ロシア人コスプレーヤーとしては初のメイドカフェ「ItaCafe」(東京・早稲田)が10月17日、オープンする。本格的なロシア料理を提供し、これまでのメイドカフェのイメージとは一線を画す。料理の完成度の高さは、在日ロシア大使館が公式ツイッターで試食会の様子を動画で紹介するほどだ。

 店長はコミケなどのイベントで「美しすぎるロシア人コスプレーヤー」と呼ばれる“ナスチャん”さん。20代前半で日本語学校に通うモスクワ出身の女性だ。メイドはナスチャんさんのほか2人。フェイスブックには〈当店のメイドは料理の素人なので味の保証はありません〉とある。このため当初は〈殺人的な味〉になるとの懸念もあったが、日夜特訓を続け、料理の腕は急成長したという。

「人気だし、おいしいし、というお店にしたい」(ナスチャんさん)

 出店資金は、インターネットで出資を募るクラウドファンディングで集めた。1カ月余りで320万円も集まり、ナスチャん人気の高さを象徴。来日のきっかけは、やはり日本アニメのとりこになったことが最大の理由だ。

「アニメ見て、日本はすごいと思った。4年前、お母さん、友達と旅行で来たのが初めて。アキハバラは(ネオンが)ピカピカで、アニメの天国かと思った」(同)

 ロシアの国営放送は20年ほど前に初めて、「キャンディ・キャンディ」や「美少女戦士セーラームーン」を放送。その後も日本のアニメを次々と放送した。

「ジブリはだいたいのロシア人は見てる。私のお母さん、トトロ大好き!」(同)

 アニメと切り離しがたいオタク文化もどうやら世界共通のようで、ロシアでもコスプレイベントは盛況という。ナスチャんさんは10年前から、友人と一緒にアニメキャラに扮するように。それが日本行きのチャンスを掴むことにもなった。

「私の友人がロシア留学していたとき、イベントでナスチャんに出会ったのが、きっかけです」

 と話すのは、ナスチャんさんをマネジメントする、クールジャパンとサブカルチャーのコンサルタント会社「フリープランニング」の社長の大森拓也さんだ。

 実はナスチャんさんは、モスクワの大学で経済学を学び、卒業後は銀行に勤めた経験もある。そのため大森さんは、ナスチャんさんがカフェの接客業ではなく、事業のマネジメントに携わることも視野に入れているという。単純労働では就労ビザの取得がなかなか難しいという背景もある。

「日本はどこも安全だし、みんな親切。ずーっと住みたい」

 とナスチャんさんは永住を希望している。“メイドカフェ起業”で、夢は花開くか。

※週刊朝日  2016年10月21日号