9月24日より公開の『白い帽子の女』は、ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー夫妻が『Mr. & Mrs. スミス』以来10年ぶりに共演を果たし夫婦役を演じる注目作。アンジェリーナ自らが監督・脚本・製作を手掛け、ブラッドも映画制作を全面的にサポートしました。撮影の舞台となったのは2人の実際のハネムーン先、マルタ島。ヴァカンスに訪れた小説家の夫と妻が、隣室の若いカップルに感化されながら、互いの絆を見つめ直そうと葛藤する物語です。現実のブラピ・ジョリー夫妻は先日離婚を申請したとのことですが、それを重ね合わせて観るのも複雑な味わいがありそうですね。

恋愛時とはまた異なる信頼関係や、倦怠期のすれ違いを表現できるのは、私生活をともにする実際の夫婦ならでは。今回はそんな“リアル夫婦映画”をご紹介します。

田辺&大塚に永瀬&小泉…長年連れ添った夫婦が初共演した国内作品

田辺誠一&大塚寧々が結婚13年目にして初共演した映画が『恋する・ヴァンパイア』(2015)。2人は桐谷美玲演じるヴァンパイア少女・キイラの育ての親として登場し、恋に悩むキイラを励ます仲良し夫婦を演じました。完成披露試写会では、田辺は「あんまり作らず、自然な感じで演じた」、大塚は「話しやすくてやりやすかった(笑)」と、普段通りに取り組めたことを仲睦まじく語っていました。

妹尾河童のベストセラー小説を映画化した『少年H』(2013)では、夫婦生活24年を経た水谷豊&伊藤蘭が初共演。2人は少年Hこと肇の両親役を務め、閉塞した太平洋戦時下でも翻弄されない生き方を示す父親像と、優しく家庭を見守る母親像を体現。その演技からは熟年夫婦ならではの味わいと貫禄を感じさせました。

離婚後の永瀬正敏&小泉今日子が共演したのが『毎日かあさん』(2011)。西原理恵子の自伝的漫画を映画化した同作で、永瀬は元戦場カメラマンで酒飲みの夫、小泉は一家の大黒柱である漫画家の妻を熱演しています。

実生活では2004年に離婚した2人ですが、オファー時には、少し戸惑った永瀬に小泉が「ああ、面倒くさい!」と劇中の妻さながらのパワフルさで電話をかけ、「永瀬君がやったらとても素敵な役だと思う」と背中を押したそう。また永瀬は「潔く作品を背負う、素晴らしい女優」と小泉を評していて、2人は離婚後も俳優として尊敬し合う関係を築いているようです。

妻への嫉妬に倦怠期…実情がありありと浮かび上がる海外作品

スタンリー・キューブリック監督の遺作『アイズ ワイド シャット』(1999)では、離婚前のトム・クルーズ&ニコールキッドマンが、倦怠期の夫婦役を演じました。同作は非現実的で過激な性描写が特徴。それに加え、イギリスへの一年に及ぶ滞在ロケが原因で夫婦間に亀裂が生じ、2人は離婚に至ったのでは?と囁かれた作品です。

『僕の妻はシャルロット・ゲンズブール』(2001)はタイトル通り、俳優のイヴァン・アタルがメガホンを取り、妻で女優のシャルロットと共演したセルフ・パロディ。人気女優を妻にもったことの苦悩、彼女の共演相手への嫉妬心などをコメディタッチで表現しています。

今は亡きヒューム・クローニン&ジェシカ・タンディは、老夫婦役でおなじみ。共演作は、婚外子の人生を綴る『ガープの世界』(1982)、異星人と老人が交流するコメディ『コクーン』(1985)、UFOとアパート住人との遭遇を描いた『ニューヨーク東8番街の奇跡』(1987)。各作からは、実生活でもおしどり夫婦として知られた2人の温かい雰囲気が伝わってきます。

交わす会話や互いを慈しむ姿に「実際もそうなのかも?」と思わされるリアル夫婦映画。結婚生活に悩んでいる人や、理想の夫婦像を抱いている人は、観ればハッとさせられる場面に出会えるかもしれません。

(文/藤岡千夏@H14)

<作品情報>
『白い帽子の女』
(c)2015 UNIVERSAL STUDIOS
9月24日よりシネスイッチ銀座、渋谷シネパレスほか全国順次ロードショー!