「ポールスター」は、メルセデス・ベンツの「AMG」、BMWの「M」、アウディの「RS」に相当する、ボルボのハイパフォーマンスブランドだ。2014年から毎年、台数限定で販売されるコンプリートカーには、モータースポーツで培ったテクノロジーが惜しみなく注ぎ込まれている。そして2016年も、ボルボ「S60ポールスター」「V60ポールスター」がやってきた。今回上陸するのは限定100台である。

ボルボのレーシングカー部門が磨き上げたコンプリートカー「S60/V60ポールスター」


ポールスター社は、1996年にボルボのオフィシャル・モータスポーツ・パートナーとして設立された。「ポールスター・シアン・レーシング」として、地元スウェーデンをはじめ、WTCC(世界ツーリングカー選手権)にもフル参戦、STCC(スカンジナビアン・ツーリングカー選手権)でタイトルを獲得するなど活躍している。

このポールスターが手がけたチューンドコンプリートカーが、「S60/V60ポールスター」だ。ボルボの中核車種となるS60(セダン)とV60(ステーションワゴン)をベースに、ボディやシャシー、エンジン、4WDシステムなどを徹底的に磨き上げた特別なクルマである。

S60/V60ポールスターは、2014年に初のポールスターコンプリートカーとして世界8カ国で750台、日本ではS60とV60を合わせて90台が限定販売され、瞬く間に完売。2015年は13カ国に販売国を増やし、日本には50台が上陸したが、こちらも早々にすべてオーナーが決まったようだ。

しかし、2016年は大幅に台数が増え、100台のポールスターが日本にやってきた。これまでのモデルと違い、パワートレインも一新されている。





パフォーマンスを向上させつつ27%の燃費改善を実現したポールスターの新エンジン


今回のS60/V60ポールスターには、従来の6気筒3.0Lターボエンジンに代わって、4気筒2.0Lスーパーチャージャー付き直噴ターボエンジンが搭載された。これは、ボルボが燃費などの観点から4気筒2.0Lを超えるエンジンの開発を取りやめ、新世代エンジン「Drive-E」ユニットを採用したためだ。


とはいえ、出力が落ちたわけでも、「格下げ」になったわけでもない。新しい2.0Lエンジンは、ボルボ史上最強となる367ps(270kw)の最高出力、そして470Nm(47.9kgm)の最大トルクを発生。6気筒モデルを上回る、4.7秒の1-100km/hタイムをマークする。

しかも、これだけのパフォーマンスを発揮しながら、最大27%もの燃費改善を実現しているという。また、エンジンがコンパクトになったことにより、フロント周りが軽くなって、ハンドリング性能も向上した。

トランスミッションは8速ATが組み合わされ、足回りも強化されている。オーリンズ製DFVダンパーやカーボンファイバー製のストラットタワーバーを装備し、デザインが改められた20インチホイ―ルには、ブレンボ製6ポッドキャリパーが組み込まれる。



さらに、電動パワーステアリングや4WDシステムの制御まで、専用チューニングが施された。10種類以上の先進安全・運転支援システムがパッケージされた「インテリセーフ」の装備は、他のボルボ車と同様だ。ちなみに、ホイールのデザインこそ一新されたものの、従来モデルからの外観上の変更点はほとんどない。これは「過剰な演出は不要」という、ボルボならではの見識だろう。






ライバルはBMW「M3」、性能を考えれば価格もお買い得な「S60/V60ポールスター」


価格は、セダンのS60ポールスターが839万円、ワゴンのV60ポールスターが859万円。通常モデルのスポーティグレード「S60 T6 AWD Rデザイン」が614万円だから、差額の225万円がチューニング費といえそうだ。価格自体はけっして安くはないが、性能を考えれば、むしろリーズナブルではないだろうか。

ベース車両のキャラクター、そして価格を考慮すると、880万円のメルセデスAMG「C43 4マチック」に近いが、サーキットユースまでこなす走りの“本気度”から行けば、ルノー「メガーヌRS」やBMW「 M3」がライバルになるのかもしれない。日本に上陸するのは、S60ポールスター、V60ポールスターを合わせてわずかに100台。購入を迷っている時間はなさそうだ。