今年1月、藤原ヒロシのファーストソロアルバム『Nothing Much Better To Do』からスタートし、藤原ヒロシ、PLASTICS、UAと順次展開、その音源とテキストとグラフィックのアーカイヴの豊富さから、新旧の音楽ファンより好評を博している「VICTOR DELUXE EDITION」シリーズのラインナップに、このたび藤原ヒロシが参加した、ソロ以前の90年代作品2タイトルが加わった。

今回デラックス・エディション化されたのは、SUBLIMINAL CALMの『SUBLIMINAL CALM』と、Luv Master Xの『LMX#1』の当時エンドルフィンレーベルからリリースされた2枚で、藤原ヒロシのソロ作とPLASTICSに続く第二期”TOKYO LOCAL CLASSICS”シリーズとしてのリリースとなる。

SUBLIMINAL CALMは、藤原ヒロシといとうせいこうが1992年に発表した極上ラヴァーズ・クラシックスで、藤原ヒロシのソロ作品に通じる美麗なトラックといとうせいこうのセンチメンタルな歌声が見事に融合した、溢れんばかりのメロウネスにどっぷりと浸ることの出来るエヴァーグリーンな作品だ。後にUA、須永辰緒らによるカバーが制作された大名曲「かすかなしるし」のオリジナルは今作が初出であったが、藤原ヒロシ自身による「かすかなしるし」を含む4曲のニューミックス音源、そして小泉今日子のカバーによる「カントリー・リビング」を含む全6曲が追加収録されている。
当時のプレスでは、「『わけも無く静かで、知らぬまに切ない、今、本当に必要な音楽。』今一番切ない音楽を作る藤原ヒロシと今一番切ない歌詞をかけるいとうせいこうが、如何にいい音楽を作るかというテーマのもとに、いい音楽を作る事だけを考えてユニットを組んだ!最良の二人組。ビートのマスター宮崎泉、工藤昌之が強力にバックアップ。いいメロディーといい歌詞、いいビート!そこにあるのは切ない気持ちだけ。全曲、切なさの嵐」と謳われていたが、リリースより24年を経て、petrolz、cero、Yogee New Waves、never young beach、D.A.N.…など現在の東京から発信されるグッドミュージックの潮流とも呼応する、90’s東京の景色の記録と言えよう。

なお、今回のデラックス・エディション化に際して、藤原ヒロシは「原点と言える一枚。」と、また、いとうせいこうは「一人で歌っていることの多い曲ばかりです。新しいミックスもまた深く記憶に残りそうでうれしい。」とそれぞれコメントを寄せている。

一方、Luv Master Xは、藤原ヒロシと宮﨑泉(DUB MASTER X)が1993年に発表した極上リゾート・ミュージック集で、この二人の元に朝本浩文&エマーソン北村(MUTE BEAT)、ASA-CHANG&GAMOU(東京スカパラダイスオーケストラ)、春野高広(Sailent Poets)、I-GON(EL-MALO)らジャパニーズ・レゲエ/ラヴァーズ・ロック/ダブの礎を築いたミュージシャンが集結して鮮やかに彩られた、美しく深淵、贅沢極まるリゾート・サウンドスケープが拡がる。ヴォーカルにYOUを迎えた極上ラヴァーズ・ロック「むかえにきてね」を収録。こちらのエクストラトラックには、1996年に非売品シングルとして制作されプロモーション用に極少数プレスされた8cmCDのみに収録された「LMX’MAS (ELECTRIC HIMONYA VERSION) 」、レニー・クラヴィッツの「STAND BY MY WOMAN」のヴォコーダー・カヴァー・ダブ・ヴァージョン、1991年に放送された人気深夜連続TVドラマ『バナナチップス・ラブ』の人気挿入曲「SENTIMENTAL DUB」のDUB MASTER Xによるオリジナル・ヴァージョン、更には現行東京サウンドを鳴らすTOKYO HEALTH CLUBによる「DAWN」を惜しみなくサンプリングしてリリースされたばかりの「LAST SUMMER」(2016年)問いった4曲のレアトラックが追加収録されている。SUBLIMINAL CALMの「かすかなしるし」とLuv Master Xの「むかえにきてね」のビデオクリップも公開となったので、その映像美も合わせて楽しんで頂きたい。

いずれも、夏の終わりから深まってゆく秋の夜長に滲みるベリーグッドミュージック。深まる夜を、このデラックス・エディションで豊かな時間を過ごしてみてはいかがだろうか。そんな折、トリビュートアルバム『再建設的』が遂にリリースされ、来る9月30日と10月1日には東京体育館で開催される「いとうせいこうフェス〜デビューアルバム『建設的』30周年祝賀会〜」への藤原ヒロシ、宮崎泉(DUB MASTER X)のDUB FORCEの参加も発表され、それぞれの演奏内容が気になるところだ。この世紀のお祝いも是非とも目撃してほしい。