人気グループ全員が出演する映画は、メンバーそれぞれの個性や関係性を考えながら役柄をチェックするだけでも楽しいもの。そこで、トップアイドルから躍進中のグループまで、アイドルたちのきらめきの瞬間をとらえたアイドルグループ“メンバー総出演映画”を紹介します!

森クンがいるSMAPの『シュート!』

国民的アイドルグループ・SMAPのメンバー全員が出演した、同名の人気サッカーコミックが原作の『シュート!』(1994年)。この2年後にSMAPを脱退・芸能界を引退してオートレーサーに転向する森且行の在籍時代の作品である本作は、SMAPとしての唯一の映画なのです。本作の大森一樹監督は、吉川晃司出演『すかんぴんウォーク』(1984年)、斉藤由貴出演『恋する女たち』(1986年)など、旬のアイドルを撮る名手です。

ちなみに、公開された1994年とは、SMAPにとってどんな年だったのでしょうか? SMAPが「Can't Stop!! -LOVING-」でCDデビューしたのは1991年。以降、スマッシュヒットを飛ばすものの、時はアイドル氷河期時代。アイドルが歌う場が激減する中、SMAPはバラエティ番組やドラマに進出します。土曜深夜にレギュラー出演していた「夢がMORI MORI」で挑戦したコントや、スーパーキックベース(基本的には野球のルールだが、投球をキックする)の盛り上がりで、ジャニーズファン以外にも知名度を広げていきます。そして1993年秋、ドラマ「あすなろ白書」で、ヒロインを一途に想う役柄のキムタクの人気が爆発! またJリーグ元年として、三浦知良や武田修宏、ラモス瑠偉など華やかなスター選手たちが活躍し、それまで決してメジャースポーツではなかったサッカーの人気にも一気に火がつきました。つまりSMAPとJリーグ、どちらも人気が過熱してきた流れがあっての『シュート!』公開だったのです。

SMAPの6人がサッカーに青春をかける高校生を演じた、この作品の挿入歌「Hey Hey おおきに毎度あり」は、初のオリコン1位を獲得! 映画と合わせて大ヒットとなりました。 カリスマ的な天才プレーヤーを演じたキムタクのクールなカッコよさはすでに開花。中居クンや森クンのスーパープレイや全員の爽やかな笑顔は、あの深夜のキックベースでハジケていた若き6人の輝きそのもの。 2016年12月31日をもって解散するSMAPの伝説の映画を、時代とともに振り返ってみませんか?

人気を象徴してきたグループ映画の数々

この『シュート!』には、のちのV6の井ノ原快彦と長野博、KinKi Kidsの堂本剛と堂本光一、先輩の男闘呼組の前田耕陽も出演しています。 そして、井ノ原快彦の青春時代のエピソードを元に作られた映画が、嵐の『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』(2002年)。関ジャニ∞は『エイトレンジャー』(2012年)で全員が等身大のヒーローを演じています。思えばジャニーズのグループ映画は、かつての「東宝映画たのきんスーパーヒットシリーズ」などアイドル映画黄金期の一角を担ったもの。SMAPからさかのぼって、歴代のジャニーズのグループ映画をたどってみるのも楽しいはず! ちなみにジャニーズではありませんが、もうメンバー全員そろわないという意味ではチェッカーズの『CHECKERS IN TAN TAN たぬき』(1985年)もレジェンド的な名作! 当時の絶大な人気を象徴する、説明不要の“アイドルがアイドルとして存在する”映画です。

少女たちの青春…ももクロ、東京女子流、夢アド

ももいろクローバーZが2015年に全員で主演した『幕が上がる』は、高校の弱小演劇部を舞台にした青春映画。本広克行監督は本作を撮るにあたり、80年代のアイドル映画を狙って、巨匠・大林宣彦監督にアドバイスをいただいたというから、これはもう筋金入りのアイドル映画といってもいいでしょう。大林監督の『時をかける少女』(1983年)を観た誰もが原田知世に恋をしたように、誰もがももクロに恋をする『幕が上がる』。ももクロたちの本気の挑戦に、モノノフでなくとも胸がアツくなります。

また、東京女子流の『5つ数えれば君の夢』(2014年)は、文化祭を間近に控えた女子高を舞台に、女子流のメンバー全員が主役となる、5人分のエピソードが描かれています。山戸結希監督は、思春期の少女を題材にした青春映画で評価を得ている注目の女性監督。スクリーンでしか見られない女子流のメンバーそれぞれの表情は必見!

また、今年10月公開の内村光良監督・主演作『金メダル男』には、夢みるアドレセンス…“通称「夢アド」”の5人全員が主人公の同級生役で出演。アドレセンスとは、思春期のこと。ローティーン向けファッション誌「ピチレモン」のモデルを中心に結成された夢アドのキャッチコピーは、「カワイイだけじゃダメなんですか!?」というだけあって、そのビジュアルはものすごいポテンシャル。『金メダル男』でも遺憾なく発揮される「カワイイ」5人の思春期を見届けましょう!

(文/三浦順子@H14)