2003年に 山田宗樹が発表した小説「嫌われ松子の一生」。過酷な運命に翻弄される女性、川尻松子の生涯を描いたこの作品は、2006年には中谷美紀主演で映画化もされている。この程、乃木坂46のメンバー若月佑美と、キャプテンを務める桜井玲香のW主演として舞台化され、29日は若月主演の「黒い孤独編」が関係者とマスコミに公開された。

今作は中学教師だった主人公が、教え子の窃盗事件をきっかけに職を追われ、人生の歯車が狂い始め、数奇な運命を辿る壮絶な愛憎劇。

歌番組やバラエティーでみる若月の印象と言えば、何事にも真面目に真摯に取り組む姿勢が印象的。ボイスパーカッションやロボットダンスと初めての挑戦にも真面目に取り組み、特にユーモアスピーチコンサルタントに、箸を使った小ネタの指導を受けたことで、”箸くん”と呼ばれ、ネタをフラれると真面目に披露する姿勢に好感を持ったファンも多い。さらに今年も4回目の「二科展」入選と、乃木坂46屈指の優等生キャラだ。一見今回の”松子”という壮絶な女性の一生を演じ切れるのか?と思われるかもしれないが、健気にも愛に実直な思考、行動、不器用すぎるほどに真面目で愚直な”松子”という女と、かなりダブって見られるのではないかと思う。

次々にアクの強い男に翻弄され、自分の身を呈してまでも相手に尽くす。乃木坂46として華やかなステージでキラキラ輝くアイドルとは無縁の情景が舞台上で次々起こるが、若月演ずる”松子”はたとえ、ひどい目に遭ってもまっすぐな愛で、相手を包み込む。若月の口から、セリフとはいえ、風俗嬢からよく聴くワードや、同棲の彼から暴力を受け反撃に怒り狂うなど、今までみせたことにない”若月佑美”にドキッとしてしまうが、この舞台は本人にとっても、乃木坂46にとっても大きな挑戦だと気付く。観終わった後、若月に対して熱い感情が湧いてくる。

乃木坂46の中で、主にメンバー出演の舞台以外でも「生きてるものはいないのか」(2014)、「ヴァンパイア騎士」(2015)と経験は多いが、今回のこの舞台経験が若月の”舞台女優”として1ランク上のレイヤーに達する試金石であることは間違いない。

舞台「嫌われ松子の一生」は9月29日夜公演から10月10日(月・祝)まで品川プリンスホテル・クラブexにて。若月主演の「黒い孤独編」、桜井玲香主演「赤い熱情編」いずれも9公演上演される。