年金制度だってどうなるかわからない、先行き不透明な時代。だからこそ資産防衛の術を身につけたい。本誌が厳選した「金が戻る」34制度で、その糸口を探してみてはいかがだろうか。

「老後の保障がなくなり、心配になった……」

 政務活動費の不正問題で今夏辞職した富山市議会の元議長(69)の反省の弁だ。なんでも2011年に地方議会の議員年金が財政難から廃止となり、市政の活動に使う金に手を付けたとか。結局、利息も含めて返済した額は約875万円。ついでに「飲むのが好きで断れない性格」だそうで、一晩で最低3〜4軒をハシゴ酒とか。まったく市民を愚弄(ぐろう)した話である。

 だが、真面目に生きる本誌読者とて、将来的な不安と無縁ではいられない。年金の支給開始年齢は65歳へ段階的に引き上げられるうえ、そもそも一国の首相が「新しい判断」と称し、数年前に国民と交わした約束さえ守らない。年金制度だってどうなるかわからない。先行きが不透明な時代だからこそ、大切なのは資産防衛。いかに支出を抑え、「戻る金」を手元に戻すか。本誌が厳選した34制度(下記)を参考にしてみてはいかがだろうか。

 補助金や税控除のかたちで、国や自治体、ハローワークなどが子育て世帯、働き手、お年寄りら向けに設けた“金が戻る”制度は実に多い。上限金額や対象条件は自治体ごとに異なるが、進学や就職(活動)、自宅の改修など、出費がかさむ機会には、インターネットなどで確認するのが得策だ。

 例えばコストが高い私立幼稚園の入園には、各市区町村がバックアップする制度(私立幼稚園就園奨励費補助金)がある。財布だけでなく心までも痛むAGA(男性型脱毛症)治療は、基本的には医療費控除の適用外だが、治療薬については適用されるケースもあるようだ。働く会社員の産休・育休にも盲点がある。もらうのは非課税所得の手当であり、給与ではない。つまり丸々もらいつつ、扶養家族入りをして、さらに節税も可能となるのだ。

 また単身赴任先と自宅の間の交通費についても、確定申告をすれば税控除の対象となる(特定支出控除の「帰宅旅費」)。会社にお任せなんて姿勢でいると、おトクな制度を見落とすことになる。

 自治体独自のユニークな制度もある。例えば、ダイハツ工業のおひざ元の大阪府池田市。市は同社の協力で子だくさんの世帯に新車の無償貸与を続けている。これまでは第4子以上がいる世帯が対象だったが、17年度からは3人目が生まれた世帯にも小型車「ブーン」の3年間貸与を始めるという。アナタの住む自治体にも、節約につながる意外な制度があるかもしれない。

■世代別! 戻るマネー厳選34制度

【子育て中】
●子どもができないので不妊治療をしたい <特定不妊治療費助成>
年度あたり1回15万円で2回まで。通算5年支給。夫婦合算で所得が730万円未満。独自の上乗せ助成がある自治体も

●子どもが私立幼稚園に入園した <私立幼稚園就園奨励費補助金>
入園料・保育料を減免。限度額は年間最大30万8千円。自治体によって所得制限、補助金上限の違いあり

●子どもが病気になった〈乳幼児・子ども医療費助成制度(マル乳・マル子医療証)〉
医療費の全額または一部を給付。「中学卒業まで」など各自治体によって規定

●子どもが高校に入学した <高等学校等就学支援金制度>
月額9900円を限度に支給。世帯年収が910万円程度までの保護者。所得に応じて加算あり

●子どもが通学時・学校でけがをした(亡くなった) <災害共済給付>
医療費の一部または障害見舞金、死亡見舞金。幼稚園・保育所〜高等(専門)学校に通う子ども

【働く世代】
●資格取得やスキルアップなど <教育訓練給付>
学費の20%(最大10万円)を給付。初回は雇用保険に1年以上加入している、一定の講座を修了した人(退職後1年以内も可)

●就職活動で遠くの会社訪問 <広域求職活動費>
交通費・宿泊費を補助。400キロ以上離れた事業所での面接など一定要件を満たした人

●退職後に職業訓練 <求職者支援制度>
月額10万円の職業訓練受講手当と訓練施設までの通所手当。雇用保険の求職者給付を受給できない人。世帯収入などで制限あり

●単身赴任先から自宅に帰宅 <特定支出控除>
交通費を控除。単身赴任中の会社員など

【結婚を意識する世代】
●そろそろ結婚したい <婚活サポート>
婚活パーティーの情報提供、イベント時の宿泊費補助など。未婚の男女(年齢制限あり)。

【家を買う世代】
●マイホームをローンで買う <住宅ローン控除>
原則所得税から年末のローン残高の1%を10年間控除。ローンで取得した人。控除額は最大で400万円

