今年も幕張メッセで開幕するIT・エレクトロニクスの総合展「CEATEC JAPAN」(10月4〜7日)。今回のキーワードとなりそうなのが、「IoT」だ。「Internet of Things」の略で、パソコンやスマホなどの通信機器だけでなく、あらゆるものがネットなどにつながることで、さまざまな機能を実現することを指す。

 スマホで施錠が可能なドアや、賞味期限を教えてくれる冷蔵庫など、最近では多彩な製品に「IoT」が取り入れられている。しかし一方で懸念されるのが、IoTならではのリスクだ。

 ウイルス対策ソフトなどを手掛けている、トレンドマイクロシニアスペシャリスト森本純さんは、IoTに潜むリスクを次のように解説する。

「IoTのリスクのひとつが、製品が直接的に攻撃される可能性です。例えば、近年増えているコンピューターによって制御されている自動車は、米国で『乗っ取り』のデモが行われました。このデモでは、自動車がハッキングされると、遠隔操作で急ブレーキをかけられたり、ハンドル操作がされたりすることが実証されました」

 身近な例では、ネットにつながったテレビがウイルスの攻撃にあったという報告もあったという。ウイルスによりテレビ画面がロックされ、「使用するためには○○円を支払え」といった表示がされるというものだ。これは近年、パソコンやスマホにも多い「ランサムウェア」というウイルスなのだが、ネットにつながるということは、こうしたパソコンと同様のリスクを負うことにもなる。近年はテレビをネットにつなぐことで、テレビを介して映画のレンタルができたり、ネット動画が見られたりと便利なサービスが登場しているが、そのリスクも十分に理解しておきたい。

 また、今後は医療分野でのIoT化も進む可能性があるとし、森本さんは次のように指摘する。



「医療でのIoT化が進んで、例えば自動で投薬する機器などが普及した場合、それがハッキングされると命にかかわる事態に発展する可能性もあります」

 また、こうした直接的なリスクに加えて、IoTには「情報」に関するリスクもあるという。

「IoTの機器の中には、端末で情報を収集し、ネットを通じてサーバーに集積しておくタイプのものもあります。例えば、身につけることで心肺機能や活動量などを計測し、データとして蓄積しておくウェアラブル端末などがこれにあたります。これらの情報が集積されているサーバーが攻撃されてしまうと、大量の機微な情報や個人情報が流出することになります」

 最近登場している「見守り」アイテムにも、情報に関するリスクがある。これは室内に置いたカメラとスマホなどを連携させることで、外出先でもペットや子ども、高齢者の様子を確認できるという製品だ。例えばこれが攻撃されると、家主がいつ外出しているかという「情報」が攻撃者に把握されてしまい、空き巣被害にもつながりかねないという。

 注目度の高いIoTの分野だが、それだけに「リスク管理が重要」だとし、森本さんは警鐘を鳴らす。

「IoTは新しく参入しようとしている企業も多い分野です。パソコンやスマホなどの通信機器を扱う企業は、ネットのリスクをしっかり認識しているので、セキュリティーに関する備えもしっかりしているのですが、IoTで新規参入しようとしている企業の場合、ネットのリスク管理に関する専門家がいないこともありえます。IoT分野への参入の際には、そのリスクをしっかり認識し、セキュリティー対策や管理を徹底していくことが、今後発展していくうえで重要な課題になってくると思います」

また、家庭内でIoT機器を利用する際は、「家庭内のネットの出入り口となり、多くのIoT機器がつながることになるルータでのセキュリティーを強化することが重要」だという。

 今後急激に発展していくことが考えられるIoTの分野。生活に取り入れる際には、使う側もそのリスクをしっかり認識しておきたい。(文・横田 泉)