サッカー日本代表は10月6日、W杯アジア最終予選の3戦目となるイラク戦を迎える。日本はここまでの2試合、1勝1敗に終わっており、現在グループ3位。ここは絶対に勝たなければいけない試合だ。

 今回はイラクとのホームゲーム。アジア最終予選は年内に5試合が行われるが、そのなかでは日本にとっては一番戦いやすい試合になるだろう。

 イラクが弱いということではない。それどころか、むしろ実力はある。2年前のW杯ブラジル大会に出場した日本、韓国、オーストラリア、イランを第1グループとするなら、アジアのなかでは、それに次ぐ存在であることは間違いない。

 実際、イラクはアジアカップで2007年大会は優勝、2015年大会はベスト4と好成績を残している。また五輪年代でも、今年1月のアジアU‐23選手権で3位となり、この大会で優勝した日本とともに、リオデジャネイロ五輪にも出場している。

 ただし、イラクが好成績を残した大会にはある共通点がある。それは、集中開催による1カ月程度の短期決戦であったこと。国が不安定な状況に置かれていることで、イラクはホーム&アウェイによる長期戦となると、力を発揮し切れない。自国でホームゲームを開催できないことも、当然大きく影響しているだろう。

 前回W杯のアジア最終予選でも、イラクは日本と同組だったが、わずか1勝しか挙げることができず、5カ国中最下位に終わっている。

 また、UAEなどとは違い、なりふり構わず守りを固めるような戦い方はしないことも、イラクが戦いやすい相手であることの理由である。

 もちろん、日本のボール保持率が高くなれば、結果として日本が攻め、イラクが守るという展開にはなりうる。しかし、だからと言って、イラクはひたすら自陣にこもって守備に徹するような戦い方はしない。元々は選手個々の能力も高く、実力のあるチームだからこそ、真っ向勝負を挑んでくる。つまり、日本から見れば、対戦相手としては「イヤらしさのない」チームなのだ。

 まして日本のホームゲームなのだから、日本には勝つための条件が十分すぎるほど揃っていると言えるだろう。

 とはいえ、日本に不安がないわけではない。

 9月に行われたアジア最終予選の2試合では、初戦でUAEに1‐2で敗れた。その後のタイ戦では2‐0で勝利し、星を五分に戻したものの、タイ戦でもなかなか追加点が奪えず、あわや同点ゴールを許そうかという大ピンチもあった。内容的に言えば、かなり危うい試合が続いている。

 日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は当時、ヨーロッパでは新シーズンがまだ始まったばかりであるが故の、海外組のコンディション不良を苦戦の理由に挙げた。

 だが、あれから1カ月。海外組は、ミラン(イタリア)でほとんど出番のない本田圭佑を筆頭に、それぞれの所属クラブで思うような出場機会を得られていない選手が非常に多い。こうなると、試合勘を含め、彼らのコンディションが本当に上がってくるのか疑わしい。

 さらに、海外組は長距離移動と時差対策という問題も抱えながら、試合のわずか数日前に帰国する。これでは良好なコンディションを保てているはずがない。

 それでも、ハリルホジッチ監督はあくまでも海外組を“優遇”する。

 先ごろ発表された日本代表メンバーの顔ぶれを見ても、これまでとあまり変わり映えがない。特に前線に関して言えば、恐らく「試合に出ていない海外組」が中心となってピッチに立つのだろう。1カ月前、コンディション不良を苦戦の理由に挙げていたにもかかわらず、だ。

 確かに、根本的なポテンシャルという意味で言えば、概ね海外組のほうが国内組よりも力が上ではあるのだろう。

 しかし、現状を考えれば、調子のいい国内組を起用するほうが、日本代表の強化という意味でも、チーム内にまっとうな競争原理を働かせるという意味でも、自然なのではないだろうか。

 にもかかわらず、この数カ月、公式戦で90分間フル出場したことがないような選手に頼るしかないのだとしたら、チームとしてはかなり危機的状況にある。しかも、彼らが20歳そこそこで、大きな成長が期待できるならともかく、実際は30歳前後。我慢して使った末に大きな成長が見込める選手ではないのだ。

 今度のイラク戦は、日本代表にとって、これ以上ないほどに戦いやすい条件が整った試合である。つまりは、真の実力が見えやすい試合となるはずだ。

 勝つのはもちろんのこと、そこでは当然、どんな勝ち方をするかも求められる。

 最終予選は結果がすべて――。そんな言葉を言い訳にしなければならない試合に終わるようなら、日本代表の先行きはさらに暗いものになってしまう。(文・浅田真樹)