天鐘(2月18日)2008年度にスタートした「ふるさと納税」は随分普及した。だが、問題も表面化してきた。多くの寄付を取り込もうと、地方は高額返礼品競争にしのぎを削る。行き過ぎは寄付収入の実質的な目減りを招く▼逆に、都市部の自治体は、地方への寄付が増えれば、見込んだ税収が得られない。東京都世田谷区は、この制度によって区民税が16億円減収した。認可保育園を5カ所建設出来る金額に相当するというから穏やかではない▼地場産品を展示即売する産直施設も今では競争の波にさらされている。産直は激増した。よそに負けまいと品ぞろえを豊富にして売り上げを伸ばし、その果てに一般の小売店と変わらないような売り場も出現した▼産直の当初の狙いは規格外の農作物や少量で市場に流通しない魚介類などを販売し、生産者の収入を増やすことにあった。消費者との交流も大きな目的。売り上げに目を奪われ、産直の魅力を見失っては本末転倒だ▼先日、ふらりと六戸町の道の駅へ立ち寄ると、農産物などを割引販売する月に一度の「お客さま感謝デー」。食堂も初のサービス企画として郷土料理「なべっこだんご」を無償提供した▼数量限定だったが、「懐かしい」「これは何ですか」と客の反応は上々。調理した地元農協の女性たちは「原料は売り場にあります」と笑顔を弾ませた。地域重視の地道な姿勢が、産直を和みの場に変える。