映画『告白』『白ゆき姫殺人事件』、ドラマ「贖罪」など、映像化された作品がどれも話題となる作家・湊かなえ。彼女の同名小説を原作に、「人が死ぬところが見たい」と“死”にとりつかれた美少女たちの禁断の世界を、『縫い裁つ人』の三島有紀子監督が激しくも繊細に描き出した映画『少女』が10月8日全国ロードショー公開されました。主人公の由紀を演じる本田翼と、その親友・敦子に扮する山本美月が醸し出す、思春期の女子特有の“百合”的要素が見どころの作品です。

「因果応報」をキーワードに展開する衝撃的なストーリー

厳格な祖母の支配下で育ち、授業中も一人黙々と小説を書き続ける由紀と、剣道で将来有望とされながらも、団体戦でのミスをきっかけにケガを負い、陰湿ないじめを受けるようになった敦子。そんな心に深い闇を抱えた二人の女子高生が、「死体って見たことある?」という転校生の言葉をきっかけに、「リアルな死」を実感したいという願望にとらわれ、徐々に深みへとはまっていく姿をミステリータッチで描きます。

映画冒頭に読み上げられる「遺書」は、いったい誰が書いたものなのか――という謎解きの要素を一つの軸としながら、「因果応報」という言葉をキーワードにストーリーは進みます。ある罪を犯した国語教師の顛末や、虚偽の痴漢被害でオヤジから金を巻き上げる女子高生に隠された秘密など、由紀と敦子を取り巻くさまざまな人々の人生模様を明らかにしつつ、物語は衝撃的な結末へと向かっていきます。

随所に散りばめられた美少女二人の百合っぽさ

「百合」とは、女性(特に少女)同士の恋愛関係を指す言葉です。無数の白い花に埋め尽くされた制服姿の美少女二人が、まっすぐ前を見据えるメインビジュアルや、十字架をバックに二人が寄り添い、そっと手を触れ合わせるポスタービジュアルなど、もはや確信犯的とも思えるほど強烈な百合っぽさを漂わせている本作ですが、もちろん映画本編のなかにも、百合好きの心をくすぐる萌えポイントが、随所に散りばめられています。

たとえば、体操着に着替えて廊下を歩く由紀に、制服姿の敦子が後ろからうれしそうに駆け寄り、するりと腕を絡ませたり、なぜか“しりとり”を繰り返しながら下校したり、別れ際、反対側のホームから電車の窓越しに熱い視線を交わし合ったり……と、まるで付き合いたてのカップルさながらの「恋は盲目」的な初々しいやりとりの数々が、女子高を舞台に繰り広げられていくんです。

さらには、次第にエスカレートするクラスメートのいじめに耐えかね、保健室のベッドで「死にたい」と口走る敦子に、「暗闇の中を一人ぼっちで綱渡りしているような気持ちかもしれないけど、そんなことないから」と由紀が優しく手を差し伸べるシーンや、街を見下ろす丘の上で、「自分は敦子を救いたいとの一心で小説を書き上げたのだ」と嗚咽しながら訴える由紀を、敦子が後ろからギュッと抱擁するシーンには、由紀と敦子の間に確かに芽生えたゆるぎない絆が感じられ、ときめきを覚えずにはいられません。

「リアルな死」への探求を通じて「生とは何か」を浮き彫りにしていく映画『少女』。思春期の美少女二人が奏でる百合的要素にもぜひ着目してみてください。

(映画ライター・渡邊玲子@HEW)