天鐘(12月8日)貧しい少年時代を送った喜劇王チャップリン。当時の暮らしぶりについて「金持ちと貧乏人の間に極端な差があった」と自著で回顧している。現在でも所得格差が広がっている。富の偏在は今も昔も変わらない▼チャップリンが生まれて1年後には両親が離婚。母親が彼を引き取ったものの、その後舞台の仕事を失い、生活はどん底状態だった。今の母子家庭と父子家庭を見ても、就職面でのハンディは母子家庭が大きい▼彼の母親の場合、舞台衣装を自分で縫っていたため、裁縫で生計を立てられた。実際はそれでやり繰りするしかなかった。彼は、生活困窮者の救護施設の学校に通った▼今の家庭でも、経済的な事情が家族をほんろうする。進学機会が制限されたり、奪われたりするのは、子どもにとって無念だろう。未来の夢が狭められることにもなるからだ。親の方がもっとつらいに違いない▼進学機会を広げようと文部科学省は、来年度の大学入学者から日本学生支援機構の無利子奨学金の成績基準をやめ住民税非課税世帯の高校3年生らを対象に募集する。2018年度からは返還不要の給付型奨学金が本格導入されるという。不十分ではあろうが、少しでも自分の夢に近づければ—▼演劇の巡業に出たチャップリン少年は、台本の字が分からず兄に読んでもらい丸暗記。そんな少年が逆境にめげず才能を開花させた努力は励みになろう。