パ・リーグ優勝を争う日本ハムとソフトバンク。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、日本ハムが有利だと断言する。その理由は?

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 日本ハムとソフトバンクの最後の直接対決となった9月21、22日の2連戦で、日本ハムが連勝。ついに優勝マジックが点灯した。ビジターで連勝し、圧倒的優位に立った。本欄を読んでくださるときには、日本ハムがさらに差を広げているかもしれない(27日現在、日本ハムがマジック1)。

 残り試合が少なくなっても僅差で優勝を争っている場合、まず考えるべきは、残る対戦相手はどこか、有利に戦えるホームでの試合数がどれだけ残っているか、だ。その点、日本ハムの優位は揺るがないよ。ソフトバンクは3位のロッテと3試合を残している。一方、日本ハムは楽天、オリックス、西武といった下位球団との対戦ばかりで、ロッテとは1試合しかない。しかも、日本ハムのほうがホーム試合を多く残す。

 8月中旬以降にこの2チームのマッチレースになったとき、この最後の2連戦までもつれるだろうと思った。2連戦に照準を合わせ、しっかりと準備してきたのが日本ハムと言えるかもしれない。

 右手中指のマメでしばらく登板できなかった大谷の復帰プランも、2連戦初戦での先発から逆算して調整してきた。逆に、ソフトバンクの勝ち頭の和田は疲労をため込んでいて、この2連戦に投げさせるのが難しかった。勝負どころで、主力投手の状態に差があった。

 21日に先発した大谷の投球は「素晴らしい」の一言につきる。大一番で大切なことは、勝てる投球をすることだ。立ち上がりは決して状態がいいとは思えなかったが、8回で112球。長いイニングを投げきった。さすがエースだ。

 小細工をせず、オーソドックスに自分のいい形で投げていた。序盤、160キロ前後の直球は打者が狙ってもファウルになった。その直球とフォークボールとのコンビネーションを続けた。打者がこの2球種の見極めに集中してくると、中盤からはスライダーやカーブを交えた。回を追うごとに球種に広がりを持たせ、六〜八回はソフトバンク打線を無安打に封じた。昨年と比べ、自分をコントロールする力が上がっているのではないか。

「8番・投手」としてチームを勝利に導いた翌日には「3番・DH」で出場。これにもおそれいった。先発投手は、登板翌日には長い距離のジョギングなどで流し、次の登板のために疲れを抜くことが多い。しかも、前日がナイターでの先発だったのに、翌日はデーゲームだよ。先発の日は気持ちが興奮するから、どれだけ寝られたかもわからない。

 記者投票で決定される「ベストナイン」の投票規定で、投手と野手、投手とDHに同一選手を記入する重複投票がOKとなったそうだが、この大一番での大谷の投打の質の高さを見たら、変更もうなずける。

 日本ハムはこれで、大谷を無理させる必要がなくなった。間隔を空けて残り1試合に先発を託せばよく、その間にDH起用もできる。逆に窮地に追い込まれていたら、無理を強いてでも大谷の「二刀流」を多用する必要があった。クライマックスシリーズや日本シリーズまで戦うことを考えても、今回の連勝は大きな成果だった。

 3年連続の日本一を目指すソフトバンクには、王者としての強さを感じなかったな。チャンスでも選手に力みがあったように見えた。最後の最後まで、優勝争いがもつれることを信じたい。シーズン最後の1週間。意地を見せてほしい。

※週刊朝日  2016年10月7日号