八戸市の種差海岸で13日、木材を馬で運ぶ「馬搬(ばはん)」が始まった。全国的に林業の機械化が進んで見られなくなっていた作業方法で、八戸地域でも約20年前に途絶えていた。昨年8月の台風10号の被害で倒木したクロマツの撤去を兼ねた取り組みで、実施主体の八戸市森林組合は環境への負荷が少なく、馬文化を見直すきっかけになる—として、将来的な導入も視野に検討を進めている。 組合は種差海岸の環境や景観を守るため、国の助成金などを活用して、台風で倒れてそのままになっていたクロマツを撤去することになり、以前から導入を模索していた馬搬に着目した。 馬搬はヨーロッパなどで盛んで、日本国内でも1960年代頃までは山林で伐採した木材を運び出す方法として用いられていたが、重機の普及でほぼ姿を消した。 しかし近年、環境に与える影響が少ないことなどから再び見直され、岩手県遠野地方や北海道などの林業・牧場関係者らが中心となり、技術の伝承に取り組んでいる。組合でも、4年前からポニーを使った木材の運搬を試験的に行っており、昨年は遠野などから大型の馬を借り、八戸市の是川や松館地区の山林で馬搬を実施。今回は環境に配慮し、馬搬を知ってもらう機会を増やそうと、種差海岸で初めて企画した。 この日は、葦毛崎展望台周辺の松林に、北海道七飯町の大沼流山牧場から、トラック輸送で約800キロの4歳の雄馬「オスカ」が到着。牧場スタッフが馬搬用そりに倒木の丸太を数本ずつ載せ、オスカは約150メートル離れた木材置き場まで力強い足取りでそりを引っ張った。休憩を挟みながら何度も往復していた。 組合業務課長の工藤義治さん(42)は「重機が入ることができない場所でも小回りが利き、植生にも優しい」とメリットを強調。昔ながらの馬文化を身近に感じてもらえることから、観光面での活用も検討しながら、馬の調達や受け入れの態勢を整えるという。 種差海岸での作業期間は23日までで、範囲は葦毛崎展望台付近から大須賀海岸西側の山林付近まで。時間は午前9時〜午後3時ごろの予定。【写真説明】木材を馬が運ぶ「馬搬」で行われた倒木撤去。馬文化を保存していこうと近年、技術伝承の取り組みが進んでいる=13日、八戸市の種差海岸