10月8日より公開の『少女』は、松たか子主演でヒットした『告白』(2010年)の湊かなえ原作、本田翼&山本美月出演のミステリー。“人の死の瞬間を目撃したい”という願望を抱く由紀は、高2の夏休みに小児科病棟でボランティアをはじめます。陰湿ないじめにあっていた親友の敦子もまた、“人の死を見れば生きる勇気をもてるのでは“と期待を寄せ、ボランティアで老人ホームに出向くようになり…。本田演じる謎めいた雰囲気の由紀と、山本演じる過度の不安症を抱える敦子。思春期の繊細な心、他者との関係性のズレが、2人の少女を危険な行動へと駆り立てていきます。

ニュースなどで「少年法」「少年犯罪」と定義された言葉が飛び交う世間では、少年のもつ危険なイメージがクローズアップされがちですが、禁忌を犯す危うさを十二分に孕んだ思春期の“少女性”に着目した物語は複数存在します。今回はそんな少女たちを描いた映画作品をご紹介。

1:『害虫』(2002年)

宮崎あおい主演の、過酷な現実に反抗するように、周囲を破滅させていく少女の物語。母親が自殺未遂するなど、不安定な環境下で心を押し潰されそうになっている中学生のサチ子。家でも学校でも居場所を見つけられず、街をふらつき、淡々と非行に走っていきます。あたりやの青年・タカオと出会い少し心情が変化するも、不遇の事態に見舞われてクライマックスでは予想外の行動に出ます。母親を演じるりょう、唯一の友人・夏子役の蒼井優、サチ子が小学生時代より慕う教師・緒方役の田辺誠一らが脇を固め、静かな凶暴性に満ちた世界観を構築しています。

2:『Dressing Up』(2012年)

新進気鋭の安川有果監督が送る青春ドラマ。しかし一般的な青春映画とは一線を画し、物語の色合いが途中から転調していく作品です。父と2人暮らしする中1の育美は、将来は母親のようになりたいという級友の発言をきっかけに、今は亡き母親に興味を持ちはじめます。しかし母親の過去の闇にふれたことで、自身が内包するモンスター性に苛まれていき…。監督が神戸の連続児童殺傷事件にインスパイアされて誕生したという同作。シンプルな日常生活の描写と、モンスター性を表わしたホラー的な描写が混在する68分のショートフィルムです。
 主演は同作で国内映画祭の女優賞三冠を獲得した祷キララ。『堀川中立売』(2010年)、ロックバンド・神聖かまってちゃんのMV出演で知られ、9月17日より公開中の『校庭に東風吹いて』にも出演しています。

3:『小さな悪の華』(1971年)

フランスで製作されたにも関わらず、その反道徳的な内容から本国では上映禁止となり、アメリカと日本のみで上映された問題作。まぼろしの作品とされていますが、日本では現在DVDで視聴可能です。修道院の厳しい寄宿学校に通う15歳のアンヌとロールは、ボードレールの詩集『悪の華』に耽溺し、悪魔趣味的世界に没頭していきます。ヴァカンスを利用して、盗みや放火、年上男性への誘惑、小動物の殺害など、残虐な行為をエスカレートさせ、ついには死の危険を孕む局面へと向かっていきます。カトリックの学校に通いながら悪事を働く2人の表情は、純粋そのもの……。

どの作品にも共通してみられるのは、取り巻く環境の中、ふとした弾みで放たれる少女たちのピュアな好奇心。それこそが、美しくも恐ろしい少女性の源であるといえるのかもしれません。

(文/藤岡千夏@H14)