10代から活躍し続けている長澤まさみさん。さわやかな清純派のイメージを脱し、近年はさまざまな役柄にチャレンジされています。ご本人も認める母親譲りのスタイルのよさには、対談を行った作家の林真理子さんもうっとり。飾らず自然な様子には、すでに風格が漂っているのでした。

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林:「真田丸」では真田信繁(堺雅人)の幼なじみのきりちゃんを演じてますけど、これもおもしろい役ですよね。口調もきりちゃんだけ現代っぽくて、ちょっと異質な感じ。

長澤:台本に書かれてるとおりにやってるだけなんですけどね。長年大河を撮ってるスタッフさんたちは、「実際どんなふうに言葉を発してたかなんてわからない。想像でしかない」と。時代によって変わっていくのが言語だと思うので、きりのような立場だったら、可能性としてあのしゃべり言葉もありなんじゃないかと思ってます。

林:なるほど。きりちゃん、いつも楽しそうですよね。お菓子食べたりして。お梅ちゃん(黒木華)に信繁をとられちゃったときはかわいそうでしたけど、信繁とはこれから結ばれるんですよね。

長澤:まだわからないんですよ。

林:そうなの? きりのモデルとなった女性は、信繁の側室として生涯をまっとうするんだけど。

長澤:そうなんですけど、脚本の三谷幸喜さんが、「やっぱりやめるかもしれません」って(笑)。

林:そうなんですか。女性は史料が残ってないから、わりと自由に描けるみたいですね。

長澤:史料って、別の視点で見たらまた違ってくるでしょうから、何でもありなのかなと。だからこそ、自分が生きてない別の時代に思いをはせるのは、おもしろいことだと思いますね。

林:大河ドラマって1年間一緒にやるから、共演の方とすごく仲良くなるんでしょう?

長澤:そうですね。今回、すごく仲いいです。

林:まだ20代なのに、立て続けにすごい作品に出られて。

長澤:天才と呼ばれる方とばかり仕事をさせていただいて。才能がある人のそばで仕事ができる幸せは、なにものにも代えられない気がします。

林:相手の才能をちゃんと感じられるというのも、すごいですよ。監督さんはみんな、長澤さんをほんとにきれいに撮りますよね。思い入れが強いんだと思う。

長澤:きれいに撮っていただけています。

林:「海街diary」では、小津作品みたいに畳に座るシーンが多いじゃないですか。長澤さん、脚が長いから窮屈そうに座るんだけど、そこで長い脚がさらに強調されるんですよね。きっと是枝(裕和)監督が意図したんだなと思いましたよ。

長澤:監督という職業は、すごいですね。でも、コワいですからね。何を考えてるか、どう料理されるかわからない。私たち役者なんて、手のひらの上で転がされてるだけですから。

林:いま、大女優への道を着実に歩んでいるわけですけど、これからこういうのに出たいとか、あるんですか。

長澤:あります。私、李相日監督の作品が好きで、出てみたいんですよ。

林:公開中の映画「怒り」の監督さんですね。「悪人」(10年)ではそれまで好青年を演じていた妻夫木聡君に、「えっ、こんな人だっけ?」という役をやらせちゃって、びっくりしましたよ。そうそう、長澤さん、(ビート)たけしさんに、「ポルノ映画に出てもかまわない」って言ったって本当ですか。週刊誌の見出しにありましたけど。

長澤:いやいや、あれは「東スポ」の書き方です。「海街diary」で東スポ映画大賞をいただいたときに、たけしさんが「そういう映画もやってもらって」みたいなことをおっしゃったんです。ガダルカナル・タカさんに「どうですか、長澤さん」って言われて、「やりたくないです」と答えるのも大人としておもしろくないから、「ああ、いいですよ」って(笑)。

林:スポーツ紙とかオジサン週刊誌の広告とか見てると、「長澤まさみ、ついに脱ぐ」とか、しょっちゅう出てますよ(笑)。

長澤:見たい願望があるんでしょうか(笑)。スタイルを認めてもらえる機会が増えたから、そういう印象が強いのかもしれないですね。私よりも露出度の高い洋服を着てる人って、いっぱいいると思うんです。ある意味、両親に感謝ですね。

林:私は娘に申し訳ないことしちゃったかな……。オジサンたち、長澤さんがちょっと露出するだけで勝手に騒いじゃうんですね。

長澤:私もふざけてるんで、おもしろいことを言いたくなっちゃうんです。

※週刊朝日  2016年10月7日号より抜粋