小栗旬が主演した2014年の連続ドラマ『信長協奏曲』。今年1月には劇場版も全国ロードショーとして公開され、話題を呼びました。この作品は、ちゃらんぽらんな高校生・サブローがふとしたきっかけで戦国時代にタイムスリップし、織田信長本人から「自分の代わりとなって生きてくれ」と頼まれ、天下取りに情熱を注いでいくというストーリーになっています。

さて、本作のみどころといえば、何と言っても、信長となったサブローが現代人ならではの斬新な発想・言動で、周囲の度肝を抜いていくという展開でしょう。史実的にも、新しいもの好きで、当時としてはかなりラジカルな思考の持ち主だったとされる信長を、「実は未来人だった」という解釈で描いているあたりが、いかにも漫画的(『信長協奏曲』は漫画原作映画)。本物の信長が顔を頭巾で隠して「明智光秀」と名乗りサブローの部下になるなど、波乱を予感させる仕掛けがあるのも魅力です。

このように未来人を、過去に放り込むことで生まれる「混乱」を動力源とする時代劇は、『信長協奏曲』だけでなく、過去に多数制作されてきました。ここでは、そんな物語を「タイムスリップ系時代劇」と定義し、過去に放送・公開された映像作品をいくつか紹介していきます。

1:戦国自衛隊(映画)−1979年公開

タイムスリップ系時代劇の元祖ともいうべき作品が、『戦国自衛隊』です。近代兵器で武装した自衛隊が日本海沿岸一帯で大演習を行っている際、突如として竜巻に巻き込まれ、戦国時代へ時空旅行。そこで後に上杉謙信となる武将と邂逅し、物語は加速していきます。 現代の軍隊が圧倒的武力を用いて歴史を塗り替えていく、いわゆる「タイムパラドックス」を起こしていく展開。最新鋭のイージス艦が太平洋戦争期にタイムスリップする、かわぐちかいじ原作の漫画『ジパング』でも同じ構成がとられています。『戦国自衛隊』では、村落を襲い、略奪・強姦する自衛隊員が出てくるなど、人間が圧倒的武力を持ち、その使用を抑止する法や秩序から解き放たれたときの、リアルな衝動も描かれています。

2:信長のシェフ(ドラマ)−2013年放送

この漫画原作のドラマが、『吉宗のシェフ』でも『藤原道長のシェフ』でもなく『信長のシェフ』となったのは、戦国時代という動乱の世――日本の転換期が、常に波乱に満ちているからでしょう。
本作においては、Kis-My-Ft2の玉森裕太演じるフレンチのシェフが過去にタイムスリップし、ひょんなことから及川光博演じる信長に気にいられて専属料理人に。その料理の腕により、他国との和睦を成功させたり、自身のピンチを凌いだりと現代の専門的スキルが、時代が違うだけで大きな価値をもたらします。幕末の世にやってきた現代の医師が主人公の『JIN-仁-』と同様の、面白さを描いています。

3:幕末高校生(映画)−2014年放送

戦国時代に並ぶ日本の転換期といえば、幕末です。坂本竜馬、新撰組、吉田松陰など、魅力的な有名人物・組織が割拠する時代に、タイムスリップ系時代劇はより一層面白みを増します。 この『幕末高校生』は、1868年に行われた「江戸無血開城」を巡る物語。タイムスリップしてしまった石原さとみ演じる女性教師が教え子数人と共に、なぜか史実と違い新政府軍と幕府軍が戦争を開始しようとする状況を変えようと、江戸無血開城のキーマン・勝海舟に働きかけるというストーリーです。織田信長といい、この勝海舟といい、現代人側に付く偉人は、その時代では前衛的な考え方をもった人物が抜擢されやすいというのも、タイムスリップ系時代劇に共通する特徴といえるでしょう。

いかがでしたか? 現代人が知恵やスキルを使い、歴史に影響を及ぼしていく……。そんなギミックが楽しい「タイムスリップ系時代劇」。今後もより奇抜な設定・展開を見せる物語の出現を期待したいものです。

文● ロックスター小島