モデル、俳優、シンガー・ソングライターとして若い女性に絶大な人気を誇る西内まりやが「キューティーハニー」になった。自らの殻を破る作品になったという。

 名作アニメ「キューティーハニー」といえば、ハニーのお色気変身シーンがお約束。だが、主演の西内まりやは、

「お話をいただいた時、『スタイリッシュな作品にしたい』というコンセプトを伺いました」

 と語る。

 実際、映画「CUTIE HONEY ―TEARS―」はコメディーシーンや、いわゆるお色気シーンを封印。「ブレードランナー」さえ思わせるSFアクションとなっている。

 舞台は人工知能(AI)に支配された近未来。街は富裕層が暮らす上層階と、彼らが垂れ流す汚染物質が生み出す雨の中で生きることを余儀なくされた下層階に分断されていた。ある日、下層階に1体のアンドロイド、キューティーハニーこと如月瞳(西内)が落下してくる。彼女は生みの親である如月博士(岩城滉一)の実の娘の記憶を埋め込まれていた……。

●なぜ受け身が必要か

 モデル、俳優、シンガー・ソングライターとして活躍する西内にとって、初の主演映画。ワイヤアクションを含めた本格的なアクション、アンドロイドとしての感情表現、主題歌の制作と多くのことに挑戦した。

 アクションは、1カ月かけて基礎から習った。まず防御装備をして殴り合うことで、

「なぜ受け身が必要なのか、体感したことで理解できました」

 と振り返る。

 その後、走ることに始まり、ストレッチ、マットの上を回転する受け身、ジャンプして転がって立つ、パンチ、回し蹴りや後ろ蹴り……などと練習を重ねた。トレーナーからは、「寝られる時は5分でも寝て、起きたらすぐにアクションシーンに入れるようにするのが大事」と教えられた。

「演技の幅も広がるし、アクションに興味が湧きました。演じた時は大変でしたが、出来上がった映画では『こんなに強い存在になれたんだ!』と無敵に思えました(笑)。これからもぜひやりたいです」(西内)

 CGとの合成シーンも多かった。難しかったのは、目印となるバツ印に向かって演じなければならなかったクライマックスシーン。この日、監督は2人とも、一切口を利いてくれなかった。5、6時間ピリピリした緊張感が続いたが、撮影が終わった途端、監督にポンポンと肩をたたかれたという。

「『頑張ったな』と声をかけられて『えー!?』。『このためにずっとしゃべらなかったんだよ』と。大事なシーンだったので、監督が張りつめた空気をつくってくださったんですね。すごく感動しました」

●自分の心を信じよう

 エンディングでかかる主題歌「BELIEVE」は、「いつかリリースしたい」とストックしていた曲をアレンジし、作詞と歌を担当。Bメロはハニーと同じように意志を持って「地声」で歌うことにこだわった。

「歌手として、自分の殻を破りたいという思いを込めました。何かをつかむためには何かを失ってしまうかもしれない。でも、失うからこそ大切なものに気づくことができるんですよね」

 恐れずに一歩踏み出そう、自分の心を一番に信じよう、という歌詞にはハニーと自分自身へのメッセージを込めた。

「みなさんのおかげでできた一曲。すごく思い入れのある曲になりました」

(フリーランス記者・坂口さゆり)

※AERA 2016年10月3日号