●マイホームを買う <すまい給付金>
最大30万円を給付。年収510万円以下の人。申請期限は引き渡しから1年3カ月以内

●太陽光パネルをとりつける <太陽光発電システム設置費補助金>
1キロワット当たり2万〜上限7万円などを補助。あらかじめ補助金申請が必要。自治体によって補助上限額が異なる

●良質な賃貸住宅に住む <特定優良賃貸住宅(特優賃)>
15〜20年間家賃補助。特優賃に住む中堅所得者の家族世帯。家賃負担は世帯収入や自治体により異なる

●空き家を解体したい <空き家解体費用補助>
一部費用を補助。「倒壊の危険あり」の空き家が対象。市区町村により異なる

●家の耐震化工事 <住宅耐震改修特別控除>
最大25万円控除。建築基準法改正(1981年5月31日)以前に建てた家

●省エネのために自宅を改修 <省エネ改修特別減税>
最大25万円など控除。50万円を超える省エネ工事

【健康が気になる世代】
●人間ドックを受けたい <人間ドック助成>
多くは数万円を助成。加入先が国民健康保険か社会保険かで異なる。何か病気が見つかって治療に入ると医療費控除の対象に

●AGA(男性型脱毛症)治療薬・ED(勃起不全)を治療したい
医療費として控除。医師の診断・処方を受けた人。インプラントやレーシック手術も医療費控除が使えるケースも

●メタボ解消でスポーツジムに
医療費として控除。医師に運動療法処方箋を受け、指定運動療法施設で行う場合

●がんになって働けないようになった <障害年金>
障害等級によって支給。障害基礎年金は1〜2級、障害厚生年金は1〜3級の障害認定を受けた人

【高齢者の生活費】
●60歳から給料が減った <高年齢雇用継続基本給付>
賃金を最大15%まで補てん。60歳以降も働き、賃金が60歳時点より25%以上下がった場合

●65歳になる前に退職 <失業給付の基本手当>
日額6千〜8千円を年齢、退職事由により最大330日給付。雇用保険加入者(1年超)

●定年退職後に仕事をしていない <所得税還付>
所得税の還付。年の途中の退職者

【介護中】
●介護ボランティアに参加 <介護支援ボランティアポイント制度>
年額上限5千円など交付。介護保険施設で活動した高齢者。実質的な介護保険料の値下げに

●介護保険の自己負担が重たい <高額介護サービス費>
負担上限(3万7200円など)を超えた分を払い戻し。所得に応じて負担上限額が異なる

●入浴・排泄用の特定介護用品を買う <福祉用具購入助成>
費用の8〜9割を助成(年間10万円が限度)。要介護または要支援認定者。おむつに関しても医師から「おむつ証明書」をもらえば医療費控除の対象に

●介護のため仕事を休職 <介護休業給付金>
賃金の67%を給付(通算93日が限度)。雇用保険加入者で被介護者が2週間以上常時介護が必要な場合。働いている時の8割以上の賃金が払われていない場合に給付

●要介護の認定を受けて自宅をリフォーム <介護保険の住宅改修>
最大で支給限度基準額(20万円)の9割を支給。要介護の人。手すりの取り付け、段差解消など

●介護費と医療費が同時にかかる <高額医療・高額介護合算療養費>
自己負担の合算が基準額を超えた場合に支給。世帯内の同一の医療保険加入者。入院時の食事負担や差額ベッド代は含まない

【突然の訃報】
●長年連れ添った自営業の夫が亡くなった <寡婦年金>
60〜65歳、夫の老齢基礎年金の4分の3を支給。夫の国民年金納付・免除期間が合計25年以上。10年以上の婚姻関係

●シングルファーザーである <寡夫控除>
27万円控除。子がいながら離婚または死別した場合。合計所得金額が500万円以下

●家族や親せきが亡くなった <埋葬料・家族埋葬料>
5万円程度を支給。健康保険の被保険者またはその扶養家族。自殺でも支給される

●父母が続けて亡くなった <相次相続控除>
相続税を一部控除。10年間のうちに2度相続があり、相続税を納めた人

※週刊朝日 2016年10月14日号より抜粋