またしても、世界の壁は越えられなかった──。海外競馬最高峰の仏GΙ「凱旋門賞」が10月2日、パリ近郊のシャンティイ競馬場(芝2400メートル)で行われ、日本が誇る今年のダービー馬、マカヒキ(牡3歳)は14着と惨敗した。マカヒキの父は「怪物」と呼ばれたディープインパクト。10年前に同賞に挑戦したが、3着に入った後、失格処分になっており、今年は息子が父の雪辱を果たすかと注目が集まっていた。

「たくさんの方に応援してもらいながら申し訳ない。立て直して、また来年も挑戦したい」

 と、友道康夫調教師は淡々と結果を振り返った。

 一方、別の意味でもレースの“結果”は注目を集めた。日本中央競馬会(JRA)が海外競馬の馬券を日本国内で初めて販売。インターネット限定にもかかわらず、売上総額は約42億円に上ったのだ。当初想定した額の10倍だという。

 海外競馬の馬券販売の声が高まったのは1990年代以降。日本調教馬のレベルアップとともに競馬関係者やファンの期待も高まってきた。JRAは「ファンのニーズに応えるのが目的で導入した」と話す。

 売り上げには地上波テレビが連日特集番組を組み、有名タレントを宣伝に使った効果もあるようだ。東大卒の競馬評論家、須田鷹雄氏は、このように見解を示す。

「日本人の知るもっとも権威ある凱旋門賞にダービー馬が出たことで、ミーハーなファンが応援馬券を買った。さらに、馬券購入単価の高いギャンブル志向の強い熱心なファンが、人気になるマカヒキを買わず、高配当狙いで外国馬を買った結果が追い風になった」

 実際、今回の凱旋門賞でも3連単の売り上げが全体の4割を占めた。1着から3着まで順番に当てる3連単はハイリスクだが高配当で人気の馬券だ。

 ただ、今回に限らず、JRAの控除率(販売額に対するJRAの取り分の割合)が、「ほかの国と比べて高すぎる」という競馬ファンの声も。例えば、3連単の払戻率は72.5%で、残りの3割近くが何もしなくてもJRAに入る。

 さらには、こんな見方もある。

「馬券販売はJRAが独自で行うが、賞金も含めて開催費用はフランス持ち。そもそも商売としてかなりおいしいはずです」(スポーツ紙記者)

 JRAの売り上げは近年、ピーク時(97年)の約6割まで減少。海外馬券の販売は、売り上げ減少に歯止めをかける一つの策だったという。

「それには法改正が必要でした。関係者が自民党の農林族議員に働きかけて競馬法改正を実現させたと聞いています」(自民党関係者)

 JRAは次の馬券販売を11月にオーストラリアで開催のGΙレースを想定する。

「日本馬も出走を予定しているが、マカヒキほど有名馬ではない。ミーハーな応援馬券は期待できないでしょう。還元率の改善や海外競馬の情報提供の徹底など、コアなファンを十分にケアしてほしいですよね」(前出の須田氏)

※週刊朝日 2016年10月21日号