都知事選から1カ月あまり。精力的な活動で、一挙手一投足がマスコミに報じられる小池百合子東京都知事。作家・林真理子さんとの対談では、政策面の展望について話していただきました。

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林:小池さんは交友関係が広いから応援してくださる方も多いと思うけど、「あれやれ」「これやれ」とかピーチクパーチク、いろいろ言われて大変なんじゃないですか。

小池:一人で考えてるよりずっと刺激的ですね。いろんなアイデアをもらいますが、いままでの古い流れでやってきた人がひっくり返りそうな大胆なアイデアが多いです。

林:いろいろなことを考えると、目が冴えちゃって夜も寝られないとか、あります? ああしたい、こうしたいとか……。

小池;いろいろ考えます。常に何か考えていて、それが楽しいですね。

林:実行できそうなことでは、たとえばどんなことがありますか。

小池:私は“合わせ技”が得意で、空き家を保育園に改修するとか。東京に82万戸ある空き家には、改修して小規模保育所にできそうなところがあるんですね。小さな保育所をたくさんつくれば、通園もラクですし、園庭がないなら近くの公園を利用するとか工夫すればいいんです。今はそれぞれ全く別でやっている問題を一緒にやっていけば、意外と答えが出る。発想はとても自由ですね。

林:ほかにも「こういうことをしたい」というのは、ありますか。

小池:男性も女性も働きすぎ。よく「ワーク・ライフ・バランス」と言うけれども、まずはひっくり返して「ライフ・ワーク・バランス」を心がけましょうと言ってるんです。先に生活があって、仕事はあと。都庁の職員の残業も非常に長い。担当者に「残業を短くするための標語を考えて」と言ったら、「22時までに帰りましょう」というので、びっくりしましたね。

林:都庁の人って、そんなに働いてるんですね。

小池:18時に変えてやろうかと思ったけど、まずは20時にしました。オランダの会社で午後6時になるとデスクが勝手に天井近くまで上がって仕事ができなくなるというのを、CNNで見たの。そういうことが都庁でできないかなと思ったりね。

林:都庁の近くにビアガーデンとかつくって、「5時になったら一杯飲んで帰りましょう」とか。あと、出会いの場もつくっていただいて。

小池:婚活ね。5時に帰れる人は「ゴジラー」とか。ばかみたい?(笑)

林:いいと思います(笑)。

小池:「シン・ゴジラ」という映画で、庵野(秀明)監督から防衛省について取材を受けたんですね。そのとき庵野さんに、「ゴジラが電線を取るのはやめてほしい」って言ったんです。私は前から電柱をなくす運動をしてまして、景観はもちろん、地中に埋めたほうが地震の際の安全性も高いんです。だけど、埋めるのにお金がかかるというので、アグリー(醜い)東京になっている。庵野さんには、「ゴジラが電線をつかんでバチバチッてやるのがいいんです」って言われちゃいましたが(笑)。

林:防災も大きな課題ですよね。首都圏直下型地震が来るかもしれないし……。

小池:いや、来るんです。来ることを大前提として、どこまで準備するかですね。

林:とくに下町は、火が出たら大変なことになりますよね。

小池:私は阪神・淡路大震災を経験しましたが、細い道は救助の手が入れない。木造密集地域の道を広げるか、移転していただくか……。都知事選では三つの「シティ」を掲げたんです。安全な都市、「セーフシティ」。男性も女性も、大人も子どもも、おじいちゃんおばあちゃんも、障害者も生かされる「ダイバーシティ(多様性)」。世界に開かれた環境都市「スマートシティ」。綴りは違いますけどね。

林:小池さんには人気という大きな武器がありますから、何でもできますよね。

小池:「山高ければ谷深し」と言いますが、行けるところまで行ってやろうと思ってます。今、私はこれまでほかの人がやってきたことを批判できる“野党”です。そのあとは自分の予算を組みますから、“与党”になって守らなくちゃいけない。だからいまが改革のためにいちばんの大切な時期なんです。

※週刊朝日 2016年9月30日号より抜粋