アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回はヴィレッジヴァンガードコーポレーションの「ニッポンの課長」を紹介する。



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■ヴィレッジヴァンガードコーポレーション 営業部 エリアマネージャー 植田将行(33)

 今でも初めて行ったときの衝撃を、植田将行=写真中央奥=は覚えている。高校生のとき、“ツレ”が朝からテンション高く話しかけてきた。

「将行、死体が載ってる本が置いてある本屋を見つけたぞ!」

 学校が終わると2人はダッシュで本屋へ。それが、大阪・アメリカ村のヴィレッジヴァンガードだった。

 今でこそ、死体が載っているような本は置かないが、「遊べる本屋」として、本はもちろんのこと、お菓子やお香、おもちゃ、入浴剤など、個性的な商品が所狭しと置かれるスタイルは変わっていない。

「ヴィレッジヴァンガードで買い物をするのは、すごいステータスでした」

 生まれも育ちも大阪・岸和田。桃山学院高校に在学中、だんじり祭りの青年団に入った。だんじりの練習や会合に没頭するあまり、大学進学はせず、高校卒業後はカラオケ店や引っ越し屋、トラックの運転手などの仕事を転々とした。

 転機は20歳のとき。ヴィレッジヴァンガードがアルバイトを募集していたのだ。すぐに応募、2日後には現・イオンモールりんくう泉南店(大阪府)で働き始めた。

「1年半はフラフラと働いていました。祭りのことしか考えてなかったので(笑)」

 けれども、祭りをあきらめずに正社員になれることを知ると、がぜん仕事に注力するようになる。その働きぶりが認められ、2007年、店長に昇格。その約10カ月後、売り上げを伸ばした植田は社員採用となった。

 エリアマネージャーになったのは4年前。この4月に関東エリアの担当になり、東京に引っ越してきた。千葉、東京西部、お台場など9店舗の売り上げ向上のために奔走する。

「めっちゃ楽しいですよ。でもやっぱり、祭りが一番なんですが」

 祭りも仕事も、本気を出したときの植田は無敵だ。

(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(編集部・大川恵実)

※AERA 2016年7月11日号