八戸消防本部管内で、救急車の出動件数が増えている。2010年から6年連続で1万件を突破。高齢化などを背景に、今後も増加が見込まれる。一方、救急要請の半数近くは、入院を要さない「軽症」という実態も。出動件数の増加で現場に到着するまでの時間が遅れる傾向にある中、「命をつなぐ救急車」をより適正に利用することへの理解も求められている。 消防本部が管轄するのは八戸、三戸、五戸、おいらせ、階上、南部、田子、新郷の1市6町1村。救急車の出動件数は、10年前の06年が9008件だったが、10年に初めて1万件を超えた。 過去最高だったのは14年の1万2210件。15年も1万1815件で高水準が続いている。16年上半期(1〜6月)は5976件。過去最高だった14年の同期を63件上回っている。 一方、16年上半期の八戸市内の搬送人員4065人のうち、47・4%に当たる1928人は軽症だった。過去5年も45〜49%の間で推移しているという。 軽症の中には〝不適正な利用〟もある。全国的な傾向で、消防庁によると「蚊に刺されてかゆい」「血は止まっているが、紙で指を切った」「どこの病院に行けばいいか分からない」といった119番通報があるという。 八戸消防本部管内で見ると、出動件数の増加に伴い、救急車の現場到着に要する平均時間は拡大傾向にある。15年上半期は7分54秒だったが、16年は8分30秒と36秒遅くなっている。 脳卒中や心筋梗塞などの場合、早期に処置することで救命率や回復度が向上する。通常は傷病者に最も近い拠点から救急車が出動するが、当該車が空いていない場合には消防車が出向き、救急車が着くまで処置を施すものの、絶対的に対応は遅くなる。 救急車の適正利用は人命に関わる。「救急の日」の9日、八戸東消防署は市内のスーパーで、高校生らと共に市民への理解を訴えた。 夜間や休日に救急車を呼ぶべきか迷った場合は、地域の救急病院や在宅当番医院などに相談できるほか、子どもであれば「小児救急電話相談(♯8000)」で医療従事者からアドバイスを受けられる。 八戸消防本部指令救急課は「救急車や救急医療は限りある資源。きちんと必要な人に行き届くよう、いま一度、利用について考えてほしい」と呼び掛けている。【写真説明】救急の日に合わせ、消防車の適正利用を呼び掛ける消防署員と高校生=9日、八戸市