ウラジーミル・プーチン。言わずと知れたロシアの大統領である。元KGB諜報(ちょうほう)員という経歴を持ち、2000年に大統領に就任して以降、「強いロシア」の体現者として国民から高い支持を得ている。反面、陰謀や暗殺疑惑など黒いうわさも絶えないが、そのプーチン大統領のカレンダーがいま日本で人気を集めている。

 発端は昨年末、2016年度版のプーチン大統領カレンダーがテレビ番組で紹介され、ネットを中心に話題になったことだ。昨年は日本での販売はなかったため、ネットオークションなどで、高値で売買された。今年は生活雑貨チェーン大手のロフトが、日本での独占販売権を獲得。店頭やネットで販売したところ、ネットストアでは一時入荷待ちになるなど、驚くほど売れているのだという。早速、ロフトで2017年度版プーチンカレンダーを購入してみた。

 当たり前だが、表紙から裏表紙まですべてがプーチン大統領だ。ネットなどで画像は確認していたが、実際に手にすると尋常ではないインパクトがある。スーツ姿でビシっと決めているだけでなく、アイスホッケーや釣りを楽しんでいたり、動物と戯れていたりと、さまざまなプーチン大統領の姿を楽しむことができる。動物とのハートウォーミングな写真でさえ、「あまり私を怒らせない方がいい」という言葉が似合うのが不思議だ。

 2016年度版にあった上半身裸のショットこそないものの、柔道をしている写真があり、道着からのぞく胸元がセクシーだ。ちなみにプーチン大統領は柔道8段、国際柔道連盟の名誉会長でもある。カレンダーには、東日本大震災への支援のお礼として秋田県知事が贈った秋田犬の「ゆめ」と、雪の中で戯れている写真も使用されている。

 いったいどれほど売れているのか。ロフトの広報・渉外部によると数字は非公開ということだが、予想を上回る売れ行きだという。ロフトのカレンダー部門の売り上げ1位はこの10年間、ほぼ日刊イトイ新聞の「ほぼ日ホワイトボードカレンダー」ということだが……。

「松岡修造さんなど著名人のカレンダーは、もともとかなり人気があります。プーチン大統領のカレンダーは昨年ネットで話題になっていたので売れると思いましたが、予想以上でした。ほぼ日カレンダーが例年どおり売上1位ですが、それに次ぐ人気になっています」(ロフト広報)

 カレンダー人気の背景には、プーチン大統領のキャラクターがもともとネットで愛されていることがある。プーチン大統領の政治姿勢というよりも、底知れないロシアの闇の部分に魅力を感じている人が多く見られる。「かっこいい」という憧れと、恐ろしさゆえの面白みという要素があるようだ。「強いロシア」への憧憬(しょうけい)は、冷戦時代の文化を知る日本人にも親しみやすいのかもしれない。

 バラク・オバマ大統領のカレンダーもアメリカで販売されているが、日本で話題になることはない。日本の安倍晋三首相も、自民党のポスターカレンダーに総裁として登場するのみである。オバマ大統領や安倍首相のカレンダーは政治思想が明確になりそうだが、プーチン大統領の場合はそれがないのも人気の理由だろう。

 実際、届いたカレンダーを人にみせると、「うわぁ、プーチンだ」とみな笑いがもれる。なぜか人を笑顔にするプーチン大統領、やはり底知れない。