ミランに加入して2年半。本田圭佑は今、最も苦しい状況にあると言えるかもしれない。

 今季から就任したヴィンチェンツォ・モンテッラ監督は、開幕から4試合続けて4‐3‐3の右ウィングにスソを起用した。ベンチに降格した本田に出場機会があったのは、4試合のうち第3節のウディネーゼ戦のみ、それも10分強のプレー時間に終わっている。

 本人が明かしたように、今季でミランとの契約が切れることも、ポジション争いで不利に働いているだろう。だがそれ以上に、モンテッラ監督がスソを買っていることが大きい。ウディネーゼ戦で本田が出場した際も、交代したのはホセ・ソサ。指揮官はスソを中盤に下げて使い続けた。実際、スソは一定以上のパフォーマンスを見せており、メディアからも評価されている。

 インサイドハーフのポジションを狙うのも一手だが、この位置にも前述のソサをはじめ、ユライ・クツカや新戦力のマティアス・フェルナンデスとライバルがひしめいている。本田がチャンスを得るには、過密日程の際のターンオーバーや、ケガや出場停止でチームメイトが不在になるときを待つしかない。

 残念ながら、サポーターやメディアから「背番号10を起用すべき」という声もさほど上がっておらず、いずれにしても本田がスタメンの座を得るのは厳しいのが現実だ。これまでにないほど、希望の光は小さい。

 9月のW杯予選前に試合勘の欠如に対する懸念を一蹴していた本田だが、このままというわけにもいかない。当然、冬の移籍も選択肢となる。ミランにとっても、多少なりとも移籍金を手にする最後のチャンスだからだ。実際、最近もアメリカ移籍の噂が出回った。現時点では具体性には欠けるが、1月退団の可能性もゼロではないだろう。

 ただ、昨季同様、再び本田にスポットライトが当たるようになる可能性もなくなってはいない。特にここ2試合のミランは内容が芳しくなく、モンテッラ体制への期待感から「低迷した近年と同じ」という落胆へ、ファンやメディアの心理も変わり始めている。ウディネーゼ戦のように短時間ながら最低限のインパクトを残していけば、本田が存在感を高めていくことも考えられる。

 一方で、本田よりは出場機会があるものの、インテルに所属する長友佑都の立場も微妙だ。

 インテルは開幕まで2週間を切ったなかで指揮官交代に踏み切り、イタリア初挑戦のフランク・デ・ブール監督を招へいした。だが、チームは開幕からの格下との3試合で1勝1分け1敗に終わり、ヨーロッパリーグでも無名クラブのハポエル・ベア・シェバにホームで0-2と完敗。批判にさらされた。

 長友は開幕戦でフル出場したものの、負傷でそこからの2試合を欠場。ヨーロッパリーグで復帰したが、失点に絡んでしまい、続くユヴェントスとのイタリアダービーでは出場機会を得られなかった。この試合では王者を撃破してチームが勢いづいただけに、ビッグマッチで蚊帳の外となったことは痛手だ。

 ただ、長友の出番がまったくなくなるとは考えにくい。新加入のクリスティアン・アンサルディが負傷で戦列を離れているなか、現在はダニーロ・ダンブロージオとダヴィデ・サントンのイタリア人コンビが両サイドでチャンスを手にしているが、2人の評価はそう高くないからだ。

 現地時間21日のエンポリ戦では先発に復帰するとの声もあるが、長友への評価もそう高くない。地元ラジオ局には、「長友とダンブロージオを使うくらいなら、マイコンを獲得した方がマシ」というサポーターの声も寄せられた。現在フリーのマイコンは35歳。大ベテランであっても、黄金期に活躍したOBの方が期待できるというファンもいるのだ。

 インテル愛で知られる長友は、春にクラブと新たに3年契約を結んだが、そもそもこの契約延長もサポーターから諸手を挙げて歓迎されたわけではなかった。クラブが新サイドバック探しを続けているのも周知のとおり。新契約を結んだからといって、長友の立場は決して安泰ではないのだ。冬のマーケットで放出される可能性は低いとみられるが、来季もチームに残れるとは限らない。

 本田と長友は今年、30歳になった。キャリアも終盤に差し掛かり、今後はこれまで以上に身の振り方が重要となる。ただ、ミラノに残るにしても、去ることになるにしても、まずはプレー機会がほしいところ。大事なのは少しでもチャンスを手にし、そこで印象的なパフォーマンスを見せることだ。(文・中村大晃)