山崎拓元自民党副総裁が出版した暴露本『YKK秘録』(講談社)が話題だ。YKKとは小泉純一郎元首相、故・加藤紘一・元同党幹事長、山崎氏が結成した政治トリオで、本はいつ、どこで誰と会ったなどをビッシリとメモした山崎氏の衆議院手帳をもとに書かれたという。

 だが、9月末の出版記念パーティーで、小泉氏は挨拶でこう切り込んだ。

「拓さんは政界一の酒豪なのに、よくメモをとっていたな、と感心しますよ。小泉、加藤が会合で何を言ったと克明に書いているが、中には違うこともある」

 小泉氏が指摘したのは、2000年、森内閣への不信任決議案に加藤、山崎両氏が賛同しようとした「加藤の乱」をめぐる記述だ。山崎氏はこう釈明した。

「事実関係が違うと小泉さんから人づてに指摘され、ドキッとしましたよ。加藤の乱直後の12月11日、私の誕生日会をやりましたが、呼びもしない小泉がやってきたと書いたら、これは違う、俺はお前から呼ばれたんだと。呼んだ覚えはないが、もしかしたら呼んだかもしれない、と」

 山崎氏によると、乱を知った小泉氏は「なぜ、加藤さんだけの味方をするんだ」と激怒。山崎氏は「勘弁して。次は必ずあんたを担ぐ」と約束し、加藤氏を担いだが大敗した。

「加藤さんが落ち込んで、私の誕生日は暗い雰囲気でね。そこへ乗り込んだ小泉さんの挨拶がふるっていた。『YKKは友情と打算の二重奏だ』と。私にはそう聞こえた。しかし小泉さんによると、これも間違いで、『二重構造』が正しいと言われました。でも、私の手帳にそう書いてある。小泉さんのこのセリフを聞いたとき、『次は俺を担げよ』という意味だとピンときて、その約束は守った」

「友情と打算の二重奏」という小泉氏のセリフは本の帯にも大きく使われていた……。山崎氏は笑顔でこう突っぱねた。

「本の記述は変更しませんが、考え方は変更します」

 3人とも政局はさんざん論じたが、憲法9条について議論したことはなかったという。パーティーに出席した二階俊博幹事長ら自民党幹部らを前に小泉氏はこうも語った。

「政界は今、停滞している。本は活気を取り戻せ、という拓さんの檄」

※週刊朝日 2016年10月14日号