「バイエルン1強はあまりにもつまらない、プレーオフ導入だ」

 ドイツ・ブンデスリーガ第3節までが終了した現地時間19日、こんなフレーズがドイツ各メディアのタイトルを飾った。発言の主は元レヴァークーゼンGMで元DFL(ドイツ・フットボールリーグ)会長のヴォルフガング・ホルツホイザー。独『キッカー』誌に対し「シーズン終了時のプレーオフ開催について、これまで以上に検討する時期に来ている」と語ったのだ。

 「1強が続く状況は、競争上よろしくない」と訴えるホルツホイザーは、全34節を終了したあと、1位対4位、2位対3位でプレーオフ準決勝を行い、決勝を制したチームを年間王者にするという方式を提案している。

 ポストシーズンの王者決定戦は南米のリーグでも行なわれており、特別新しいシステムではない。これまでにブンデスリーガでもその話が出たことはある。また、Jリーグでも2015年にJ1にCS(チャンピオンシップ)が再導入され、CS優勝者を年間王者としている。

 しかし、J1のCSが「リーグの活性化と観客動員数」の効果をねらったものであるのに対し、ホルツホイザー案の根っこにあるのは「まともにやってもバイエルンには勝てないから」という負け犬的発想。2001-02シーズンにブンデス、DFBポカール、チャンピオンズリーグの全大会で2位に終わった“シルバーコレクター”の恨み節でもないだろうが、あまりに情けない。

 ホルツホイザーは「10月の終わりに優勝チームが予想できるなんて、ブンデスリーガのスポンサーも良くは思わないだろう」と興業面も懸念し、プレーオフ導入なら相当の収益が見込まれると主張する。何を言っているのやら、ブンデスリーガは世界一の集客を誇るリーグであり、昨季の観客動員数は約1300万人だ。昨季レスターでイングランド・プレミアリーグ制覇を味わったクリスティアン・フクスは「95%の確率でバイエルンが優勝するリーグなんかつまらない」とけなしたが、ファンの考えは違うのだ。

 地元ミュンヘンの大衆紙『tz』によれば、「全34節終了時に4チームで王者を争うプレーオフの導入はアリか?」というネットアンケートに対し、回答者8660人のうち82%が「34節終了時点での首位が王者にふさわしい」に投票。「その方が最後まで盛り上がる」に投票したのはわずか18%だった(日本時間23日現在)。他媒体の投票も似たような結果だ。

 『tz』はリアルな声も拾っている。多くはバイエルンファンのコメントだが「自分たちが無力だからリーガを改革するって? 笑える」「シーズン中、バイエルンに40ポイント離されていた3位チームでも、運と偶然があれば優勝できるってこと? メチャクチャだね」「どれだけヤケになってるんだよ」と、ホルツホイザー案は大ヒンシュクである。

 指揮官の意見はというと、レヴァークーゼンのロジャー・シュミットは「新しいアイディアはいくらでも出てくるだろうが、現行のレギュレーションは、それでうまくいっているから続いている。34試合を戦って最強のチームを決めるのが最良の方法だ」と、元GMの意見に反対。ライプツィヒを率いるラルフ・ハーゼンヒュットルも「まったく賛成できない」「そんなのは本当の王者じゃない」とプレーオフ案を一蹴した。

 日程の厳しさやブンデスリーガの伝統を考えれば、実現の可能性はゼロに等しいプレーオフ。しかし、ドルトムントを指揮するトーマス・トゥヘルは「2位から4位までに優勝のチャンスが出てくるのだから、そのどこが悪いのか」と、世論の逆をいく意見だ。「プレーオフというアイディアはそう的外れではないと思う。あまりにもおかしなものでなければ、私はレギュレーション変更に対して非常にオープンだ」と、理解のあるところをみせている。

 かつてレヴァークーゼンを揶揄した“der ewige Zweite(万年2位)”という言葉が、このままでは自分たちにも使われてしまいそうなドルトムント。トゥヘルの言葉が万年2位を覚悟したものでなければいいが……。