる。生みの親である如月博士(岩城滉一)の実の娘の記憶を移植された“感情を持つアンドロイド”である彼女は、下層階で生まれ育ったジャーナリストの早見青児(三浦貴大)たちと共に、世界を支配する“感情を持たない新型アンドロイド”ジル(石田ニコル)に立ち向かう――。

アニメに漫画、実写と何度もリメイクされてきたキューティーハニーですが、ここまで大胆に改変したのは『CUTIE HONEY-TEARS-』が初めてかも。縦に縦にと伸びる架空の都市に、ジルを繋ぐたくさんのアダプターと、スタイリッシュな映像が満載で、SF色がかなり強くなっています。西内にとって本作が初主演映画なのですが、ふんだんにCGを使っているため、グリーンバックの前で演技をしないといけない場面も多かったそう。難しい撮影をよく頑張った!と拍手を送りたい気持ちです。過去にはバドミントン選手を目指していたほどの抜群の運動神経がアクションで活きています。

石田ニコル演じる“ジル”は裏ヒロイン?

谷間の出ないスーツなどから「お色気要素は抑えめなのか?」と不安視されていた本作ですが、確かに“わかりやすい”お色気シーンはありません。ただ、終盤でのジルとのバトルシーン。これが何かイケないものを見ている気持ちになる……!

2人ともそこまで露出度の高い衣装を着ているわけではないのですが、「私のかわいいキューティーハニー」とSっぽい雰囲気のジルに、圧され気味の瞳……。ボロボロになった瞳の腹にジルが“空中元素固定装置”を奪おうと手を差し込み、瞳が悶えるシーンは、「これは何かを連想させる……!」と思わずドキドキしてしまいました。特撮あるあるの“セクシーな女悪役”を石田ニコルが完璧に演じてくれていて、「瞳よりジル派」という人も現れそう。

強大な力に戸惑うような新ハニー

キューティーハニーと聞くと「愛の戦士、キューティーハニーさ!」と名乗りを上げる勇ましいイメージを思い浮かべる人が多いかもしれません。ですが、“西内ハニー”は早見に対してはツンツンした態度をとっていますが、どこか自分が闘う理由に悩んでいるような雰囲気があります。時代に合わせてリメイクされてきたキューティーハニーですが、2016年は「強大な力を持ちながらも悩める正義の味方」こそが人々の心をつかむと考えられたのでしょう。そうなると、「グラマーさに欠ける」と指摘されていた西内ハニーのスレンダーなスタイルも、少女のような華奢さがむしろ、少しナイーブなハニー像に合っているのかも? 時代時代に合わせて姿を変える軽やかさが、キューティーハニーの永遠の美少女たる所以ですね。

とはいっても、これまでのハニーを彷彿させるシーンがまったくないわけではありませんよ! 西内が歌う挿入歌「キューティーハニー(CUTIE HONEY-TEARS-ver.)」など懐かしさを感じる部分はいろいろありましたが、個人的にはランウェイでのバトルシーン。ドレスの“お色直し”をしながらハイヒールで軽やかに闘う姿に、『キューティーハニーF』世代の筆者は胸が熱くなったのでした……!

(文/原田イチボ@HEW)