9月24日、スロベニアで開催されたフィギュアスケートジュニアGPで、14歳の紀平梨花が、国際スケート連盟公認試合で女子史上7人目となるトリプルアクセルに成功し、逆転優勝を飾った。計8本の3回転ジャンプを決め、観客を驚かせた。世間一般には今大会で初めて認知された格好だ。

 いったいどんな選手なのか。

「素顔は、とても素朴。ただスケートが好きで素直に打ち込んでいる子という印象です」

 と言うのは、過去に紀平を取材し、自身もフィギュアスケート経験者である全国紙のスポーツ部記者だ。ジャンプは紀平の大きな武器のひとつだという。

「コーチの浜田美栄さんが言うには、彼女はジャンプの軸を作るセンスがとても高い。軸がとても細く、空中でコンパクトにまとまった空気抵抗が少ない体勢なんです」

 紀平は「浅田真央の再来」との声も聞かれる一方で、今回の大会で2位になった本田真凜(15)の人気や演技の評価は高い。

「実は、ジャンプだけしか飛べない選手は、ジャッジに愛されません。そこが他のスポーツとは違う点で、オリンピックなど大きな大会ほどその傾向は強い。表現力などは本田選手のほうが現時点では高いです」

 と話すのは、フィギュアスケートを中心に取材する、あるスポーツライターだ。続けて、こう明かす。

「特にトリプルアクセルはわかりやすい。周囲もそれを求めがちで、選手は飛ぶことにとらわれてしまい、本来の魅力を失ってしまう選手も多いんです」

 将来を有望視される中学生の2人に立ちはだかる最大の壁は、“成長”だ。前出の記者は言う。

「背が伸びて、ジャンプの軸がぶれてしまったり、体重が増えてタイミングが違ってきたりします」

 スポーツライターも同様に危惧する。

「紀平選手は、年齢の制約で平昌(ピョンチャン)オリンピックには出られない。次のチャンスは19歳。ジャンパーとして一番いい時期が過ぎてしまう恐れも。キラキラした表現力を身につけていってほしいですね」

 未来の女子フィギュア界を背負う10代女子にかかる期待は大きい。

※週刊朝日 2016年10月14日号