マット・デイモンが記憶喪失の暗殺者に扮した大ヒットアクションシリーズが、約9年ぶりに復活する。主演だけでなく、製作も兼ねた渾身のシリーズ最新作「ジェイソン・ボーン」を引っさげ来日したデイモンが、映画.comのインタビューに応じた。

 前作「ボーン・アルティメイタム」の後、多くのファンから続編製作を懇願されてきたというデイモンは、「もう1本つくれる素晴らしいチャンスに恵まれたよ」とにっこり。「前3作が本当にすばらしかったから、今回がそれに劣るってことはありえないし、それ以上のクオリティで復活させなくてはというプレッシャーはあったかな」と、シリーズへの思い入れと責任感をにじませる。本作では企画段階から、監督・製作・編集のポール・グリーングラス、製作のフランク・マーシャル、脚本・編集のクリストファー・ラウズとともに“ブレーン”として携わったため、プロデューサーとしてもクレジットされており、並々ならぬ意気込みが感じられる。

 シリーズ2作目「ボーン・スプレマシー」からメガホンをとったグリーングラス監督とは、「グリーン・ゾーン」でもタッグを組んだ。「ポールのすごいところは、誰がどんなアイデアを持ってきたとしても、それをよりよくしてしまうんだ(笑)」。本作でもグリーングラス監督との共闘にこだわったが、「いろんなアイデアが飛び交う中で、それをうまくまとめて、さらによくできるのはポールしかいないと思っていた。だから、彼なしではこの映画はやらないと決めていたんだ」と揺るぎない信頼関係を語る。

 実践的なアクションが見どころの同シリーズで、デイモンは1作目「ボーン・アイデンティティ」の頃から16年にわたりボクシングのトレーニングを続けてきたそうで、「今回の素手ボクシングのシーンでは、本物のボクサーと戦ったんだ(笑)」とサラリと言ってのける。さらに、バンサン・カッセル扮する刺客とエモーショナルな格闘シーンを繰り広げており、「感情を込めた演技できるだけでなく、ジェイソン・ボーンと対等に戦える人物がほしかった」と、カポエイラ経験者のカッセルの起用に太鼓判を押した。

 同シリーズではこれまでも“監視社会の脅威”が描かれてきたが、今作では米政府による個人情報収集システムの存在を告発したエドワード・スノーデンの影響が色濃く感じられる。一般人も“監視”されていたという事実は、デイモンにとって「計り知れないほどショックだった」という。「プライバシー対安全保障」という時事問題を劇中で扱っているが、「僕たちはどうやって自分のプライバシーを守るのか、どこで線引きするのか、そういったことを考えなくてはいけないと思っている」と、社会派らしい一面をのぞかせた。

 2002年からジェイソン・ボーンを演じてきたデイモンだが、米ハリウッド・レポーター誌のインタビューでは、シリーズのリブートに伴う同役の交代に寛容な態度を示した。しかし、デイモンが同シリーズを卒業する日はずっと先のよう。「まだまだ譲るつもりはないよ。もし譲らなきゃいけないなら、先週生まれたくらいの若い俳優かな(笑)」。

 「ジェイソン・ボーン」は10月7日全国公開。