結成6周年を目前に、絶対的エースの山本彩抜きでのライブ開催、ポスト渡辺美優紀探しと熾烈な次世代センター争いが繰り広げられているNMB48。激動の中、NMB48の歴史にとって大切な1ページが10月4日に刻まれた。ドラフト二期生、五期生たちによる「研究生公演」が初日を迎えたのだ。

昨年春に終えた「理想の詩人」公演から約1年半ぶりという、長きに渡るブランクを経て復活した研究生公演。しかもこの公演では、次世代の「さやみるきー」と呼び声高い本郷柚巴(ほんごう・ゆずは)と西仲七海(にしなか・ななみ)を始め、噂のルーキー・山本彩加(やまもと・あやか)に、元メンバー・山田菜々の実妹・山田寿々(やまだ・すず)、上西恵の実妹の上西怜(じょうにし・れい)と、将来性・話題性を兼ね備えた、今後のNMB48を担っていくであろうメンバーが勢揃いした。さらには、既存の研究生公演ではなく、メンバーたちの意思を反映させた楽曲をセレクトしたという冒険ぶり。否が応でも期待値は上がる。

幕を開けてのフォーメーションは西仲と本郷の2人を軸に、山田、山本、上西、安田桃寧(やすだ・ももね)が周囲を固め、その後方に小嶋花梨(こじま・かりん)、清水里香(しみず・りか)、村中有基(むらなか・ゆき)、岩田桃夏(いわた・ももか)、安藤愛璃菜(あんどう・えりな)、溝川実来(みぞかわ・みらい)が控えるという並びに。

この日のオープニングナンバー、アイドル道(NMB48道)を邁進していくことをコミカルかつポップに歌う『なんでやねん、アイドル』では西仲と本郷が、ザ・アイドルな愛らしさが光る『北川謙二』では山田と山本、走り出したばかりの彼女たちからの決意表明と言える『ここがロドスだ、ここで跳べ!』では清水、安田を軸にと、目まぐるしく楽曲ごとにセンターを変えていく。KawaiianTVで放送中の番組「NMB48 5期生密着 2016夏〜ここから戦いははじまった〜」で取り沙汰されていたが、メンバー間の競争意識を高めるための挑戦だろう。初舞台とは言え、彼女たちの高い志をわずか冒頭の3曲で感じさせる、素晴らしい展開だ。

個々のメンバーに注目していくと、それぞれのポテンシャルの高さを感じる。

この日来場者に配られたペーパー・研究生新聞にて「絶対誰よりも目立つ」という言葉を記していた本郷。その言葉通り、常に絶やさぬ笑顔で終始魅了。その場にいるだけでステージが華やいだ。『場当たりGO!』での七変化ぶりはアイドルとしての天性のオーラの持ち主であることを随所で証明していた。

奇しくもこの日が、劇場公演デビュー1周年となった西仲は一人、次元の高さを感じさせた。『狼とプライド』で愛らしさを演出すれば、『カモネギックス』ではクールさと共に圧巻の存在感を生み出すなど、変幻自在。歌唱、ダンス共にレベルも高い。さらには盛り上げが足らないと感じたら自ら煽りに向かう…と13歳にして、これからのNMB48を牽引していく立場としての自覚を感じさせる振る舞いを終始見せた。

5期研究生の筆頭と目される山本もセンターを任される機会が多く見受けられた。期待の通り、見事なステージングを披露。その中でも『禁じられた二人』で魅せた嫋やかさは、とても14歳とは思えない程。

山田は姉譲りのパフォーマンスの持ち主であることを『Bird』『制服が邪魔をする』で証明。『Bird』では緊張からか声が震えるも、音を外すことなくシットリと歌い上げ、『制服が〜』ではキレある動きで魅せるなど、さすがの一言。

上西も相当な緊張だったのか、スタートしてからしばらくは動きも表情も硬かった。それでも公演が進むと同時にほぐれていき、『絶滅黒髪少女』ではダイナミズムさも生まれた。

研究生のツインタワーとでもいうべき清水と小嶋。小嶋はダンス経験者ということもあり、大らかさ、キレ共に申し分ない。時にはセンター以上に目立つほどの動きを見せたほど。清水も長い手足を駆使した大らかな動きが目を惹く。MCでも持ち前の明るさでグイグイと引っ張るなど、マルチな才能が光った。

安田は終始公演に安定感をもたらした。歌唱ダンス共に緩急自在で質が高く、MCでは持ち前のテンションの高さを駆使して場を活性化させるなど、ステージ上でのリーダーぶりを発揮。その対極として、オットリかつマイペースぶりで、柔らかさを生み出した岩田は独特の空気で場を和ませた。冒頭のMCで見事なやり取りを見せた“桃”コンビは、同い年ということもあり、いい関係性を築き上げてくれそうだ。

研究生最年長、19歳の村中は成長著しい。しなやかな動きに、憂いを感じさせる表情。表現者としての力量の高さが随所に表れていた。ドラフト合宿時代には上手く踊れず悔し涙を流し、加入後も他のメンバーから立ち遅れていたころの彼女を知っているファンにとって、この村中の姿に感慨深ものを感じただろう。

12歳とは到底思えない安藤の低音が効いた歌声は、いつか大きな武器になるはず。研究生最年少の溝川は大人っぽさが滲むパフォーマンスと、子どもらしい天真爛漫ぶりが同居するという不思議な魅力を放っていた。

初舞台で、これだけの個が輝いたのは何より素晴らしい。それ以上に、全員がこの日のために磨いてきただろう、技術の全てをぶつけ、ガムシャラに楽しんでいたことが何より。約90分という短い時間の中にアイドルのあるべき形が凝縮されていた。

この日、出演適わなかった水田詩織(みずた・しおり)、梅山恋和(うめやま・ここな)、中川美音(なかがわ・みおん)、彼女たちはこの時の心情を、ブログにて吐露している。それぞれ悔しさが滲む。だが、決してネガティブにならず、次こそはあの舞台へ!という気持ちも共に綴っている。この向上心は次に必ず繋がるはず。この3人を交えた時、どのように変化するのかも、これからの研究生公演の大きな楽しみの一つ。

一つだけ懸念があるとすれば、MC時間の短さ。上演時間約90分の間にトークの時間は15分あったかどうか。パフォーマンスに集中させたいという意図なのでしょう。ただ、走りたてゆえ、熱心なファン以外に一体どんな子なんだろう?と分かりやすく伝える時間は必要な上、喋りはレッスンで培えるものではない。ぜひ少しでいいので、話にも時間を割いてほしいと、贅沢ながら感じた。

まだ本当に第一歩を踏み出したばかり。これから磨かれ、さらなる強い光を放つだろうNMB48研究生たち、彼女たちの動向を見逃さないでほしい。

最後に。公演に臨む研究生たちと同じぐらいに、NMB48メンバーたちも心待ちにしていたようで、今公演の感想をSNSやブログに綴っていた。誰もがこの門出を優しく見守っていたのだ。新たな仲間たちと共にこれから築き上げていくんだ!というNMB48という一つの塊としての気概を、それぞれの想い、言葉から感じた。(田口俊輔)

写真(C)NMB48