近年、映画界では女性陣の活躍が目覚しいところ。とくにこの秋は、女性監督作品が多数登場。今回は、10月〜11月に公開される劇場作品から、気になる女性監督の作品をピックアップして紹介。女たちが巻き起こすハリケーンに心乱されること間違いなし!

1:演劇界の奇才・江本純子のセンセーショナルな自伝的映画『過激派オペラ』

劇作家・演出家・女優として活動する江本純子。猥雑で濃い歌劇がヤミツキになる劇団「毛皮族」を率いる小劇場界のカリスマが、初の長編監督に挑んだのが、自らの著作『股間』を原作とする『過激派オペラ』。 ”女たらし”の女演出家が一人の女優と出会ってひと目ぼれし、旗揚げ公演の主演に抜擢。劇団と恋愛の成功と挫折、女たちの嫉妬や欲望を描く、女まみれの狂熱の演劇エンターテインメント。主演は早織(小出早織から改名)と中村有沙。
 予告ムービーで公開されている、下着姿の女たちで路上で騒ぐシーンなど、まさに『過激派オペラ』。 「フツウの恋愛ではちょっと物足りない…」「私にも青春あったよね?」そんな多くの女子に見てほしい、狂おしいほどの青春と愛と性が剥きだしの『過激派オペラ』は10月1日から東京・テアトル新宿でレイトショー公開。R-15+指定。

2:破裂しそうなガラスの10代を描く『溺れるナイフ』

11月5日公開の『溺れるナイフ』はジョージ朝倉のコミックが原作。オトナ女子にも熱狂的に愛され続けている「一生に一度」の伝説的ラブストーリーの実写化が決定するや、奇跡のキャスティングにネット上も狂乱! 東京から田舎町に越してきたヒロインの夏芽に小松菜奈、「この町のモンは、全部俺の好きにしてええんじゃ」という傍若無人な少年・コウに菅田将暉という無敵の二人!
 監督・脚本を手がける山戸結希は、「新世代ファンタジスタ」「日本映画界の大型ハリケーン」の異名を持つ若手クリエイター。2012年、上智大学在学中に撮影した『あの娘が海辺で踊ってる』でデビューし、ポレポレ東中野での自主上映が異例の爆発的ヒット。2015年、第24回日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞を受賞。思春期の少女の輝きや自意識の描き方に定評がある山戸監督の『溺れるナイフ』は注目度マックス! 9月30日まで、原作コミックと映画の名シーンを組み合わせた「『溺れるナイフ』×ルミネエスト新宿 パネル展」が開催されています。夏芽とコウの2人乗りのシーン、キス寸前のシーン…傷つきながら輝く夏芽とコウの青春に、原作ファンでなくても心がざわめきます!

3:ミステリーも、リアルも…女性監督が描く「いま」

10月8日公開の『少女』は、累計100万部突破のミステリー小説の映画化。湊かなえ(原作)×三島由紀子(監督)×本田翼×山本美月という4人の女性たちが、「死」にまつわる禁断の世界を描きます。 高2の夏。二人の少女が「死を知りたい」という欲望にとらわれ、自分の中の闇と向き合う、衝撃のストーリー。「17歳という自分勝手で危うい年代を生きる少女たちを描いてみたかった」と語る三島由紀子は、「NHKスペシャル」「トップランナー」などドキュメンタリーでキャリアを積み、2009年『刺青〜匂ひ月のごとく〜』で映画監督デビュー。かねてから湊作品のファンだったという三島監督が描く湊ワールド、そして本田翼と山本美月、二人の最旬女優のどんな顔を引き出しているのか必見です。

また、孤高のシンガーソングライター・黒木渚の2014年のアルバム「標本箱」をモチーフにしたというヒューマンドラマ『うつろいの標本箱』は、10月29日から”うつろいの”レイトショー! 監督・脚本の鶴岡慧子は、大学の卒業制作で手がけた『くじらのまち』がPFFアワードなどで高い評価を受け、2015年にはPFFスカラシップで製作した『過ぐる日のやまねこ』が公開された、注目の新鋭。
 独特の文学的な歌詞に描かれる女性の強さや揺れる想いを登場人物の6人の女性のストーリーに託し、些細な日常の中で生まれる女性たちと9人の男性のすれ違いや出会いを、ある1日の物語として紡いだ「もうひとつの標本箱」。日々のあたりまえの瞬間を、楽曲とともに感じとりたいですね。 この秋、見るべき映画は決まりましたか?

(文/三浦順子@H14)