インドで行われているAFC U-16選手権でベスト4入りを果たし、来年同じインドで開かれるU-17ワールドカップの出場権を獲得したU-16日本代表。その立役者のひとりとなったのが、15歳の中学3年生、久保建英だ。

 2000年生まれの選手が中心となる今回のU-16日本代表は「00ジャパン」と呼ばれ、高校1年生が中心のチーム。そのなかで1学年下となる中学3年生の久保は背番号9を着けて主軸を担い、4試合に出場して4ゴールをマーク。U-17ワールドカップ出場権をかけたUAEとの準々決勝ではCKから決勝点を演出するなど、攻撃の要として活躍した。

 幼少期から注目を集めてきた久保は、川崎フロンターレU-10に所属していた8歳の時に日本で行われていた「FCバルセロナキャンプ」に参加。ここでのプレーが関係者の目に留まり、11年8月、10歳の時にスペインの名門バルセロナの下部組織に加入する。

 世界有数のアカデミーにおいてもその才能は際立っており、チームの中心を担っていたが、2014年に未成年の海外移籍を禁止するFIFA(国際サッカー連盟)規約に抵触するとして、バルセロナでの公式戦に出場できなくなると、15年3月に志半ばで帰国。FC東京U-15むさしに入団した。

 もっともその実力は同年代では抜きんでており、今年からは中学生でありながらも、高校生が主体となるFC東京U-18に飛び級で昇格。さらに9月には2種チームに所属しながらトップチームでのプレーが可能となる2種登録選手となり、2004年に東京ヴェルディでJリーグデビューを果たした森本貴幸(現川崎フロンターレ)以来となる中学生Jリーガーの誕生に注目が集まっている。

 身長167センチ、体重59キロと中学3年生としては平均的な体格の久保だが、上のカテゴリーでも輝きを放てるのは、やはりその技術の高さによるだろう。なかでも際立つのは、スピードに乗りながらも細かいタッチで相手を翻弄するドリブルだ。視野の広さを生かしたコース取りも巧みで、スルスルと危険なエリアに侵入していくプレーこそが久保の真骨頂だろう。

 ドリブルだけでなくバイタルエリアでボールを引き出すプレーにも秀でており、左足でコンパクトに振り抜くシュートがこれまた正確。直接FKも武器としており、AFC U-16選手権でも初戦のベトナム戦で鮮やかなFKを突き刺している。

 FC東京U-18では今夏の日本クラブユースサッカー選手権で、5ゴールを挙げて得点王を獲得。高校生相手にもその能力の高さを遺憾なく発揮し、チームの優勝の立役者となった。

 目下、注目なのが、「いつJリーグデビューを果たすか」だ。FC東京は、FC東京U-23というセカンドチームを有し、今年からJ3リーグに参戦している。現実的にはここでのデビューが濃厚で、インドから帰国後の今月下旬にも中学生Jリーガーの誕生が見込まれる。もちろんJ3で活躍すれば、トップチームに抜擢される可能性も出てくる。FC東京はすでにタイトル獲得が難しくなっており、来季への先行投資として、シーズン終盤にJ1のピッチに立たせることもあり得るだろう。

 一方で、東京五輪世代の1997年生まれが中心となるU-19日本代表が、来年開催されるU-20ワールドカップ出場権をかけて、10月にAFC U-19選手権に挑む。同チームの内山篤監督は、本大会への出場が決まれば、久保を飛び級で招集する可能性を示唆している。年齢的には4歳上のチームとなるが、久保がこのまま順調に成長を遂げれば、来年のU-20代表入りも現実味を帯び、ひいては東京五輪のメンバーの大枠に入っていくことも考えられる。

 現在15歳の久保だが、バルセロナは今でも彼の動向を注視しており、国際移籍が可能となる18歳となった時点で、チームに復帰させることが内定しているという。

 東京五輪が開催される2020年の時点で久保は19歳。世界屈指のメガクラブに所属する久保が、東京に凱旋して日本にメダルをもたらす活躍を見せる。そんなシナリオが現実のものとなるかもしれない。